33 / 47
第33話 【R18】左近1
しおりを挟む
……つまんねぇな。
馴染みのクラブで左近は独りごちていた。
時間は既に深夜を過ぎている。しかしフロアで騒ぐ人は多くいた。
ギラギラと光が交差する。けたたましい音楽が熱気を生んでいた。
皆が浮世を忘れて乱痴気騒ぎをする様を、左近は二階のソファー席から冷めた目で見つめていた。
……はぁ。
軽いため息が漏れる。溜まるばかりの鬱憤を飲み込むように前に置かれたグラスに口をつけるが、気持ちが晴れることは無い。
その両隣には名も知らぬ女が座っていた。そこそこ整った顔でどこそこ短い際どい服を身にまとっている。手慰みでその胸を揉んでやれば押し付けるように身体を預けてきた。
近頃こういう女が増えてきたと、左近は口を曲げていた。ただの遊びに色を添えて、過度な刺激と優越感を味わう。その出汁に使われていることがまた苛立ちを誘っていた。
……そっちがその気ならいいさ。
夢見がちな女を雑に使い捨てるのには慣れていた。それでも見向きもされない下の賑やかしよりはマシと強かになれるのが彼女達だ。気分が乗らなくとも、下半身は若さ故の暴走を見せていた。
その後ろで、地面を舐める男性を見ていた男達がいた。揃いの衣装でひそひそと話す様子が左近の耳にも入る。
「左近さん、今日は一段と荒れてんな」
「女か?」
「いや、実家のことらしいぜ」
実家。
それを聞いた瞬間、左近は急に立ち上がっていた。踵を返すと足を踏み鳴らし、鼻息荒く男達を睨みつける。
息を強く吸い込む。吐き出す先は決まっていた。
「言いたいことがあんなら正面からかかってこいやっ!」
「っ!? すみません!」
蜘蛛の子を散らすように、雑な一礼の後男達は逃げていった。
「ったく……」
本当につまんねぇよ。
ソファーに座り直した左近は大きく舌打ちをしていた。その様子に隣の女達が嘲笑する。
握った拳の振り下ろし先は見つからず、左近はただただ手を揉むしか無かった。
「ちょっと待って!」
「えっ?」
プロローグじみた話を夕凪は声を荒げて遮っていた。
いつものリビングでいつものテーブルには八人が座っている。大人六人に子供二人、あとのチビ達は既に自室で就寝していた。
夕食後、家事子守りを終えた大人達が晩酌をしている時、リビングにある大型のテレビでゲームをしていた夕凪と晴海は声をかけられていた。
その日は珍しく六人が揃っている日だった。飲食業で働く左近は今日が休みで、写真家の一紗も家にいる。他も出張などなく、理由もなく揃うことが珍しかった。
そんな折、談笑していた大人の中で夕凪が昔の話を聞いているという話題になって、それに興味を持ったのが左近だった。
なかなか平日に顔を合わせる機会の少ない彼は、それを埋めるようによく話す。大して大きくない夕凪より少しだけ背の高い、小柄で穏和という中性的な顔立ちがつい先程語った彼の過去と乖離しすぎて理解が追いつかなかった。
「それ、誰の話?」
「僕だけど?」
「キャラ変わりすぎじゃん」
「昔はやんちゃだったからねぇ」
そういう問題かと訝しげな目を向けるが左近はとぼけて視線を外していた。
……ありえないでしょ。
豹変と言うには生易しく、もはや別人と言われた方が納得出来る。それをやんちゃの一言ですます神経を疑っていた。
絶句する夕凪に、
「ベッドの中では今もやんちゃ坊主だけどな」
そう茶化したのは一紗だった。
それを隣で聞いていた海が咎める。
「はしたないわよ……今更か」
「えっと、話続けていい?」
左近はそう言って苦笑いを浮かべていた。
暗い部屋の中で淫靡な水音が響き渡る。
続いて肉を叩く音、そして艶のある声が反響していた。
「あっ、だめっ! いくっ……」
うつぶせに眠る海の背中に身体をつけるようにして和が腰を振る。薄く差し込む月光に腰を上げるたびに愛液に濡れた陰茎がてらてらと光を反射させていた。
足を伸ばして顔を枕にうずめる海は奥をつかれるたびに肩を震わせていた。ゆっくりと大きくかき混ぜられた膣からはだらだらとだらしなく愛液を飛ばしている。
和は数回の挿入の後、子宮をこじ開けるように深く肉棒を差し込んでいた。ぐりぐりと尻を動かして子宮口を撫でまわすように余韻に浸った後、その背中に倒れこむ。
「はぁ……もう限界」
浅く、激しい呼吸の後、大きく息を吸う。溜まった疲労ごと大きく吐き出すと、目の前にある彼女の頭に軽く唇を触れさせていた。
「んっ、はぁ……もうちょっとしない?」
射精の脈動がおさまったあと、海が顔を上げて提案していた。それに和はゆっくりと首を横に振る。
既にゴムを着けての吐精は三度していた。体力の限界よりも和は壁に掛けられた蓄光の時計の針を見て、
「駄目だよ。明日一紗を一限に連れていかなきゃだから」
「……保護者かよ」
「えっ、なんで?」
聞き返した和に海は顔を背けていた。そしてそのまま彼の腕の中から抜け出すと、
「なんでもない。おやすみ」
掛布を羽織って背を向けていた。
「えぇ……」
一人残された和は、ほうけた顔でしばらくその背中を見つめていた。
「んあぁ」
翌朝。
パンとサラダ、それにスープの並べられた食卓に四人の男女が座っていた。
一人を除いて三人は手を合わせると、目の前の食事に取り掛かる。ゆっくりと味わいながらの食事は、代り映えのしない食べ物でも暖かみを感じられていた。
残る一人は半分閉じた眼で食卓を見つめていた。伸ばした手は汁物へと向かうが、途中で掴んだスプーンは掬った物の重さに耐えきれずに皿を叩くに終わっていた。
あっと声を上げる和は布巾を持って少しだけ飛び散ったスープを拭う。その間、原因の一紗はうつろな目でその動作を眺めていた。
「ほら、こぼすよ。ちゃんと起きて」
「う」
もはや返事なのかなんなのかよくわからない声を上げる一紗に、和はスプーンをしっかりと握らせる。力の入っていない手でまた食べようとする彼女を、介護のように支えていた。
その様子を向かいで見ていた晴人は、パンをかじりながらつぶやく。
「ほんと朝が弱いな」
「甲斐甲斐しく世話する方もする方だけどね」
海が皮肉を言うと、一紗が一口食べたことを確認した和が苦笑しながら、
「世話って、ペットじゃないんだから」
「似たようなもんでしょ。少なくとも見た目はね」
「そうかなぁ」
徐々に動きが安定してきた一紗を横目に、和は首を傾げていた。
と、突然晴人が声を上げた。
「あ、そうだ」
彼は残ったスープを飲み干してから、
「ペットで思い出したんだけどさ。『狂犬』、大学辞めるらしいよ」
「へぇ。四年の中途半端な時期なのに変ね」
通じ合う二人に和はしばらく黙っていた。
そして、
「『狂犬』?」
「あれ、知らないの?」
首を横に振る彼を見た海が視線を晴人に向ける。
「言ってなかったか?」
おかしいなぁと呟いた彼は、納得のいかない表情で頭を描いていていた。
その仕草にもう、と言葉を漏らした海は和に向かって掌を突き出していた。そしてそのうち親指と小指をたたみ、三本の指を立てて、
「大学にいる特に関わらない方がいい三人の事よ。『大淫婦』、『狂犬』、『貴公子』。本当に知らないの?」
「初耳だなぁ」
「そんなわけないはずなのに」
「なんで?」
和の疑問に海は視線をずらす。
ゆっくりと、船を漕ぎながらも食べ進める一紗がそこにいた。
彼女はだいぶ時間が経ってから注目を集めていることに気付いて、一つ大きな欠伸をしていた。きつく目を閉じた後、しょぼくれた目を開いた彼女に海はため息をついて、
「だって、『大淫婦』って一紗の事だもの。知ってて話しかけたんじゃないの?」
「あれ、そうなの?」
和が尋ねると一紗は小さく首を振って、
「……私も知らんぞ」
どうにか絞り出すように答えていた。
「当事者だからね。仕方ないんじゃないか?」
晴人がフォローを入れると、一紗は大きく息を吐く。
まだ残っているがそれが彼女の食べ終わりの合図だった。食いかけの残飯はサラダを和が、残りを晴人がいただく。それがいつもの流れだった。
「で、そのワン公と王子様はどんな奴なんだ?」
腹に手を置く一紗が尋ねる。軽く口を拭う彼女を見て、海は説明を続けていた。
「『狂犬』は元々茶道の家元の子でね。なんでか知らないけど勘当されてからは夜な夜な街に出て誰彼構わず喧嘩を吹っ掛けるらしいわ。『貴公子』の方は本人はすっごくいい人なんだけど、その取り巻きがねぇ。親や祖父は政治経済界で名のある人で本人もモデルやらタレントやらやってるから。学内非公式ファンクラブの連中が壁作ってて近寄れないんだけど、不用意に接触しようとしたら何されるかわかんないわ」
「……大学の話だよね」
「残念なことにね」
海はあほらしいと苦言を呈していた。
「なるほど」
話を聞いて、一紗は短い感想を述べていた。
何がと聞く和に、今日初めての笑みを見せた彼女は、
「『狂犬』とやらには興味があるな」
「『貴公子』の方はいいの?」
「良い奴ほどつまらないものはないさ」
そういうものかなと首を曲げる和に、一紗はそういうものだと笑っていた。
「ちょっかい出すのはやめときなさいよ。殴られても知らないからね」
「わかったわかった」
軽く流すような言葉に海は一抹の不安を表情に出していた。
絶対碌なことにはならない。そんな確信が目に浮かんでいた。
馴染みのクラブで左近は独りごちていた。
時間は既に深夜を過ぎている。しかしフロアで騒ぐ人は多くいた。
ギラギラと光が交差する。けたたましい音楽が熱気を生んでいた。
皆が浮世を忘れて乱痴気騒ぎをする様を、左近は二階のソファー席から冷めた目で見つめていた。
……はぁ。
軽いため息が漏れる。溜まるばかりの鬱憤を飲み込むように前に置かれたグラスに口をつけるが、気持ちが晴れることは無い。
その両隣には名も知らぬ女が座っていた。そこそこ整った顔でどこそこ短い際どい服を身にまとっている。手慰みでその胸を揉んでやれば押し付けるように身体を預けてきた。
近頃こういう女が増えてきたと、左近は口を曲げていた。ただの遊びに色を添えて、過度な刺激と優越感を味わう。その出汁に使われていることがまた苛立ちを誘っていた。
……そっちがその気ならいいさ。
夢見がちな女を雑に使い捨てるのには慣れていた。それでも見向きもされない下の賑やかしよりはマシと強かになれるのが彼女達だ。気分が乗らなくとも、下半身は若さ故の暴走を見せていた。
その後ろで、地面を舐める男性を見ていた男達がいた。揃いの衣装でひそひそと話す様子が左近の耳にも入る。
「左近さん、今日は一段と荒れてんな」
「女か?」
「いや、実家のことらしいぜ」
実家。
それを聞いた瞬間、左近は急に立ち上がっていた。踵を返すと足を踏み鳴らし、鼻息荒く男達を睨みつける。
息を強く吸い込む。吐き出す先は決まっていた。
「言いたいことがあんなら正面からかかってこいやっ!」
「っ!? すみません!」
蜘蛛の子を散らすように、雑な一礼の後男達は逃げていった。
「ったく……」
本当につまんねぇよ。
ソファーに座り直した左近は大きく舌打ちをしていた。その様子に隣の女達が嘲笑する。
握った拳の振り下ろし先は見つからず、左近はただただ手を揉むしか無かった。
「ちょっと待って!」
「えっ?」
プロローグじみた話を夕凪は声を荒げて遮っていた。
いつものリビングでいつものテーブルには八人が座っている。大人六人に子供二人、あとのチビ達は既に自室で就寝していた。
夕食後、家事子守りを終えた大人達が晩酌をしている時、リビングにある大型のテレビでゲームをしていた夕凪と晴海は声をかけられていた。
その日は珍しく六人が揃っている日だった。飲食業で働く左近は今日が休みで、写真家の一紗も家にいる。他も出張などなく、理由もなく揃うことが珍しかった。
そんな折、談笑していた大人の中で夕凪が昔の話を聞いているという話題になって、それに興味を持ったのが左近だった。
なかなか平日に顔を合わせる機会の少ない彼は、それを埋めるようによく話す。大して大きくない夕凪より少しだけ背の高い、小柄で穏和という中性的な顔立ちがつい先程語った彼の過去と乖離しすぎて理解が追いつかなかった。
「それ、誰の話?」
「僕だけど?」
「キャラ変わりすぎじゃん」
「昔はやんちゃだったからねぇ」
そういう問題かと訝しげな目を向けるが左近はとぼけて視線を外していた。
……ありえないでしょ。
豹変と言うには生易しく、もはや別人と言われた方が納得出来る。それをやんちゃの一言ですます神経を疑っていた。
絶句する夕凪に、
「ベッドの中では今もやんちゃ坊主だけどな」
そう茶化したのは一紗だった。
それを隣で聞いていた海が咎める。
「はしたないわよ……今更か」
「えっと、話続けていい?」
左近はそう言って苦笑いを浮かべていた。
暗い部屋の中で淫靡な水音が響き渡る。
続いて肉を叩く音、そして艶のある声が反響していた。
「あっ、だめっ! いくっ……」
うつぶせに眠る海の背中に身体をつけるようにして和が腰を振る。薄く差し込む月光に腰を上げるたびに愛液に濡れた陰茎がてらてらと光を反射させていた。
足を伸ばして顔を枕にうずめる海は奥をつかれるたびに肩を震わせていた。ゆっくりと大きくかき混ぜられた膣からはだらだらとだらしなく愛液を飛ばしている。
和は数回の挿入の後、子宮をこじ開けるように深く肉棒を差し込んでいた。ぐりぐりと尻を動かして子宮口を撫でまわすように余韻に浸った後、その背中に倒れこむ。
「はぁ……もう限界」
浅く、激しい呼吸の後、大きく息を吸う。溜まった疲労ごと大きく吐き出すと、目の前にある彼女の頭に軽く唇を触れさせていた。
「んっ、はぁ……もうちょっとしない?」
射精の脈動がおさまったあと、海が顔を上げて提案していた。それに和はゆっくりと首を横に振る。
既にゴムを着けての吐精は三度していた。体力の限界よりも和は壁に掛けられた蓄光の時計の針を見て、
「駄目だよ。明日一紗を一限に連れていかなきゃだから」
「……保護者かよ」
「えっ、なんで?」
聞き返した和に海は顔を背けていた。そしてそのまま彼の腕の中から抜け出すと、
「なんでもない。おやすみ」
掛布を羽織って背を向けていた。
「えぇ……」
一人残された和は、ほうけた顔でしばらくその背中を見つめていた。
「んあぁ」
翌朝。
パンとサラダ、それにスープの並べられた食卓に四人の男女が座っていた。
一人を除いて三人は手を合わせると、目の前の食事に取り掛かる。ゆっくりと味わいながらの食事は、代り映えのしない食べ物でも暖かみを感じられていた。
残る一人は半分閉じた眼で食卓を見つめていた。伸ばした手は汁物へと向かうが、途中で掴んだスプーンは掬った物の重さに耐えきれずに皿を叩くに終わっていた。
あっと声を上げる和は布巾を持って少しだけ飛び散ったスープを拭う。その間、原因の一紗はうつろな目でその動作を眺めていた。
「ほら、こぼすよ。ちゃんと起きて」
「う」
もはや返事なのかなんなのかよくわからない声を上げる一紗に、和はスプーンをしっかりと握らせる。力の入っていない手でまた食べようとする彼女を、介護のように支えていた。
その様子を向かいで見ていた晴人は、パンをかじりながらつぶやく。
「ほんと朝が弱いな」
「甲斐甲斐しく世話する方もする方だけどね」
海が皮肉を言うと、一紗が一口食べたことを確認した和が苦笑しながら、
「世話って、ペットじゃないんだから」
「似たようなもんでしょ。少なくとも見た目はね」
「そうかなぁ」
徐々に動きが安定してきた一紗を横目に、和は首を傾げていた。
と、突然晴人が声を上げた。
「あ、そうだ」
彼は残ったスープを飲み干してから、
「ペットで思い出したんだけどさ。『狂犬』、大学辞めるらしいよ」
「へぇ。四年の中途半端な時期なのに変ね」
通じ合う二人に和はしばらく黙っていた。
そして、
「『狂犬』?」
「あれ、知らないの?」
首を横に振る彼を見た海が視線を晴人に向ける。
「言ってなかったか?」
おかしいなぁと呟いた彼は、納得のいかない表情で頭を描いていていた。
その仕草にもう、と言葉を漏らした海は和に向かって掌を突き出していた。そしてそのうち親指と小指をたたみ、三本の指を立てて、
「大学にいる特に関わらない方がいい三人の事よ。『大淫婦』、『狂犬』、『貴公子』。本当に知らないの?」
「初耳だなぁ」
「そんなわけないはずなのに」
「なんで?」
和の疑問に海は視線をずらす。
ゆっくりと、船を漕ぎながらも食べ進める一紗がそこにいた。
彼女はだいぶ時間が経ってから注目を集めていることに気付いて、一つ大きな欠伸をしていた。きつく目を閉じた後、しょぼくれた目を開いた彼女に海はため息をついて、
「だって、『大淫婦』って一紗の事だもの。知ってて話しかけたんじゃないの?」
「あれ、そうなの?」
和が尋ねると一紗は小さく首を振って、
「……私も知らんぞ」
どうにか絞り出すように答えていた。
「当事者だからね。仕方ないんじゃないか?」
晴人がフォローを入れると、一紗は大きく息を吐く。
まだ残っているがそれが彼女の食べ終わりの合図だった。食いかけの残飯はサラダを和が、残りを晴人がいただく。それがいつもの流れだった。
「で、そのワン公と王子様はどんな奴なんだ?」
腹に手を置く一紗が尋ねる。軽く口を拭う彼女を見て、海は説明を続けていた。
「『狂犬』は元々茶道の家元の子でね。なんでか知らないけど勘当されてからは夜な夜な街に出て誰彼構わず喧嘩を吹っ掛けるらしいわ。『貴公子』の方は本人はすっごくいい人なんだけど、その取り巻きがねぇ。親や祖父は政治経済界で名のある人で本人もモデルやらタレントやらやってるから。学内非公式ファンクラブの連中が壁作ってて近寄れないんだけど、不用意に接触しようとしたら何されるかわかんないわ」
「……大学の話だよね」
「残念なことにね」
海はあほらしいと苦言を呈していた。
「なるほど」
話を聞いて、一紗は短い感想を述べていた。
何がと聞く和に、今日初めての笑みを見せた彼女は、
「『狂犬』とやらには興味があるな」
「『貴公子』の方はいいの?」
「良い奴ほどつまらないものはないさ」
そういうものかなと首を曲げる和に、一紗はそういうものだと笑っていた。
「ちょっかい出すのはやめときなさいよ。殴られても知らないからね」
「わかったわかった」
軽く流すような言葉に海は一抹の不安を表情に出していた。
絶対碌なことにはならない。そんな確信が目に浮かんでいた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる