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第28話 晴人9
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「ごめ、ぷっ……」
「よし、わかった。もう仕方ないなんて思わないから」
海はふくれっ面のままそう告げた。そして立ち上がり、強引に晴人の腕を掴み上げる。
「ちょっと、どこ行くんだよ」
彼女は後ろ姿を見せたまま、部屋を飛び出していた。
つかつかと歩いた先は向かいの扉。そこへノックなしに開け放つと、ベッドの中で横になる二人の男女の姿があった。
それを一瞥して、海は晴人を部屋に押し込む。何事かと和は上体を起こし、一紗もそれに倣っていた。
「どうしたの?」
上裸、いや全裸かもしれない和が言う。その横で一紗が笑みを浮かべて、
「なんだ。とうとうSMプレイにでも走ったか?」
「なわけないでしょ。和」
吐き捨てるように言うと、海は和の腕を持って立ち上がらせる。
下着姿だった。パンツ一丁の彼は少し滑稽で、わけも分からずおどおどと所在なさげに目を泳がせている。
「晴人」
「な、なんだよ」
呼ばれ、視線を向ける。
嫌な予感がしていた。絶対にろくでもないことが起きる、そんな確信があった。
和と向かい合うように立ち位置を誘導され、その彼女は和の後ろに回っていた。
そして、
「そいっ」
「え……きゃあ!?」
甲高い悲鳴が響く。和に唯一残された薄布が無情にも引き下ろされていた。
ぽろんと飛び出したペニスは反動で上下に揺れている。半立ち程度のそれを見て晴人は汗を滲ませていた。
「ほら、舐めなさい」
海が手を添えてペニスを地面と平行にする。咥えやすくするためか、軽く握っては前後にゆっくりと扱いていた。
……冗談だよな?
訴えかけるように晴人は目線を向ける。和の肩から覗く目は弓なりに笑顔を作っていた。
本気だ。いや、ありえないだろう。何が悲しくて男のものを咥えなければならないのか。
「うっ…」
その間にも和は自前のものを大きく滾らせていく。この状況でそれが出来ることに羨ましさなど欠片もなかった。
「冗談だよな!?」
「やれ」
「……和からも何とか言ってくれよ!」
操り人形のように弄ばれている彼に声を向けると、ただ眉を顰めて、
「そもそも、なんで怒らせるようなことしたのさ」
「鼻にティッシュだぞ。笑うだろ普通」
晴人が訴えると、和は少し視線を泳がせた後、首を横に振っていた。
不味い、味方が居ない。
最後の希望、一紗に目をやると、何故か彼女は涙を流していた。
……は?
一体どこに泣く要素があったのか。泣くなら一紗ではなく自分の方だろう。
誓って同性愛者では無い。女性しか愛せないし、興味もない。しかし何故か最愛の女性から男のペニスを咥えろと言われているのだ。これ以上辛いことなどあるというのか。
一紗の状況に皆不審がって注視する。すると彼女は立ち上がり、その面積の少ない下着を存分に見せつけながら海の前まで歩いていた。
「な、何よ?」
彼女はたじろぎながらも手を緩めずに答えていた。
「──感動した!」
「はあ……」
「そういうのもあるのかと天啓を得た気分だ。正直見くびっていたよ」
永遠に見くびってろ。
感涙した一紗は大きく手を広げてそのまま海を包み込んでいた。そして、その頬に熱く唇を押し付ける。
嫌がる様子を気にすることなく、肌を触れ合わせる姿は股間に悪い。しかしチャンスだと晴人はゆっくりと後ずさりを始めていた。
「──逃げるな」
鋭い指摘に肩を震わせて足を止める。冷めた目で見つめる一紗は海の身体を離すと、晴人の後ろにたってその身体を絡めていた。
押し出されるように前に進まされる。膝裏を押されて、たまらず膝を着くと目の前には風呂場では見たことの無いような男の象徴が鎮座していた。
「やり方はわかる?」
耳元で囁く声が背筋をぞくぞくとさせる。気持ちがいいのではなく、悪寒を感じていた。
「まじでやるのかよ」
「人にさせてるんだから当然自分でも出来るでしょ?」
どういう理屈だ、と晴人は首を振る。
海はまたペニスに手を添えて上下に振っていた。猫じゃらしでは無いのだからそれで食いつくとでも思っているのだろうかと、心配になる。
こういう時、和の意思はだいたい無視される。頼りにならない親友はどっちつかずの苦笑を浮かべていた。
やられる方は気楽だと、晴人は唇をへし曲げる。
……ええい、ままよ。
晴人は大きく口を開けると、目をきつく閉じて顔を前に突き出していた。
……うん。
微かな塩味を感じた。あとはちょっと指よりも太く柔らかいくらいで、実際やってみると拍子抜けするほど感想が出てこない。
「お、おぉ……」
「へぇ……」
見物客の二人は息を飲んで見守っていた。
「ど、どう?」
「はぁにあ?」
和の質問に、上目遣いで晴人が答える。
お前が聞くのかよと内心で蹴り飛ばしたい気持ちになる。
短く整えられた陰毛が鼻先に当たる程度には深く咥えていた。しかし、嘔吐くほど奥まで入っている訳ではなく、まだ余裕があった。
これが男と女の差かと思いながら晴人は動けずにいた。これ以上をする気はなく、指示もない。要望には答えたのだから十分だろうと思っていた。
しかしいつまで待っても終わりの合図が来ない。次第に溜まる口の中の唾液を飲むのは嫌悪感が強く、姿勢を直して喉の奥に流れてこないように顔を持ち上げていた。
「んっ…」
その僅かな刺激にも和のペニスは敏感に反応を返す。びくんと震える度にどろどろの口の中で唾液をかき混ぜていた。
流石にもういいだろうと顔を引くが、一紗がそれを許さない。それどころか限界まで押し込むように手を添えて、
「どうした、いつもさせているのはそうじゃないだろ?」
「まへ、まへって」
身振り手振りも交えて抵抗するも、一紗は一歩も引く気配がない。意思表示のため口を動かせば反応するのはペニスだけで、振りほどこうにも力むとそれを噛みちぎる恐れがあった。
さらに、意図しない挿入に驚き、思わずむせてしまう。見上げれば海が誘導するように腰を突き出していた。
まるで彼女のイチモツを咥えているこのような行為に脳みそがエラーを起こす。それは下半身に血を集めることとなっていた。
度し難い。そう思いながら晴人は内心でため息をつく。ことこの状況を打破するには覚悟を決めるのがいちばん早かった。
「よし、わかった。もう仕方ないなんて思わないから」
海はふくれっ面のままそう告げた。そして立ち上がり、強引に晴人の腕を掴み上げる。
「ちょっと、どこ行くんだよ」
彼女は後ろ姿を見せたまま、部屋を飛び出していた。
つかつかと歩いた先は向かいの扉。そこへノックなしに開け放つと、ベッドの中で横になる二人の男女の姿があった。
それを一瞥して、海は晴人を部屋に押し込む。何事かと和は上体を起こし、一紗もそれに倣っていた。
「どうしたの?」
上裸、いや全裸かもしれない和が言う。その横で一紗が笑みを浮かべて、
「なんだ。とうとうSMプレイにでも走ったか?」
「なわけないでしょ。和」
吐き捨てるように言うと、海は和の腕を持って立ち上がらせる。
下着姿だった。パンツ一丁の彼は少し滑稽で、わけも分からずおどおどと所在なさげに目を泳がせている。
「晴人」
「な、なんだよ」
呼ばれ、視線を向ける。
嫌な予感がしていた。絶対にろくでもないことが起きる、そんな確信があった。
和と向かい合うように立ち位置を誘導され、その彼女は和の後ろに回っていた。
そして、
「そいっ」
「え……きゃあ!?」
甲高い悲鳴が響く。和に唯一残された薄布が無情にも引き下ろされていた。
ぽろんと飛び出したペニスは反動で上下に揺れている。半立ち程度のそれを見て晴人は汗を滲ませていた。
「ほら、舐めなさい」
海が手を添えてペニスを地面と平行にする。咥えやすくするためか、軽く握っては前後にゆっくりと扱いていた。
……冗談だよな?
訴えかけるように晴人は目線を向ける。和の肩から覗く目は弓なりに笑顔を作っていた。
本気だ。いや、ありえないだろう。何が悲しくて男のものを咥えなければならないのか。
「うっ…」
その間にも和は自前のものを大きく滾らせていく。この状況でそれが出来ることに羨ましさなど欠片もなかった。
「冗談だよな!?」
「やれ」
「……和からも何とか言ってくれよ!」
操り人形のように弄ばれている彼に声を向けると、ただ眉を顰めて、
「そもそも、なんで怒らせるようなことしたのさ」
「鼻にティッシュだぞ。笑うだろ普通」
晴人が訴えると、和は少し視線を泳がせた後、首を横に振っていた。
不味い、味方が居ない。
最後の希望、一紗に目をやると、何故か彼女は涙を流していた。
……は?
一体どこに泣く要素があったのか。泣くなら一紗ではなく自分の方だろう。
誓って同性愛者では無い。女性しか愛せないし、興味もない。しかし何故か最愛の女性から男のペニスを咥えろと言われているのだ。これ以上辛いことなどあるというのか。
一紗の状況に皆不審がって注視する。すると彼女は立ち上がり、その面積の少ない下着を存分に見せつけながら海の前まで歩いていた。
「な、何よ?」
彼女はたじろぎながらも手を緩めずに答えていた。
「──感動した!」
「はあ……」
「そういうのもあるのかと天啓を得た気分だ。正直見くびっていたよ」
永遠に見くびってろ。
感涙した一紗は大きく手を広げてそのまま海を包み込んでいた。そして、その頬に熱く唇を押し付ける。
嫌がる様子を気にすることなく、肌を触れ合わせる姿は股間に悪い。しかしチャンスだと晴人はゆっくりと後ずさりを始めていた。
「──逃げるな」
鋭い指摘に肩を震わせて足を止める。冷めた目で見つめる一紗は海の身体を離すと、晴人の後ろにたってその身体を絡めていた。
押し出されるように前に進まされる。膝裏を押されて、たまらず膝を着くと目の前には風呂場では見たことの無いような男の象徴が鎮座していた。
「やり方はわかる?」
耳元で囁く声が背筋をぞくぞくとさせる。気持ちがいいのではなく、悪寒を感じていた。
「まじでやるのかよ」
「人にさせてるんだから当然自分でも出来るでしょ?」
どういう理屈だ、と晴人は首を振る。
海はまたペニスに手を添えて上下に振っていた。猫じゃらしでは無いのだからそれで食いつくとでも思っているのだろうかと、心配になる。
こういう時、和の意思はだいたい無視される。頼りにならない親友はどっちつかずの苦笑を浮かべていた。
やられる方は気楽だと、晴人は唇をへし曲げる。
……ええい、ままよ。
晴人は大きく口を開けると、目をきつく閉じて顔を前に突き出していた。
……うん。
微かな塩味を感じた。あとはちょっと指よりも太く柔らかいくらいで、実際やってみると拍子抜けするほど感想が出てこない。
「お、おぉ……」
「へぇ……」
見物客の二人は息を飲んで見守っていた。
「ど、どう?」
「はぁにあ?」
和の質問に、上目遣いで晴人が答える。
お前が聞くのかよと内心で蹴り飛ばしたい気持ちになる。
短く整えられた陰毛が鼻先に当たる程度には深く咥えていた。しかし、嘔吐くほど奥まで入っている訳ではなく、まだ余裕があった。
これが男と女の差かと思いながら晴人は動けずにいた。これ以上をする気はなく、指示もない。要望には答えたのだから十分だろうと思っていた。
しかしいつまで待っても終わりの合図が来ない。次第に溜まる口の中の唾液を飲むのは嫌悪感が強く、姿勢を直して喉の奥に流れてこないように顔を持ち上げていた。
「んっ…」
その僅かな刺激にも和のペニスは敏感に反応を返す。びくんと震える度にどろどろの口の中で唾液をかき混ぜていた。
流石にもういいだろうと顔を引くが、一紗がそれを許さない。それどころか限界まで押し込むように手を添えて、
「どうした、いつもさせているのはそうじゃないだろ?」
「まへ、まへって」
身振り手振りも交えて抵抗するも、一紗は一歩も引く気配がない。意思表示のため口を動かせば反応するのはペニスだけで、振りほどこうにも力むとそれを噛みちぎる恐れがあった。
さらに、意図しない挿入に驚き、思わずむせてしまう。見上げれば海が誘導するように腰を突き出していた。
まるで彼女のイチモツを咥えているこのような行為に脳みそがエラーを起こす。それは下半身に血を集めることとなっていた。
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