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1 日常はいつか終わりを告げる
1 日常
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俺は、雨が嫌いだ。
ただ単に気分が落ち込むし、暗いし
ジメジメしててイライラする。
一番の原因は、思い出だろうか
急に地獄のような
絶望の底に突き落とされたあの日も
今日と同じように雨の日だった。
チャイムが鳴り、校舎は喧騒に包まれる
そんな中、一際大きな声が響く
「菁ー!!!」
俺を呼んでるのは
友達の上野 海斗(かみの かいと)だ
「うっさ、w」
海斗の横で苦笑しているのは
俺の中学校からの親友
岡田 奏馬(おかだ そうま)
二人共、いつも俺といる仲のいい友達だ。
「うるさいぞ海斗w どした?」
鞄に荷物を入れながら返すと
海斗は俺の背中に覆いかぶさる様に抱きつく。
「今日一緒帰れる!?」
と海斗が大声で聞いてくる
俺は思わず顔をしかめる
「あ、ごめ、今日は無理かも
歌が一緒に帰りたいって言ってたから」
と答えると2人はガクッと項垂れる
「今日は生徒会の仕事無いって聞いたから楽しみ にしてたのにぃぃぃ」
「よし、歌に交渉頼もうぜ海斗」
二人がわーわー言っていると
彼女の英原 歌が近付いてくる
それを見て二人も動きを止める
「あ、歌」
俺が声をかけると歌は少し俯く
「ごめん菁くん、今日も帰れない
お父さんが、ちょっと・・・・」
内心落ち込みながらもそっか、と呟く
「お父さん、また調子悪いの?」
歌のお父さんの事はよく知ってる
心臓病で、ずっと入院しているけど優しい人だ
お見舞いに行った時以来
ずっと弱々しい笑みが印象に残っている
最近は会ってないけれど
「うん、昨日もちょっと いろいろとね、
ごめん
お父さんも菁くんも同じぐらい大事だけど、
なんていうか・・・・・・」
俯きながらぽつりぽつりと話す歌が
とても辛そうに見えて
俺はそっと頭を撫でる
「俺は全然大丈夫
正直寂しいけど
俺よりお父さんを優先してあげて」
「ありがとう、ごめんね
また今度一緒に帰ろうね」
少し表情が晴れた歌を見て
俺も自然と笑顔になる
「うん 帰れる時いつでも言って
楽しみに待ってるから」
歌はふふ、と嬉しそうに少し笑い頷く
そして手を振って教室を出ていった
それを見送って
海斗と奏馬がすすすと寄ってくる
「って、ことは???」
「今日は???俺たちと???」
キラキラした目で詰め寄ってくる二人の姿に笑いながら
「はいはい 帰るぞ」
と返すと2人がよっしゃああああと叫び
ガッツポーズをする
それにまた笑いながら
3人揃って教室を出る
廊下を歩いて下駄箱に向かう途中
時々黄色い悲鳴があがる
「菁くんだ!!!みんな、菁くん菁くん!!!」
「あ、菁くんばいばーい!!」
「また明日!!」
こっちを見てキャアキャア騒ぐ女子達に
手を振って挨拶を返す
「きゃああああああ!!」
「あぁ・・・・幸せぇぇ」
「目合った!!!ねぇ目合ったよ!!!!」
「今日もかっこいいなぁ・・・・・・」
ほんと騒がしいな。
校門を出ると、思わず溜息が出る
「あー・・・・・・疲れた くそ眠」
そう呟くと奏馬が
「今日も疲れたね」と頭を撫でてくれる
「特に菁はなっ」
海斗がバシッと俺の背中を叩く
「いってぇなこらw
まじで疲れるよほんと
今日は問題児ともなんか揉めたというか
口論したというか
あと先生探して校内走り回ったし」
「え、てかその先生さ
トイレに籠もってたって聞いたけどマジ?w」
海斗が笑いながら聞いてくる
「らしいよww」
思い出して思わず俺が笑いながら答えると二人が爆笑する
3人で並んで雑談しながら帰っていると、
奏馬が
そういえば、と話を切り出す
「こうやって3人で帰るの
めっちゃ久しぶりじゃないっけ
何ヶ月ぶりだろ?w」
「あー、そっか
最近帰れてなかったな二人と」
すると海斗が腕を組んでくる
「そうだぞ会長~
忙しいのは分かるけど
寂しかったんだよ俺達ぃ」
「そうだよ泣いてたんだよ~w」
少し嬉しいなと思いながらも
申し訳ない気持ちになる
「えぇ、w ごめんごめん」
「いやまぁまぁ 頑張れよ会長」
いつもの様にそんなやり取りをしながら
ダラダラ歩いていると駅に着いた
そこから電車に乗る
電車から降りたとき、うわっと思った
雨が降っていた
「最悪 雨降ってんじゃん・・・・・」
そうぼやきながら渋々傘を開く
俺の隣で奏馬も傘を開くと
「俺傘忘れたから入れて w」
「いいよw」
「ありがと好き好き大好き愛してる」
「おいやめろww きもいって」
笑いながら海斗が奏馬の傘に入る
それを少し暗い目で見て、小さく溜息をつく
俺って、滅茶苦茶嫉妬深いし
些細な事で傷付くんだな・・・・・・
そんな気持ちと思考を薙ぎ払う様に
「あ 相合い傘だ~」
とニヤニヤしながらからかう
「へへ、いいだろー!!!www」
と海斗が笑いながら胸を張っているのに苦笑しながら
また3人揃って歩き出す
ただ単に気分が落ち込むし、暗いし
ジメジメしててイライラする。
一番の原因は、思い出だろうか
急に地獄のような
絶望の底に突き落とされたあの日も
今日と同じように雨の日だった。
チャイムが鳴り、校舎は喧騒に包まれる
そんな中、一際大きな声が響く
「菁ー!!!」
俺を呼んでるのは
友達の上野 海斗(かみの かいと)だ
「うっさ、w」
海斗の横で苦笑しているのは
俺の中学校からの親友
岡田 奏馬(おかだ そうま)
二人共、いつも俺といる仲のいい友達だ。
「うるさいぞ海斗w どした?」
鞄に荷物を入れながら返すと
海斗は俺の背中に覆いかぶさる様に抱きつく。
「今日一緒帰れる!?」
と海斗が大声で聞いてくる
俺は思わず顔をしかめる
「あ、ごめ、今日は無理かも
歌が一緒に帰りたいって言ってたから」
と答えると2人はガクッと項垂れる
「今日は生徒会の仕事無いって聞いたから楽しみ にしてたのにぃぃぃ」
「よし、歌に交渉頼もうぜ海斗」
二人がわーわー言っていると
彼女の英原 歌が近付いてくる
それを見て二人も動きを止める
「あ、歌」
俺が声をかけると歌は少し俯く
「ごめん菁くん、今日も帰れない
お父さんが、ちょっと・・・・」
内心落ち込みながらもそっか、と呟く
「お父さん、また調子悪いの?」
歌のお父さんの事はよく知ってる
心臓病で、ずっと入院しているけど優しい人だ
お見舞いに行った時以来
ずっと弱々しい笑みが印象に残っている
最近は会ってないけれど
「うん、昨日もちょっと いろいろとね、
ごめん
お父さんも菁くんも同じぐらい大事だけど、
なんていうか・・・・・・」
俯きながらぽつりぽつりと話す歌が
とても辛そうに見えて
俺はそっと頭を撫でる
「俺は全然大丈夫
正直寂しいけど
俺よりお父さんを優先してあげて」
「ありがとう、ごめんね
また今度一緒に帰ろうね」
少し表情が晴れた歌を見て
俺も自然と笑顔になる
「うん 帰れる時いつでも言って
楽しみに待ってるから」
歌はふふ、と嬉しそうに少し笑い頷く
そして手を振って教室を出ていった
それを見送って
海斗と奏馬がすすすと寄ってくる
「って、ことは???」
「今日は???俺たちと???」
キラキラした目で詰め寄ってくる二人の姿に笑いながら
「はいはい 帰るぞ」
と返すと2人がよっしゃああああと叫び
ガッツポーズをする
それにまた笑いながら
3人揃って教室を出る
廊下を歩いて下駄箱に向かう途中
時々黄色い悲鳴があがる
「菁くんだ!!!みんな、菁くん菁くん!!!」
「あ、菁くんばいばーい!!」
「また明日!!」
こっちを見てキャアキャア騒ぐ女子達に
手を振って挨拶を返す
「きゃああああああ!!」
「あぁ・・・・幸せぇぇ」
「目合った!!!ねぇ目合ったよ!!!!」
「今日もかっこいいなぁ・・・・・・」
ほんと騒がしいな。
校門を出ると、思わず溜息が出る
「あー・・・・・・疲れた くそ眠」
そう呟くと奏馬が
「今日も疲れたね」と頭を撫でてくれる
「特に菁はなっ」
海斗がバシッと俺の背中を叩く
「いってぇなこらw
まじで疲れるよほんと
今日は問題児ともなんか揉めたというか
口論したというか
あと先生探して校内走り回ったし」
「え、てかその先生さ
トイレに籠もってたって聞いたけどマジ?w」
海斗が笑いながら聞いてくる
「らしいよww」
思い出して思わず俺が笑いながら答えると二人が爆笑する
3人で並んで雑談しながら帰っていると、
奏馬が
そういえば、と話を切り出す
「こうやって3人で帰るの
めっちゃ久しぶりじゃないっけ
何ヶ月ぶりだろ?w」
「あー、そっか
最近帰れてなかったな二人と」
すると海斗が腕を組んでくる
「そうだぞ会長~
忙しいのは分かるけど
寂しかったんだよ俺達ぃ」
「そうだよ泣いてたんだよ~w」
少し嬉しいなと思いながらも
申し訳ない気持ちになる
「えぇ、w ごめんごめん」
「いやまぁまぁ 頑張れよ会長」
いつもの様にそんなやり取りをしながら
ダラダラ歩いていると駅に着いた
そこから電車に乗る
電車から降りたとき、うわっと思った
雨が降っていた
「最悪 雨降ってんじゃん・・・・・」
そうぼやきながら渋々傘を開く
俺の隣で奏馬も傘を開くと
「俺傘忘れたから入れて w」
「いいよw」
「ありがと好き好き大好き愛してる」
「おいやめろww きもいって」
笑いながら海斗が奏馬の傘に入る
それを少し暗い目で見て、小さく溜息をつく
俺って、滅茶苦茶嫉妬深いし
些細な事で傷付くんだな・・・・・・
そんな気持ちと思考を薙ぎ払う様に
「あ 相合い傘だ~」
とニヤニヤしながらからかう
「へへ、いいだろー!!!www」
と海斗が笑いながら胸を張っているのに苦笑しながら
また3人揃って歩き出す
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