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第六章 波打ち際のゴーレム

第五十九話 ゴーレムVS岩亀

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 出会い頭の亀は、その口から真っ白の水を吐きだした!
 オレは障壁魔法でそれを防ぐ!
 これが病の原因か!
 普通の水じゃないな。魔力が通ってやがる!
 感知を使わなくてもビンビン感じる!



 オレは後ろの3人を下がらせた。
 3人も大人しく下がってくれる。これは剣や刀じゃ無理だと悟ったらしい。
 岩亀がノソノソとオレの方に歩いてくる。
 オレも岩亀にノシノシと近づく。
 亀は一瞬にして首を伸ばすと、オレの事を丸飲みにしようと口を広げた!
 早い!
 オレは亀の顎を両手で抑えると、その噛みつきを抑え込んだ!
 重い!なんつう力だ。
 こいつ、戦うつもりがねえ!オレをその辺の餌と同じ感覚で噛みついてきてやがる!
 
 フレアバーナー!!

 オレは体の前に炎の塊を作り出して亀の口の中に火炎放射を叩きこんだ!
 亀はたまらず顔を下げて、岩の甲羅に頭を隠した。
 顔の先が見えてんだよ!
 オレは拳を、その鼻先に叩きこんだ!
 
 『ガヂン!』

 ぬお、硬い!オレの拳で無傷かよ!
 亀は完全に防御態勢になった。
 顔先は無理か?
 何度か拳を叩きこんだ。相当な衝撃が入っているはずだが亀の顔にヒビすら入らない!
 この硬さはあのドラゴン以上か!?
 
 『ドゴッ!!!』

 一瞬にして亀の首が再び表に出てくる。その速度と重さだけでオレの体が後方に押された。
 両足を踏ん張って地面を抉り、亀の顔を両手で抑え込む。
 くそ、つぶせねえ!
 もう一度炎の魔法だ!
 
 フレアバーナー!!!!!!!!!!

 また首が甲羅の中に引っ込んだ。オレの炎は甲羅の先を焦がしただけに納まる。
 
 アイスピラー!!!!!!!

 氷柱を顔面に叩きこむが、氷は砕けて霧散する。
 氷の魔法もだめか。
 ならば地魔法!

 ストーンランス!!!!!!!!

 地面から尖った岩を次々と繰り出して亀の下の部分を突き刺すことに!
 ダメだ。下部分も相当に硬い。全然刺さらず岩の槍の先が折れた。
 
『ズシンっ!!!』

くそ足も引っ込めやがった!
完全に地面と同一化して、1個の巨岩と化した。
首や足の穴が地面にめり込んでしまっている。
どこ攻撃すりゃいいんだよこいつ!



オレは巨大化の魔法を使うことにした。こうなりゃ甲羅をぶち抜いてやる!
亀よりも更に巨大化して、両手を組んで岩の甲羅に叩きつけた!

『ダギーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!』

 とてつもない衝撃が起こり亀の体が更に地面に埋まった。
 これでもヒビすら入らないのか!やっぱこの間のドラゴンよりも硬い!
 
『ダギーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!』

 オレはもう一度、拳を振り下ろした。
 それでも亀は地面にめり込んでいくだけで、上面の甲羅は尖った岩状の突起が欠ける程度だ。
 これでもダメか!ならばこいつでどうだ!
 オレは巨大化の魔法を最大までかけてドラゴンと戦った時のサイズにまで大きくなる。亀の体を両手で下から持ち上げる!

 ふぬぬぬぬぬぬうううううううう!

 力いっぱい持ち上げて、逆さまに放り投げる!

『ズウウウウウウウウン!!!!!!』

 木々をへし折り亀が逆さまにひっくり返った。お腹の部分が丸見えだ。
 ここも堅そうだが上より硬いってことはないだろ!
 オレは重力魔法を重ねかけして、足で思いっきり亀を踏み抜く!

『ビキッ!』

 よし!ヒビが入った!
 何度も何度も足で踏みつけてヒビを広げる!
 体のサイズを半分まで戻して右手に火の魔法を集中させる!

 オレのこの手は真っ赤に燃えることが出来るんだぜ!

 炎の魔法を手に纏わせて、ヒビの入ったお腹の部分に叩きこむ!
 腹の甲を破り、オレの手がそのお腹の中にめり込んだ。
 そのまま炎の魔法を全開放!

 体の中から焼いてやる!

 首や足を甲羅から出して、亀がバタバタと動かす。
 亀はしばらくすると、ぐったりと首を下し戦いが決した。
 オレはそのまま手を引き抜くと、手のひらを開いて魔石を確認する。
 握りこんだ魔石は、そこそこ大きく水色の綺麗な色の魔石だった。



「森守様!おみそれいたしました!」

足元で3人がこちらを見上げてくる。オレは手のひらを地面に降ろして3人を乗せると持ち上げた。
 上から見ていた為、はっきりと分かる。
 恐ろしい数のフォビアコボルトがこちらに向かってきている。
 亀の次は犬が相手らしい。とはいうもののこのまま歩いているだけでコボルトは殲滅できるが。

「この数!いかがなさいますか?」

 毒の原因であろう亀は退治したし、探知の範囲には同じ種類の亀いなそうだ。残る問題はコボルトだけだ。倒す分には蹴って踏んでしてればいいんだけど、この歳でそんな荒っぽいことしたくないし。
 でもこいつら全滅させるか、壊滅的な被害を出させないと3人の村がやばいし。
 かといって、ずーっとここで森守様と崇められる?むずがゆいよ。
 オレは空の島が気になってしょうがないんだ!
 違う、そうじゃない。
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