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第四章 ゴーレムと赤い砂漠

第三十四話 ゴーレム、仲間が出来る

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「どうした?」

恐る恐ると言った感じでおっさん戦士が聞いてきた。
えっと、ゴートさんだっけ。
オレは近くのサボテンを引っこ抜いて、地面に投げ込んだ。
オレの前、進行方向の先に大きな穴が口を開いた。
流砂だ。

「これを伝えたかったのか?」

そうそう。オレは体を前に倒して相槌をうった。
お辞儀してるみたいだなー。

「そうか、助かる」

よかったよかった。
じゃあそういう訳で。
オレは再度進行方向に足を進めた。
今度は5人とも大人しくオレについてくる。
無言でついて来られてもなあ。
なんか後ろで盛り上がってくれると嬉しいんだけど。
こう、会話に飢えてるんですよずーっと。
ああ、寂しいなあ。
首をくるくる回しながら周りに探知と感知魔法をかけつつ、後ろの5人にきつくないようになるべく起伏のない場所を選んで歩こう。

あ、なんか引っかかったな。
オレは足を止めてそちらに視線(?)を送る。
あれは、なんだろ?トカゲだな。
オレが指をそっちに向ける。

「今度はなんだ?」
「あれは・・・デザートアサシン!」

セイーリアさんだ、あのトカゲはそんな大層な名前がついているんだね。
サイズ的にはコモドオオトカゲだしね。危険っぽさは全身からにじみ出ているわな。

「こんなに離れているのに気付けるなんて・・・」

セイーリアが驚いてこっちを見つめてくる、美人さんに見つめられちゃった!
でもこっちが気づいたからか、デザートアサシンは離れていった。

「奇襲専門の狩りスタイルだからかしらね、気づかれたとわかるとすぐに離れていくわ」
「だが、気を抜かない方がいい。砂漠は食料が少ない、この機会を逃すとも思えん」
「どうでもいいけど暑いにゃあ。毛が生え変わるにゃあ」
「テイ、水」
「メルのことが大好きだにゃ!」
「こらこら、大事に飲みなさい」

ああ、会話っていいなあ。混ざれないのが残念だ。
少し歩くとまた会話が無くなってきた。
デザートアサシンが後ろを尾行してきている。
まずいかなあ、でも結構離れてるんだよなあ。
オレぶっちゃけ鈍いからすぐに逃げられちゃうだろうし。
ゴートさんの言ってた通りになった。
年長者は経験値が違うね。うん。
というか、この人たちよくも黙々とついてくるよね。
オレ足遅いから追い抜いて先に行くのかと思ったけど。
気が付くとオレを先頭に一列で歩いてるし。
なんか冒険の仲間っぽい!
って、オレ敵キャラだった。萎えるー。
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