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第一章 志雄、ゴーレムになる

第七話 ゴーレム、お葬式をする

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『こいつを外に捨ててくるんじゃ。獣や魔物が集まってもしかたがないでの。深く地中に捨ててくるんじゃ』

おい、爺さんこれって・・・。

『ん?ああ、そうじゃおぬしじゃ』

やっぱり!見たことあるパジャマだと思ったよ!
てか痩せこけて!色も人間の色してねえ!

『うむ、流石に自分で片付けるのも面倒だったのでな。お前にやらせようと思ったのじゃが・・・1カ月も動き出さなかったせいでこの様じゃ』

ああ、オレの体が・・・これは自主規制だわ。

『まあ頼むぞい』

このくそじじい!ぶち殺・・・あだだだだだだだだ!
なんだよ・・・こんな体なのに電気が走ったみたいに体がいてえ!

『儂への殺意は契約違反じゃ、身動きが取れんじゃろう。ほれ、とっとと捨ててこい』

せめて埋葬してこいと言ってくれ・・・やっぱオレ、中身なかったかー。

『そりゃあそうじゃ、お主ゴーレムじゃもん』

わお!やっぱそんなびっくり状態なんだ!

『うむ、そうじゃ。忘れとった。かがめ』

かがむ、こうか。

『お主のそのバケツ頭に耳を作ろうと思ってたのじゃ』

バケツ頭って?!てか作ったのお前だろうが!最高傑作って言ってたじゃねえかよ!

『うるさいのう、いいから下を向かんかい』

なんか、ドリルっぽいものを持ち出してるように見えたのだが・・・。
まさか・・・。

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!!!

おお!音が聞こえた!てか、耳って穴開けただけじゃねえか!

「これで念話を聞かないですむわい。お主うるさいからのう」

うわ、そんな理由かよ。

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!!!

反対側も無事穴が開けられました。これで音がしっかり聞こえるようになったよ。

「そいつを捨てて来たらさっきの続きじゃ。森から出るんじゃないぞ。あと倒した獣や魔物はこの魔法の袋に仕舞うのじゃ」

袋?石ころじゃねえか。

「胸元にそれを押し付けるんじゃ」

こう・・・か。おお、吸い込まれていった。

「それをやれば様々な魔法をお主は取り込めるぞい。魔物を倒して体を開けば、魔石が大抵作られておる。この森の魔物全種類コンプリートしたら戻ってきてよい。ただBランク以上の魔石は取り込まずに袋に仕舞って持って来い。儂が使うからの。魔物の死体も極力回収してくるんじゃ」

くそ、好き勝手言いやがって。大体オレにオレの体を捨てろとかどういう神経してるんだ。

「死体なら魔法の袋に入れられるからの、そのゴミも袋に入れてしっかり埋めてくるんじゃぞ」

うわ、こいつぶんなぐりて・・・あだだだだだ。
くそ、言うこと聞くしかないのか。

「とっとと行ってこい!」

蹴んな!

さて、とりあえず・・・埋葬するか。
とは言うものの埋める・・・埋めるねえ。いやだなあ。
ああ、でもなんか逆らえる気が全くしないや。埋めよう。
覚えたての地魔法で地面に深く穴をあけて、魔法の袋から取り出した自分の体を優しく横たえた。
うわ、いやな光景だな。
自分で自分を埋葬する経験なんて世界中見渡しても誰もしたことないでしょ。
埋めた後に、適当に岩を乗せて日本風のお墓に・・・地魔法で加工出来るかな?
お、思ったより綺麗に出来た。名前も彫って・・・戒名?何それ?・・・OK.少し、いやかなり大きいけどまあ仕方ないか。



手を合わせて・・・と、お供え物は・・・・いいか。
はあ、何やってんだよ。
異世界人って呼ばれたな。
まあ現実っぽくないけど。でもなあ、夢とかそんな感じはしないんだよなあ。
空を見上げれば月が3つもあるし。
何よりこの体に、魔法・・・か。
自由に行動ができないのが難点だが、しゃあない。
とりあえず魔物コンプリートしないと、さっきの二つ顔の虎を掘り出しなおそうかな。

どっちから戻ってきたんだっけかな。
見渡すと、明らかに森の木々が押し倒されている跡が・・・絶対にあっちだ。
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