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第二章 始まる学校生活

第三十三話

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「そろそろ、流れを変えよう」

魔道学校の授業で剣道の真似事をするのもおかしな話である。美鈴は体内の魔力を活性化させて踏み込むことにした。
光の表情が先ほどよりも険しい表情にかわった。

「・・・」
「少しだけ、しっかりやる」

美鈴は光の間合いの半歩内側にすべりこむと、上下左右さまざまな角度から剣を振るった。
剣を上から下に下ろし、それを斜め右上に引き上げつつ途中で止めて横薙ぎの一閃に変える。
腕ではなく体全体でそれを支えているため、美鈴自身も剣の速度に合わせて高速に体が上下する。

「!」

視界に捕らえた剣先はすべて押さえ込む。光は美鈴からの攻撃を迎撃すべく剣を走らせた。
突きは避け振り下ろしは空振りさせて、横薙ぎの一撃は押さえ込んで。
先ほどの踏み込みとは比べ物にならない速さの連撃を、光は冷静に確実に打ち落としていった。
しかし小刻みな攻撃を連続してくる美鈴に対し、反撃に出ることが出来ない。
体全体が防御に向いてしまっている、このままではいけない。受け身になっていて足もあまり動いてなかった。
光は木刀を振り回しての回避をやめて体全体で回避するように心がけた。
とたんに美鈴の顔色が変わる。
逆に光の表情には少し余裕が伺えた、足と体のスウェーで回避を始めたため木刀が攻撃に転じられるようになっている。
光の木刀が横薙ぎに振られた。ショートソードサイズの木剣と比較すると多少は遅く感じられるが、その速度は十分に速くその一撃は木剣よりも十分に重い。
2手3手と美鈴は木剣で受けたが、徐々に後退を余儀なくされていく。
美鈴の体内の魔力が更に激しく動き始めた。
なにかやる、光はそんな気配に緊張を走らせた。
しかし美鈴は軽く首を左右に振ると、活性化させていた魔力を静めると笑顔で光から離れ剣を下ろした。
美鈴からの圧力が消えたため、光も木刀を下げて一礼をした。

「せんせ、この子うちのクラスで」

美鈴が李に告げる。

「いきなりSクラス入りか、問題は・・・」

李がクラウドに目を向ける。

「いいんじゃね?あそこは強いことがだけ条件なんだ。問題ないだろ」
「・・・わかりました。仙波、お前はこのあと七井と一緒に移動な」
「大丈夫、案内する」

光に代わり美鈴が答える。

「うそ・・・」
「最初の振り分け授業でいきなりSクラス入りって」
「すごすぎ」
「なんかずるいわ」
「でも強かったわよね」
「ちっちゃくて可愛いし」
「・・・許せない」

そんな状況下、光には羨望と嫉妬の眼差しが(主に二回生から)集中する。
目立ちたくはあったが、期待していた状況とは少し違うようだ。
光は状況がよくわからず、首をかしげるだけだ。
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