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第一章 光、入学する
第八話
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「あらおかえり、早かったね二人とも」
生徒会専用宿舎に戻ったセシルとシルフィに、入り口を入ってすぐ声がかかる。ちなみに女子寮の為レオはここに来るのを嫌がったため、一般の男子生徒用の宿舎に直接帰った。
『会長、美鈴先輩。ただいま戻りました』
「こんなに早く帰ってきて・・・」
会長と呼ばれた銀髪の少女が鋭い視線を二人に向ける。
一本にまとめられた三つ網の髪を後ろにかきあげ、二人の帰還を出迎えた。
「どんな折檻をするかまだ決まってないよ?」
『折檻とな!?』
セシルとシルフィが声をそろえて驚く。
「調教のほうがよかったかな?」
「それじゃああまり、変わらないぞ」
「あ、そう?」
「後輩をイジメるの、よくない」
『さすがが美鈴先輩。寛大なお言葉だ』
ツインテールの黒い髪を揺らし、美鈴と呼ばれる少女がセシルたちを庇う。
「美鈴がそうやって甘やかすから、この子達はどんどんいい加減な性格になっていくんだよ?」
「甘やかしてなど、いない」
「どちらにしてもお仕置きが必要だと思わない?この時間に戻ってきたって事は足止めせずにトドメを刺して戻ってきたかもしれないし?」
「む、それは良くない」
「でしょう?彼女たちが後輩を先にイジメてきたかも知れないし?そうなったら逆にその後輩の為にも彼女たちを再度ちょうきょ・・・じゃなくて指導をかけなけくちゃ」
「指導、大事」
「ちょっと美鈴先輩!騙されないでください。確かに足止めは出来てなかったですけどトドメを刺してきたわけでもないですわ」
シルフィが慌てて美鈴にフォローを入れる。
「・・・そう、なのか?」
『もちろんだ』
「じゃあ負けたのね?」
今度は会長からだ。
「えーっと・・・それは」
「後輩に遅れをとるなんて、生徒会の役員としてはやはりお仕置きが必要だね」
『とりあえず何か理由をつけて我々をいじりたいという会長の意思が伝わってきたぞ』
「セシル、テレパシーに目覚めたのね?すごいすごい」
「セシル、すごい」
『目覚めてなどいない!!』
「美鈴先輩・・・会長の言葉は話半分で聞き流してあげないと」
「シルフィは失礼なやつだな、お前はお仕置き時間二倍に延長だ」
『本当にお仕置きやるんですか!?』
「シルフィ、二倍だ」
「シルフィは三倍だね。何もやってきてないでしょ?」
「えっ」
突然会長からの視線をうけ、シルフィに動揺が走った。
確かにシルフィがやったことといえば、ビニール袋にゴミを入れたぐらいなものだ。
「どーせレオとセシルに任せて後ろから高みの見物でも決めていたんだろう?」
「や、今回はレオも何もやってないですし」
『私一人で三人を相手どった。負けてしまったがな』
「シルフィ、三倍」
「やめて美鈴先輩!なんでもかんでも会長の言う通りにしたら私の体がもちませんわ」
「シルフィ、さぼりは怒る」
『シルフィとレオの出番が来る前に我が負けを受け入れてしまったものでな。敗北の責任という意味では全面的に我にある』
「あら、潔い。一方的に負けてきたんだったらセシル、フル装備のまま川に投げ込んで泳ぎの練習をさせるよ?」
こくん、とセシルはうなずきながら片手に握っていた自分の鎧の角を会長に渡した。
生徒会専用宿舎に戻ったセシルとシルフィに、入り口を入ってすぐ声がかかる。ちなみに女子寮の為レオはここに来るのを嫌がったため、一般の男子生徒用の宿舎に直接帰った。
『会長、美鈴先輩。ただいま戻りました』
「こんなに早く帰ってきて・・・」
会長と呼ばれた銀髪の少女が鋭い視線を二人に向ける。
一本にまとめられた三つ網の髪を後ろにかきあげ、二人の帰還を出迎えた。
「どんな折檻をするかまだ決まってないよ?」
『折檻とな!?』
セシルとシルフィが声をそろえて驚く。
「調教のほうがよかったかな?」
「それじゃああまり、変わらないぞ」
「あ、そう?」
「後輩をイジメるの、よくない」
『さすがが美鈴先輩。寛大なお言葉だ』
ツインテールの黒い髪を揺らし、美鈴と呼ばれる少女がセシルたちを庇う。
「美鈴がそうやって甘やかすから、この子達はどんどんいい加減な性格になっていくんだよ?」
「甘やかしてなど、いない」
「どちらにしてもお仕置きが必要だと思わない?この時間に戻ってきたって事は足止めせずにトドメを刺して戻ってきたかもしれないし?」
「む、それは良くない」
「でしょう?彼女たちが後輩を先にイジメてきたかも知れないし?そうなったら逆にその後輩の為にも彼女たちを再度ちょうきょ・・・じゃなくて指導をかけなけくちゃ」
「指導、大事」
「ちょっと美鈴先輩!騙されないでください。確かに足止めは出来てなかったですけどトドメを刺してきたわけでもないですわ」
シルフィが慌てて美鈴にフォローを入れる。
「・・・そう、なのか?」
『もちろんだ』
「じゃあ負けたのね?」
今度は会長からだ。
「えーっと・・・それは」
「後輩に遅れをとるなんて、生徒会の役員としてはやはりお仕置きが必要だね」
『とりあえず何か理由をつけて我々をいじりたいという会長の意思が伝わってきたぞ』
「セシル、テレパシーに目覚めたのね?すごいすごい」
「セシル、すごい」
『目覚めてなどいない!!』
「美鈴先輩・・・会長の言葉は話半分で聞き流してあげないと」
「シルフィは失礼なやつだな、お前はお仕置き時間二倍に延長だ」
『本当にお仕置きやるんですか!?』
「シルフィ、二倍だ」
「シルフィは三倍だね。何もやってきてないでしょ?」
「えっ」
突然会長からの視線をうけ、シルフィに動揺が走った。
確かにシルフィがやったことといえば、ビニール袋にゴミを入れたぐらいなものだ。
「どーせレオとセシルに任せて後ろから高みの見物でも決めていたんだろう?」
「や、今回はレオも何もやってないですし」
『私一人で三人を相手どった。負けてしまったがな』
「シルフィ、三倍」
「やめて美鈴先輩!なんでもかんでも会長の言う通りにしたら私の体がもちませんわ」
「シルフィ、さぼりは怒る」
『シルフィとレオの出番が来る前に我が負けを受け入れてしまったものでな。敗北の責任という意味では全面的に我にある』
「あら、潔い。一方的に負けてきたんだったらセシル、フル装備のまま川に投げ込んで泳ぎの練習をさせるよ?」
こくん、とセシルはうなずきながら片手に握っていた自分の鎧の角を会長に渡した。
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