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わくわくのダンジョン研修
第54話 わくわくのダンジョン研修 28
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「うわあ!」
日も空けた翌日のダンジョン。楽園を目の前にし、私は感嘆をあげました。
「すごい人数です」
「ほんとに昨日と同じ場所か? ここ」
シャトーダンジョンの管理事務所と冒険者カウンターには多くの筋肉派冒険者が集まっています! 昨日の内に日本中から集まってきたようです!
標準的な魔石では、その落としたモンスターの属性が付与されています。しかしゼオン君の落とした魔石は無属性だった為にここまで注目されているという訳です。
しかも昨日の発表でゼオン君が出てくるのは今日まで。皆さん息巻いて筋肉を膨らませておいでです。
「あのユニークボスのおかげか。魔石は結局いくらで値がついたんだ?」
「約4千万円です、もろもろ引かれて一人頭1千万円でした。彼女達は一部、部費扱いになるそうですけど」
「すげえな、ダンジョンって超儲かるんじゃねえか! 俺も狙おうかな!」
「支出も多いですからこの額ならボーナス程度ですけどね。深い階層に潜るとなるとそれ相当のアイテムや装備品が必要になりますからその程度の金額なんてすぐに吹き飛びますよ?」
「一千万の金が吹き飛ぶ? どんだけだよダンジョン」
「一番使うのが消耗品関係です。特に即効性の高い薬は金額も高いです」
「しかも日本ですと危険薬物に指定されている物が多いのでダンジョン以外で使用したりすると捕まるんですよね」
ダンジョンから外に持ち出そうとするだけでもいくつもの手続きが必要ですから、基本自分の根城にしているダンジョンの貸し倉庫に仕舞いっぱなしで使うたびに出し入れします。
「危険薬物って…」
「瞬間的に毒や麻痺が治るような薬がマトモな物に見えるです? ゆかなも安心して使える薬は選んで買ってるです。そして安心して買える薬物ほど値段が高いです」
「矢はまだしも弾薬や爆薬なんかは高いですしね。弾君はその辺どうなんです?」
「…支給品」
「弾が無駄撃ちする度に税金が上がるです!」
「ウチは法人だ!」
「でも補助金出てますよね」
「…」
HERO法人は国から補助金がいくらか出ていますから。
「よ、『鉄槌』に『絶壁』昨日はどうだった?」
昨日会った冒険者の人です。
「昨日ぶりですジーク。優はうはうはですけどゆかなはご飯いっぱい食べただけです」
うはうは…うはうはですね。端末を新しく出来そうです。マッド博士にでもお願いしますか。
「あ? 『絶壁』? そりゃあ冗談か都市伝説だろ」
「ダンジョン攻略が趣味の魔族って話じゃなかったっけ?」
「オレはダンジョンで死んだ幼女の幽霊って聞いたけど…」
「ちげえって! 死んだって話だ!」
ザワザワと冒険者達の中で喧騒が広がって行くのがわかります。
「優は有名人です!」
「有名…なんですかね?」
私は首の後ろを掻きながら周りを見渡します。
「あれは確かに…絶壁だな」
「間違いなく絶壁だな」
「100%絶壁だ」
「本物かわからんが絶壁だな」
「子供に言うことじゃねえなあ」
「よし、私はキレていいところですね」
「まあまあ落ち着くです。怒っても無いものは大きくならないですよ」
…私が怒っているのは彼らの視線と態度に対してなんですが。
「久しぶりだな『桃色の絶壁』」
「伴瀬…さん? お久しぶりです!」
この人は私の元ダンジョン仲間です。
ディメンションスイマーを倒した時に生き残った3人の一人です。
見事な筋肉をもって全力で拳を振り回して敵を殴殺するミスター脳筋。しかも一瞬ですが未来を見る事のできる超能力の持ち主です、空間をあちこち一瞬で移動する巨大怪魚を的確に攻撃しつつも、見えない異空間からの攻撃を回避することのできる凄腕です。
「おう、大きくなったな!」
「ええ! 大きくなりました!」
あの頃から比べると10センチも身長伸びましたからね!
「うむ、いい事だ」
そう言って私の頭を撫でます。
「今から潜るのか。レアボス狙いか?」
「ポンコツの武者修行です」
「おい、さらっとポンコツ言うな」
「そうか…少年、自由にやるといい。絶壁や鉄槌に合わせようとするな。人外という物が世の中には存在する」
「え? えっと…はい」
その言葉に私とゆかなさんが顔を合わせます。
「人外じゃないです!」
「人外ではないです!」
「わかったわかった。しかし心配だな。ついていくか?」
「トモセは心配症です。でもゆかな達はボス狙いじゃないです、トモセはボス狙いじゃないです? 普段は浦安じゃないですか」
「おいおい、先拳さんよ? オレ達の誘いを断っといてそんなガキのお守りを買って出る気か?」
冒険者の一人が声を上げました。
「大体こんなガキ共だけでダンジョン潜ろうだなんて嘗めてんじゃねえのか? どーせボンボンの道楽なんだろ?」
おお! テンプレです! これがいわゆるテンプレです! 前に浦安でもこんな展開ありましたね。
日も空けた翌日のダンジョン。楽園を目の前にし、私は感嘆をあげました。
「すごい人数です」
「ほんとに昨日と同じ場所か? ここ」
シャトーダンジョンの管理事務所と冒険者カウンターには多くの筋肉派冒険者が集まっています! 昨日の内に日本中から集まってきたようです!
標準的な魔石では、その落としたモンスターの属性が付与されています。しかしゼオン君の落とした魔石は無属性だった為にここまで注目されているという訳です。
しかも昨日の発表でゼオン君が出てくるのは今日まで。皆さん息巻いて筋肉を膨らませておいでです。
「あのユニークボスのおかげか。魔石は結局いくらで値がついたんだ?」
「約4千万円です、もろもろ引かれて一人頭1千万円でした。彼女達は一部、部費扱いになるそうですけど」
「すげえな、ダンジョンって超儲かるんじゃねえか! 俺も狙おうかな!」
「支出も多いですからこの額ならボーナス程度ですけどね。深い階層に潜るとなるとそれ相当のアイテムや装備品が必要になりますからその程度の金額なんてすぐに吹き飛びますよ?」
「一千万の金が吹き飛ぶ? どんだけだよダンジョン」
「一番使うのが消耗品関係です。特に即効性の高い薬は金額も高いです」
「しかも日本ですと危険薬物に指定されている物が多いのでダンジョン以外で使用したりすると捕まるんですよね」
ダンジョンから外に持ち出そうとするだけでもいくつもの手続きが必要ですから、基本自分の根城にしているダンジョンの貸し倉庫に仕舞いっぱなしで使うたびに出し入れします。
「危険薬物って…」
「瞬間的に毒や麻痺が治るような薬がマトモな物に見えるです? ゆかなも安心して使える薬は選んで買ってるです。そして安心して買える薬物ほど値段が高いです」
「矢はまだしも弾薬や爆薬なんかは高いですしね。弾君はその辺どうなんです?」
「…支給品」
「弾が無駄撃ちする度に税金が上がるです!」
「ウチは法人だ!」
「でも補助金出てますよね」
「…」
HERO法人は国から補助金がいくらか出ていますから。
「よ、『鉄槌』に『絶壁』昨日はどうだった?」
昨日会った冒険者の人です。
「昨日ぶりですジーク。優はうはうはですけどゆかなはご飯いっぱい食べただけです」
うはうは…うはうはですね。端末を新しく出来そうです。マッド博士にでもお願いしますか。
「あ? 『絶壁』? そりゃあ冗談か都市伝説だろ」
「ダンジョン攻略が趣味の魔族って話じゃなかったっけ?」
「オレはダンジョンで死んだ幼女の幽霊って聞いたけど…」
「ちげえって! 死んだって話だ!」
ザワザワと冒険者達の中で喧騒が広がって行くのがわかります。
「優は有名人です!」
「有名…なんですかね?」
私は首の後ろを掻きながら周りを見渡します。
「あれは確かに…絶壁だな」
「間違いなく絶壁だな」
「100%絶壁だ」
「本物かわからんが絶壁だな」
「子供に言うことじゃねえなあ」
「よし、私はキレていいところですね」
「まあまあ落ち着くです。怒っても無いものは大きくならないですよ」
…私が怒っているのは彼らの視線と態度に対してなんですが。
「久しぶりだな『桃色の絶壁』」
「伴瀬…さん? お久しぶりです!」
この人は私の元ダンジョン仲間です。
ディメンションスイマーを倒した時に生き残った3人の一人です。
見事な筋肉をもって全力で拳を振り回して敵を殴殺するミスター脳筋。しかも一瞬ですが未来を見る事のできる超能力の持ち主です、空間をあちこち一瞬で移動する巨大怪魚を的確に攻撃しつつも、見えない異空間からの攻撃を回避することのできる凄腕です。
「おう、大きくなったな!」
「ええ! 大きくなりました!」
あの頃から比べると10センチも身長伸びましたからね!
「うむ、いい事だ」
そう言って私の頭を撫でます。
「今から潜るのか。レアボス狙いか?」
「ポンコツの武者修行です」
「おい、さらっとポンコツ言うな」
「そうか…少年、自由にやるといい。絶壁や鉄槌に合わせようとするな。人外という物が世の中には存在する」
「え? えっと…はい」
その言葉に私とゆかなさんが顔を合わせます。
「人外じゃないです!」
「人外ではないです!」
「わかったわかった。しかし心配だな。ついていくか?」
「トモセは心配症です。でもゆかな達はボス狙いじゃないです、トモセはボス狙いじゃないです? 普段は浦安じゃないですか」
「おいおい、先拳さんよ? オレ達の誘いを断っといてそんなガキのお守りを買って出る気か?」
冒険者の一人が声を上げました。
「大体こんなガキ共だけでダンジョン潜ろうだなんて嘗めてんじゃねえのか? どーせボンボンの道楽なんだろ?」
おお! テンプレです! これがいわゆるテンプレです! 前に浦安でもこんな展開ありましたね。
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