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わくわくのダンジョン研修
第50話 わくわくのダンジョン研修 24
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「今日はこの辺りで終了です!」
40層のボス明け休憩室でゆかなさんが高らかに宣言します。
「ええー、もっと行こうぜ? 俺はまだまだ行けるぞ?」
「時間を見るです! もう7時です! これから帰ってご飯食べて寝て、明日は学校です!」
世間一般では平日でした。
「じゃあ俺とこの子だけで…」
「こんな小さい子を夜に連れまわすつもりです? 驚きの変態さなのです!」
「「えええ…」」
私の呻き声と弾君の呻き声がリンクしました。
「初心者のダンジョンは一日3時間から5時間です。熟練者の冒険者でも夜間の行軍は行わないです。夜明けまで待とうとダンジョンの中をうろうろしていた弾みたいなのは真っ先に死ぬです、生きていたのはダンジョンのレベルが低かっただけでただの運です」
「あー、ははははは」
私の口から乾いた笑いが漏れてしまいます。
やあ、幼かったとはいえ我ながら無茶したものです。
「お前…」
私の笑いに気づいた人が一名いました。
「まあ実際問題、敵の詳細やダンジョンの特性をしっかりと把握してないと夜間行軍やダンジョン内での野営は危険ですよ? 私の場合は壁になる魔法と数多くの野営の為の準備をしていましたからソロで寝泊まり出来ましたけど」
「むう、ソロでお泊りは本当に危険ですよ。ここのダンジョンみたいにボス部屋に休憩室が隣接しているなんて親切設計ほとんどないですから」
「浦安はなかったですね」
「比較的新しいダンジョンやランクの低いダンジョンならあるです」
「じゃあここなら行けるって話なんじゃ」
「それでもダメです。気づかない疲労の蓄積に減りすぎた消耗品、どこから沸いてでるかも分からない敵に強いられる緊張感。うろうろしてた時、ぐっすり寝れたですか?」
私、寝てました。
「それは、あの…」
「弾切れ起こしてるって話もでてたです。却下です却下! それよりも今日分かった事です! 弾は火力不足です! 銃が効かない相手だとポンコツです!」
「なっ! お前だってハンマーが効かない相手じゃ何も出来ないだろ?!」
「ゆかなは仲間がいるです。仲間がいない状態でそんな敵と戦わないです。出会ったら逃げるです、ダンジョンですから。でも弾の本当の戦場はダンジョンじゃないです、HEROですから逃げれないです。そんな敵と戦う時にはどうするですか?」
「それは」
「敵の察知にしてもそうです! 仲間いるですか!? ゆかなと優がいなかったから31層で詰まってるじゃないですか。もっと嗅ぐです!」
「無茶言うなよ…だから応援でお前に声をかけたんじゃ」
「ダンジョン内での解決策だけで済ますです? 言っておきますですが、ゆかなは破面活動に興味ないですよ」
困ったようにこちらに視線を向ける弾君ですが、私は首を横に振る事しか出来ません。
「正直正面から戦いを挑まれても、弾に負ける事は無いです。断言するです」
「なんだと?」
「これは優もです。まだ隠し玉ありますですよね?」
彼と戦う場合ですか…ダークネスマッスルになれば瞬殺出来る気がします。
「…」
「沈黙は是、と取るですよ?」
「ええと、まあ。はい」
「逆に聞くですが、弾はゆかなに勝てるです? あんな豆鉄砲じゃゆかなのとんかちは止まらないですよ」
「ぐぬ、まあ学園最強の一角に勝負を挑むつもりもないが…俺はこいつより弱いのか!? 子供じゃねえか! そもそもこいつ最初にロボと戦ってただけでほとんど戦ってないじゃねえか」
「優はただ後ろから歩いていただけじゃないです。敵の位置を常に伺い、トラップに気を配って弾を誘導してたです」
「他にやること無かっただけじゃねえか。俺がデストロイしてたんだし!」
「その考えが甘いです! 今の弾は高く見積もっても到底ゴールドには到達してないです、ダンジョン内での立ち振る舞いという意味でも、単純な戦闘能力も含めて弾は優以下です!」
「~~~!! じゃあ勝負だ! 俺は負けねえぞ!」
「望む処です! 優! やるです!」
「えっと? 私の意見は?」
「却下です!」
「よっしゃ! ボス部屋戻るぞ! 今なら敵もいねえだろうからな!」
今はいないけど、一応私が敵ですよ。
40層のボス明け休憩室でゆかなさんが高らかに宣言します。
「ええー、もっと行こうぜ? 俺はまだまだ行けるぞ?」
「時間を見るです! もう7時です! これから帰ってご飯食べて寝て、明日は学校です!」
世間一般では平日でした。
「じゃあ俺とこの子だけで…」
「こんな小さい子を夜に連れまわすつもりです? 驚きの変態さなのです!」
「「えええ…」」
私の呻き声と弾君の呻き声がリンクしました。
「初心者のダンジョンは一日3時間から5時間です。熟練者の冒険者でも夜間の行軍は行わないです。夜明けまで待とうとダンジョンの中をうろうろしていた弾みたいなのは真っ先に死ぬです、生きていたのはダンジョンのレベルが低かっただけでただの運です」
「あー、ははははは」
私の口から乾いた笑いが漏れてしまいます。
やあ、幼かったとはいえ我ながら無茶したものです。
「お前…」
私の笑いに気づいた人が一名いました。
「まあ実際問題、敵の詳細やダンジョンの特性をしっかりと把握してないと夜間行軍やダンジョン内での野営は危険ですよ? 私の場合は壁になる魔法と数多くの野営の為の準備をしていましたからソロで寝泊まり出来ましたけど」
「むう、ソロでお泊りは本当に危険ですよ。ここのダンジョンみたいにボス部屋に休憩室が隣接しているなんて親切設計ほとんどないですから」
「浦安はなかったですね」
「比較的新しいダンジョンやランクの低いダンジョンならあるです」
「じゃあここなら行けるって話なんじゃ」
「それでもダメです。気づかない疲労の蓄積に減りすぎた消耗品、どこから沸いてでるかも分からない敵に強いられる緊張感。うろうろしてた時、ぐっすり寝れたですか?」
私、寝てました。
「それは、あの…」
「弾切れ起こしてるって話もでてたです。却下です却下! それよりも今日分かった事です! 弾は火力不足です! 銃が効かない相手だとポンコツです!」
「なっ! お前だってハンマーが効かない相手じゃ何も出来ないだろ?!」
「ゆかなは仲間がいるです。仲間がいない状態でそんな敵と戦わないです。出会ったら逃げるです、ダンジョンですから。でも弾の本当の戦場はダンジョンじゃないです、HEROですから逃げれないです。そんな敵と戦う時にはどうするですか?」
「それは」
「敵の察知にしてもそうです! 仲間いるですか!? ゆかなと優がいなかったから31層で詰まってるじゃないですか。もっと嗅ぐです!」
「無茶言うなよ…だから応援でお前に声をかけたんじゃ」
「ダンジョン内での解決策だけで済ますです? 言っておきますですが、ゆかなは破面活動に興味ないですよ」
困ったようにこちらに視線を向ける弾君ですが、私は首を横に振る事しか出来ません。
「正直正面から戦いを挑まれても、弾に負ける事は無いです。断言するです」
「なんだと?」
「これは優もです。まだ隠し玉ありますですよね?」
彼と戦う場合ですか…ダークネスマッスルになれば瞬殺出来る気がします。
「…」
「沈黙は是、と取るですよ?」
「ええと、まあ。はい」
「逆に聞くですが、弾はゆかなに勝てるです? あんな豆鉄砲じゃゆかなのとんかちは止まらないですよ」
「ぐぬ、まあ学園最強の一角に勝負を挑むつもりもないが…俺はこいつより弱いのか!? 子供じゃねえか! そもそもこいつ最初にロボと戦ってただけでほとんど戦ってないじゃねえか」
「優はただ後ろから歩いていただけじゃないです。敵の位置を常に伺い、トラップに気を配って弾を誘導してたです」
「他にやること無かっただけじゃねえか。俺がデストロイしてたんだし!」
「その考えが甘いです! 今の弾は高く見積もっても到底ゴールドには到達してないです、ダンジョン内での立ち振る舞いという意味でも、単純な戦闘能力も含めて弾は優以下です!」
「~~~!! じゃあ勝負だ! 俺は負けねえぞ!」
「望む処です! 優! やるです!」
「えっと? 私の意見は?」
「却下です!」
「よっしゃ! ボス部屋戻るぞ! 今なら敵もいねえだろうからな!」
今はいないけど、一応私が敵ですよ。
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