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てぃー☆ちゃー

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わくわくのダンジョン研修

第49話 わくわくのダンジョン研修 23

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「銃なんてきたねえぞ! 男なら素手で戦えや!」
「関係あるか! 獣人! とっととくらえ!」

 弾君が銃弾をばら撒き、その弾丸を悟君がフットワークで回避する。それの繰り返しです。
 弾君は拳銃で悟君を牽制し、距離をうまくとって戦います。
 それに対して悟君は銃弾を回避して接近戦を試みますが、中々近づけません。
 リロードの隙をついて距離を一気に詰められた時もありますが、弾君のリロードの速度が余りにも早く対応されてしまいます。

「当たらない!」
「クソ! 近づけない!」
「終わらないですね、あと銃声でうるさいです」
「見てて飽きたです、銃声やかましいです」
「ギャラリーだまってろ!」

 言いながら拳銃から弾丸を連射する弾君!
 ついにその弾丸が智君に直撃しました!

「ぐおっ!」

 攻撃を受けた瞬間に智君の動きが止まりました、その隙をついて弾君が連射! 連射! 連射!

「ぐがっ、ぐががががっ! …あれ?」

 弾丸の直撃を受けた智君ですが、さしたるダメージがなさそうです。そういえば彼、以前の授業で鬼蜘蛛先生に殴られても我慢出来てましたもんね。戦闘員だと一撃で沈むのですが、さすが幹部候補とは思いましたが。

「なんだよ、蚊に刺された程度じゃねえか」
「なん…だと?」

 ニヤリ、と笑みを浮かべると今度は銃弾を無視して弾君に接近します!

「オラオラ!」
「くそっ!」

 今度は弾君が逃げ回る番です。しかし智君の速度には全然対応しきれず、その蹴りをまともに受けて吹き飛ばされました!

「手、貸しますか?」
「まだいいです。変身してそれでも無理そうなら手伝うです」
「だそうです。ほら弾君! 変身してください」
「だあ! 変身言うな! するけどさ!」
「ぐるる…変身だと? まだ手が残っているといのであれば見せてみろ。それすら超えてみせよう」

 ある意味智君も変身後ですからね。どちらかといえばあれが本来の姿ですが。

「見せてやるよ! 『弾丸装填っ! 変身っ!』」

 特殊な弾丸を入れて手に持つ拳銃をバックルに変えて引き金を引きました。

『弾・丸・装・填♪ ア~ク~ア~マ~リ~ン~♪』

 先ほどとは違うメロディが流れ、赤い瞳とラインが特徴的だったその姿は青が強調された物に変わりました。
 左肩の撃鉄や基本的な姿は変わりませんが、今度は別のモードのようです。

「破面ライダーバレット! アクアマリンウォーター! ここからは俺の独壇場だ!」
「破面ライダーだと!?」

 驚いた表情でこちらを向かないで下さい。たまたまですたまたま。

「そうです! なんと弾は破面ライダーだったのです!」
「いいからそういうのは!」

 なんだか勿体ぶった言い方をしたゆかなさんにツッコミを弾君が決めます。

「なるほどな。相手にとって不足は無い!」
「そいつは光栄だ! ウォーターショット!」
「ぐぬおっ!」

 バレットとなった弾君の銃から、大きな水の塊が発射されて智君に直撃しました!
 先ほどまでよりも鋭く、弾速も早い水の塊が智君を吹き飛ばします。

「くそ、ただの水じゃねえか!」

 体中の毛から水を滴らせながら、智君が文句を言います。

「火の方がよかったのでは?」
「さっき使ったから弾切れなんだよ!」
「意外と不便なんですねぇ」

 プルプルプル、と体から水分を飛ばしながら智君が弾君を睨みつけてます。

「この程度でオレが止められるとでも思うのか!」
「ウォーターショット!」
「くそっ!」

 先ほどよりも慎重に避けるように、大きく距離をとって智君はジグザグに逃げます。

「逃がすか!」

 弾君が智君へと接近していき、水の弾丸を放ちます。

「くっ!」

 水の弾丸を避ける智君に、弾君はその逃げた先に先回りをして蹴りを加えました!

「ぐはっ!」
「へへっ! 銃だけが取り柄じゃないんだぜ!」

 蹴り飛ばした智君に再接近をし、身構える前に拳を叩き込みます。

「ぐふっ!」

 更に近距離から銃弾を発射! 

「ぐあああああああああああああ!」
「トドメだ! チャージバレット! ファイナルショット!! ウォーター!!!」

 前回と同様に、消防ホースよりも強烈で大量の水が放出されると智君が飲み込まれていきます。
 壁まで叩き込まれた水に目を向けながら、弾君が呟きます。

「…頑丈だな」

 色を失い灰色になった弾君が呟きます。

「まだ、決着はついてねえぞ」

 水が消えた壁に寄りかかりながら、智君は弾君を睨みつけその鋭い牙を見せつけます。
 その姿を見た弾君は再び拳銃を持ち上げます。

「今の火力よりも高いの出せるですか?」
「エメラルドバレットじゃ無理だな。イエローダイヤバレットを使えばなんとかなるかもしれないが」
「そうです? じゃあこの辺りが限界です」

 どこからか取り出した巨大ハンマーを肩に乗せて、ゆかなさんが智君へと近づいて行きます。

「女、今度はお前が相手か」
「そうです、でもすぐ終わりです」
「なめんじゃ「ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」

 ゆかなさんの姿がかすむと同時に、元気な掛け声が響きながらハンマーを振りぬきました! 早い!! 一瞬で距離を詰めました!
 ダンジョンの壁にハンマーはめり込み、壊すことが困難なダンジョンの壁にヒビが走ります!
 ハンマーとダンジョンの間で光が見えました。おそらく智君が消滅したのでしょう。
 智君…哀れ…。
 負けセリフも言わずに消えてしまいました。
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