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わくわくのダンジョン研修
第41話 わくわくのダンジョン研修 15
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「ご助力ありがとうございます」
「いえいえ、冒険者は助け合いです!」
「そういうことだ」
先ほどは気づきませんでしたが、20層のボス休憩室まで逃げ込めば良かったのです。わざわざボロボロになるまで戦わなくても済む話だったんですよね。
そう思いながら私の仲間たちを見ると、花蓮さんの肌面積がさらに広がっていました。
早苗さんは鎧を外し、制服姿でその外した鎧に付着したゾンビの体液を嫌そうに拭きあげています。
静さんは弓の撃ちすぎか、指をひっきしりなしに気にしています。
3人共表情が暗いです。
「…とりあえず、私の服…では合わないですからこれを」
そう言って座って俯いている花蓮さんの上からバスタオルをかけます。
「ありがと」
不満がありありの声で感謝の言葉を示してきます。
まああの数のゾンビに囲まれて劣戦を強いられたので精神的にもお疲れなのでしょう。
私もボスにかかりきりになってしまって回復や援護が出来なかったので、前衛の彼女にはかなりの負担をかけてしまっています。
ゼオン君との戦闘はあまり時間をかけなかったと思うのですが、あの数の敵を処理するにはゾンビ集団を片付けられる火力と広範囲攻撃が必要です。彼女達も範囲攻撃がありますが、どうにも威力が不足気味でした。
「それで、佐々木ちゃん。さっきのあれはなんやの?」
「あれはユニークボスであると思われますが」
「そっちやない。あんたの火の壁やら岩の壁。空を飛んだボードにユニークボスを単体で狩れる実力の事や! ウチらを馬鹿にしとったんか!」
「ええ!?」
「そうね、はっきり言って私たちのチームには過剰すぎるわ」
私の驚きを無視して花蓮さんも同調してしまいます。
「あんな? 佐々木ちゃんが強いのはええんや。強い奴が強い、当然や。でもウチらは仲間や、仲間ってのは助け合いでおんぶ抱っこするもんやない。ウチらがダンジョンに潜るんは小遣い稼ぎたいからだけやないし、より深い階層に潜るんが目的なだけでもない。大会に向けて準備をしとるんや!」
え…ダンジョン部って大会とかあるんですか!?
思わず目を見開いて静さんをみちゃいました。
私と同じリアクションを先ほど手助けをしてくれた男の子も驚いて、拳銃の弾をばら撒いております。
「なんや、知らんのかいな。毎年夏と冬にダンジョンに同時スタートしてどの学校が一番深い下層まで降りれるかの高校生大会があるんやで?」
「初耳です…」
「え? 知らんの?」
「知りませんでした」
「メジャーだと思うけど…」
「どマイナーよ。佐々木ちゃんが知らないのも無理ないわ」
「ゆかなは知ってたです!」
「俺は知らなかったな」
その大会の調整でここにいるのですか。
「まあチームワークやったり、いろんな敵との戦闘経験を積むためやし。そんな中で佐々木ちゃんみたいなんが混じったらウチら頼ってまうやん」
「装備の充実化も目的の一つ、けどあそこまで差があると流石に…ね」
「すまんな、佐々木ちゃん。本当に申し訳ないんだけど」
「いえ、大丈夫です。また戻って仲間を探す事にします」
残念ですが、仕方ない事ではあります。ソロで戦っていた頃とはやはり違いますね。
「ほんまゴメン。でもやっぱり、なんて言えばいいのか」
「仕方のないことだと思います。私も自分の事をもっと話してから合流すればよかったですね」
「いえいえ、冒険者は助け合いです!」
「そういうことだ」
先ほどは気づきませんでしたが、20層のボス休憩室まで逃げ込めば良かったのです。わざわざボロボロになるまで戦わなくても済む話だったんですよね。
そう思いながら私の仲間たちを見ると、花蓮さんの肌面積がさらに広がっていました。
早苗さんは鎧を外し、制服姿でその外した鎧に付着したゾンビの体液を嫌そうに拭きあげています。
静さんは弓の撃ちすぎか、指をひっきしりなしに気にしています。
3人共表情が暗いです。
「…とりあえず、私の服…では合わないですからこれを」
そう言って座って俯いている花蓮さんの上からバスタオルをかけます。
「ありがと」
不満がありありの声で感謝の言葉を示してきます。
まああの数のゾンビに囲まれて劣戦を強いられたので精神的にもお疲れなのでしょう。
私もボスにかかりきりになってしまって回復や援護が出来なかったので、前衛の彼女にはかなりの負担をかけてしまっています。
ゼオン君との戦闘はあまり時間をかけなかったと思うのですが、あの数の敵を処理するにはゾンビ集団を片付けられる火力と広範囲攻撃が必要です。彼女達も範囲攻撃がありますが、どうにも威力が不足気味でした。
「それで、佐々木ちゃん。さっきのあれはなんやの?」
「あれはユニークボスであると思われますが」
「そっちやない。あんたの火の壁やら岩の壁。空を飛んだボードにユニークボスを単体で狩れる実力の事や! ウチらを馬鹿にしとったんか!」
「ええ!?」
「そうね、はっきり言って私たちのチームには過剰すぎるわ」
私の驚きを無視して花蓮さんも同調してしまいます。
「あんな? 佐々木ちゃんが強いのはええんや。強い奴が強い、当然や。でもウチらは仲間や、仲間ってのは助け合いでおんぶ抱っこするもんやない。ウチらがダンジョンに潜るんは小遣い稼ぎたいからだけやないし、より深い階層に潜るんが目的なだけでもない。大会に向けて準備をしとるんや!」
え…ダンジョン部って大会とかあるんですか!?
思わず目を見開いて静さんをみちゃいました。
私と同じリアクションを先ほど手助けをしてくれた男の子も驚いて、拳銃の弾をばら撒いております。
「なんや、知らんのかいな。毎年夏と冬にダンジョンに同時スタートしてどの学校が一番深い下層まで降りれるかの高校生大会があるんやで?」
「初耳です…」
「え? 知らんの?」
「知りませんでした」
「メジャーだと思うけど…」
「どマイナーよ。佐々木ちゃんが知らないのも無理ないわ」
「ゆかなは知ってたです!」
「俺は知らなかったな」
その大会の調整でここにいるのですか。
「まあチームワークやったり、いろんな敵との戦闘経験を積むためやし。そんな中で佐々木ちゃんみたいなんが混じったらウチら頼ってまうやん」
「装備の充実化も目的の一つ、けどあそこまで差があると流石に…ね」
「すまんな、佐々木ちゃん。本当に申し訳ないんだけど」
「いえ、大丈夫です。また戻って仲間を探す事にします」
残念ですが、仕方ない事ではあります。ソロで戦っていた頃とはやはり違いますね。
「ほんまゴメン。でもやっぱり、なんて言えばいいのか」
「仕方のないことだと思います。私も自分の事をもっと話してから合流すればよかったですね」
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