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わくわくのダンジョン研修
第32話 わくわくのダンジョン研修 6
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「見てたぜお嬢ちゃん、ずいぶんと羽振りのいい買い物だったじゃあねえか?」
「初心者にそんなご大層な腕輪やら指輪はもったいねーなあ、オレ様達が有効活用してやるよ」
「いるんだよなあ、この場所のこともよく知らないで金に物を言わせて遊びほうけようとする金持ちのボンボンが。知ってるかあ? ここは日本じゃねーんだ。ここでは何があっても自己責任。つまりお嬢ちゃんの今後はオレ様達の機嫌次第って事だ」
はい。絡まれております。
部屋で買ったアイテムを装備したり買ったアイテムをカスタマイズしたりして、手持ちの冒険者用装備(ジャージの上にローブを着ただけですが)に着替えて降りてきたら不愉快な達磨3匹に囲まれてしまいました。
「黙っちゃって、怖かったでちゅかー? がっはっはっはっはっ、オレ様達はここを根城にしているチーム『マッスル3』だ! 先輩のオレ様達がなんなら手取り足取りダンジョンについて教えてやってもいいんだぜ?」
「そいつはいいなあ! オレ様達は20階層まで進んでる凄腕だぜえ? なんなら下層まで連れて行ってやろうかあ?」
マッスル3? なんということです。こんな連中がそんな大層な名前を名乗っているというのですか!
「マッスル3…と、そう名乗りましたね?」
「おうよ! 知ってのか! そーかそーか! オレ様達もずいぶんと有名に…ぎゃああああ!」
私は人差し指を伸ばして自称マッスル3の一人の胸板の横を押し込みました。
「マッスル3? それの何処が筋肉なのですか? ただただ膨れ上がっているだけ、贅肉のがまだ幾分かマシです」
「いでえ! なんだこれ! いでえ!」
「本物の筋肉ならば、私の指先程度に押し込まれて痛がることなどありえません。なんですかあなた達は? どの辺りがマッスルなのですか」
「てめえ! なにしやがる!」
「姿勢が悪い!」
私に掴み掛かってきた男に足払いを仕掛けると、簡単に倒れます。
「背骨が歪んでます! 人間の体は唯でさえ左右対称ではないんですよ? そこに筋肉をつけるのであれば、当然姿勢が良くないとバランス良く筋肉はつかないのです。変に猫背な癖に筋トレをするな!」
「な、なにを…」
「あなたは下半身の鍛え方がなっていない!」
私は指を突き刺した男のひざ裏を蹴りこんで地面に膝まつかせます。
「上半身ばかり鍛えてどうするんですか! 完全なる筋肉は鍛えられた下半身にのみ宿るのです! 情けない! ああ、情けない!」
「てめえ! ビルとゲニーになにしやがる!」
「あなたは酷いですね、あなたの肌は美しくない。肉ばかり食べていて息も汗も臭い。荒れた肌が醜い筋肉の歪さを更に際立たせている。不愉快です」
私は腰から小さな突起物のついた30センチほどの杖を取り出しました。
この杖は角賢狼の、更にその中でも時に角が小さく賢い固体の角を加工したものです。魔力融和性の高い魔銀の杖と一体化させることにより、複雑な魔法を簡単に使えるように、強力な魔法をより強力にするための装備です。
茶色い小さな角の形から私はたけのこスティックと呼んでいますが。
「あなたたちが言った事です、ここは日本ではない。つまりここで私が魔法を使ってもなんの罰則もないということです」
「ぐっ」
「しかもありとあらゆる人工物に魔妨陣が施されている日本と違い、私の魔法には何の規制も入りません。本当に使い放題なんですよ?」
実際に日本国内で魔法を行使するには、色々と魔法に制限がかかります。わざわざ魔法を使うのに端末を介して使っているのにはそれが原因でもあります。
使えないことも無いですが、えらく時間がかかったり威力が悪かったりするので不便です。防犯対策らしいですが。
「本当ならば一度完全に筋肉をこそぎ落とし、丸々太らせてから姿勢の矯正を行い、その後ダイエットをさせて再度姿勢の矯正を行って、後に筋トレと食事改善を行うべきなのですが…三年は欲しいのでやめておきましょう」
「ひい」
「さあ、ダンジョンにいきますよ。走りなさい、確か20層まで攻略したとの話。20層まで駆け足です。私は今日きたばかりですからね、ポータルも使えませんから足でいきますよ。さあ立ちなさい」
「なんだと!」
「黙りなさい、あなたたちにマッスル3という名前に少しでも、本当にミリ単位でしかありませんが近づけるように鍛えなおして差し上げます。早くしなさい! なんなら魔法で強制的に走らせますよ!?」
「「「は、はい! 」」」
「わかればいいのです! さあ、ダンジョンに行きますよ」
「え? あの、クエストは」
「あなた達程度の筋肉でなにがクエストですか! 薬草掘りでもさせられたいのですか!」
「「「すいません!」」」
「さあ走りますよ! 後ろから火球でも撃てば走り出しますか!」
「「「行きます! 」」」
気に食わない連中ではありますが、筋肉をつけようとする努力は認めてあげましょう。唯の達磨ではありますが、マッスルを目指しているのです。きっと良い奴等でしょう。
「初心者にそんなご大層な腕輪やら指輪はもったいねーなあ、オレ様達が有効活用してやるよ」
「いるんだよなあ、この場所のこともよく知らないで金に物を言わせて遊びほうけようとする金持ちのボンボンが。知ってるかあ? ここは日本じゃねーんだ。ここでは何があっても自己責任。つまりお嬢ちゃんの今後はオレ様達の機嫌次第って事だ」
はい。絡まれております。
部屋で買ったアイテムを装備したり買ったアイテムをカスタマイズしたりして、手持ちの冒険者用装備(ジャージの上にローブを着ただけですが)に着替えて降りてきたら不愉快な達磨3匹に囲まれてしまいました。
「黙っちゃって、怖かったでちゅかー? がっはっはっはっはっ、オレ様達はここを根城にしているチーム『マッスル3』だ! 先輩のオレ様達がなんなら手取り足取りダンジョンについて教えてやってもいいんだぜ?」
「そいつはいいなあ! オレ様達は20階層まで進んでる凄腕だぜえ? なんなら下層まで連れて行ってやろうかあ?」
マッスル3? なんということです。こんな連中がそんな大層な名前を名乗っているというのですか!
「マッスル3…と、そう名乗りましたね?」
「おうよ! 知ってのか! そーかそーか! オレ様達もずいぶんと有名に…ぎゃああああ!」
私は人差し指を伸ばして自称マッスル3の一人の胸板の横を押し込みました。
「マッスル3? それの何処が筋肉なのですか? ただただ膨れ上がっているだけ、贅肉のがまだ幾分かマシです」
「いでえ! なんだこれ! いでえ!」
「本物の筋肉ならば、私の指先程度に押し込まれて痛がることなどありえません。なんですかあなた達は? どの辺りがマッスルなのですか」
「てめえ! なにしやがる!」
「姿勢が悪い!」
私に掴み掛かってきた男に足払いを仕掛けると、簡単に倒れます。
「背骨が歪んでます! 人間の体は唯でさえ左右対称ではないんですよ? そこに筋肉をつけるのであれば、当然姿勢が良くないとバランス良く筋肉はつかないのです。変に猫背な癖に筋トレをするな!」
「な、なにを…」
「あなたは下半身の鍛え方がなっていない!」
私は指を突き刺した男のひざ裏を蹴りこんで地面に膝まつかせます。
「上半身ばかり鍛えてどうするんですか! 完全なる筋肉は鍛えられた下半身にのみ宿るのです! 情けない! ああ、情けない!」
「てめえ! ビルとゲニーになにしやがる!」
「あなたは酷いですね、あなたの肌は美しくない。肉ばかり食べていて息も汗も臭い。荒れた肌が醜い筋肉の歪さを更に際立たせている。不愉快です」
私は腰から小さな突起物のついた30センチほどの杖を取り出しました。
この杖は角賢狼の、更にその中でも時に角が小さく賢い固体の角を加工したものです。魔力融和性の高い魔銀の杖と一体化させることにより、複雑な魔法を簡単に使えるように、強力な魔法をより強力にするための装備です。
茶色い小さな角の形から私はたけのこスティックと呼んでいますが。
「あなたたちが言った事です、ここは日本ではない。つまりここで私が魔法を使ってもなんの罰則もないということです」
「ぐっ」
「しかもありとあらゆる人工物に魔妨陣が施されている日本と違い、私の魔法には何の規制も入りません。本当に使い放題なんですよ?」
実際に日本国内で魔法を行使するには、色々と魔法に制限がかかります。わざわざ魔法を使うのに端末を介して使っているのにはそれが原因でもあります。
使えないことも無いですが、えらく時間がかかったり威力が悪かったりするので不便です。防犯対策らしいですが。
「本当ならば一度完全に筋肉をこそぎ落とし、丸々太らせてから姿勢の矯正を行い、その後ダイエットをさせて再度姿勢の矯正を行って、後に筋トレと食事改善を行うべきなのですが…三年は欲しいのでやめておきましょう」
「ひい」
「さあ、ダンジョンにいきますよ。走りなさい、確か20層まで攻略したとの話。20層まで駆け足です。私は今日きたばかりですからね、ポータルも使えませんから足でいきますよ。さあ立ちなさい」
「なんだと!」
「黙りなさい、あなたたちにマッスル3という名前に少しでも、本当にミリ単位でしかありませんが近づけるように鍛えなおして差し上げます。早くしなさい! なんなら魔法で強制的に走らせますよ!?」
「「「は、はい! 」」」
「わかればいいのです! さあ、ダンジョンに行きますよ」
「え? あの、クエストは」
「あなた達程度の筋肉でなにがクエストですか! 薬草掘りでもさせられたいのですか!」
「「「すいません!」」」
「さあ走りますよ! 後ろから火球でも撃てば走り出しますか!」
「「「行きます! 」」」
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