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新たなる伝説の戦士!? 正体不明の三人目!
第64話 新たなる伝説の戦士!? 正体不明の三人目! 7
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「相手を頼む」
そう私に声をかけて来たのは弾君です。
いつぞやの意趣返しでしょうか。
「おいおい引金、あんな小さな子の相手をするのか」
「体は柔らかいみたいだけど、大丈夫かしら?」
「無理だろ」
「弾、やめとくです」
「ゆかな?」
私と弾君の間に入ってきたのはゆかなさんです。
「弾じゃ手に負えないですよ」
「わかってるけど、さ」
「わかってるです?」
「ああ」
「じゃあいいです、ぞんぶんに負けるといいです」
その言葉に他の生徒達がざわめきます。
「別にいいですけど、私この場じゃ魔法使えないですからね?」
ここは日本。しかも公共施設の中です。魔遮陣がふんだんに使われている施設の中では、端末無しに魔法を使うことは出来ません。
「こっちも全力は出さないさ」
授業の一環で変身するわけにもいかないですからね。
「ほほう? 転校生と引金か。こりゃあ…おい、転校生!」
「佐々木です」
先生に呼ばれた私はとりあえず名前を名乗ります。
「そうか、佐々木か。いいのか、怪我をしても自己責任だぞ」
「わかりました! 怪我をさせなければいいんですね!」
「してもだ!」
「彼が相手なら大丈夫です!」
「相手は男だぞ?」
「それよりも揉ませて下さい!」
「会話にならないっ」
最後に会ってからまだ数日も経ってません。そんなに実力は伸びてないはずです。
「ま、まあ…確かに引金相手なら問題ないか…」
先生も納得です。
「さて、先生にもご了承いただきましたし、やりますか」
「だな。じゃあ…やるか」
握手をすると、お互いに3歩後ろに歩きます。
彼は中腰で拳を前に、私は自然体で彼に向き合います。
「ふっ!」
床を蹴って彼は私に飛びかかると、拳突き出してきます。
私は回避せずに、その拳を同じく拳で迎え撃ちます。
互いの拳がぶつかり合いました。
体格の差で私は少し後ろに押されてしまいました。
「ちっ」
足を振り上げて彼の胴体を蹴ります。喧嘩キックです。
「っ」
両手をクロスさせて私の蹴りを防いだ彼でしたが、動きが止まります。
動きが止まった隙を見て、身を低くして接近。
そのがら空きのお腹に拳を突き出します!
「がっ!」
言いながらも後ろに飛ぶ弾君。背後に自分で飛んで威力を殺した様子です。
「はあ!」
追い打ちをすべく走りこんで右足で蹴りをかまします! それをジャンプ一つで飛び越えた弾君が上空から拳を突き出してきました。
その腕をとって後方へ投げ込みます。
「ちいっ」
投げ飛ばされながらも、空中で体を捻って両足で無事着地をしました。
「高く投げすぎましたか」
「あそこから投げに転じるのが俺には考えられないんだが」
「転校生つよっ」
「佐々木ちゃんだっけ? 可愛いのに…」
「早すぎて見えないんだけど」
「弾はまだまだです」
「ゆう、速い…」
体格差が出る取っ組み合いは私の求めるところではありません。彼の周りを回りながら小刻みに接近、殴打。
反撃される前にその場を離脱、それを繰り返すと…。
「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ…」
ボロ雑巾のような弾君の出来上がりです。
「私の動きに惑わされすぎです、弾君の方が大きいのですし手足が長いのですからもっとそういった面を有効活用しないと」
「ぜえ、ぜえ」
「あと動きを捉えられないにしろ、私に遊ばれすぎです。そもそも体力が少なすぎるんです、走り込みしてますか?」
「はあ、はあ、はあ」
「それに目も良くないですね。いえ、良すぎるのでしょうか? 私の攻撃に逐一反応してはいけませんよ。なまじ良すぎる眼のせいでフェイントからなにからすべて反応してたじゃないですか。私阿保らしくて途中から全部フェイント無しでやってましたから」
「ぜえ、ぜえ、ぜえ…」
「聞いてます?」
「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ」
「…トドメ、いります?」
「お、お願い、します」
腑抜けた事をいうこの男の脳天にチョップをぶち込みます。
数日程度では彼はポンコツの道からの脱却は果たせなかった様子です。
「ドリーム! ホープ! ノタマウナーが出るブブ! すぐに対応するブブ!」
「ええ、今授業中なのに」
「どうしよう…」
一人の男にトドメを刺している最中に、謎の薄緑色のぬいぐるみが慌てた声で体育館へと入ってきます。
ですが、ぬいぐるみの声に反応しているのは2人だけの様子。声しか聞こえませんでした。誰でしょう? っていま『ノタマウナー』って言いましたよね!?
「もうすぐそこまで来てるブブ! 学校が危ないブブ!」
ほほう? あの謎のぬいぐるみは『ノタマウナー』と何かしらの関わり合いがあるのかも知れません。
「さて、私は意識の無い弾君を保健室へと連れていきますね。皆さんは授業を続けて下さい」
ざわめいている生徒達と口を開けて呆けている先生を尻目に移動開始です。
そう言って私は意識の無い弾君の左足を掴んで引きづって体育館を後にすることにします。
随行してくれている白衣の大人の人達に丁寧に遠慮の言葉をぶつけ(ついでに弾君も壁などにぶつけてしまいました)丁重にお断りをします。
あれ? 保健室どこでしょう。まあその辺に捨てておけばいいですかね。
そう私に声をかけて来たのは弾君です。
いつぞやの意趣返しでしょうか。
「おいおい引金、あんな小さな子の相手をするのか」
「体は柔らかいみたいだけど、大丈夫かしら?」
「無理だろ」
「弾、やめとくです」
「ゆかな?」
私と弾君の間に入ってきたのはゆかなさんです。
「弾じゃ手に負えないですよ」
「わかってるけど、さ」
「わかってるです?」
「ああ」
「じゃあいいです、ぞんぶんに負けるといいです」
その言葉に他の生徒達がざわめきます。
「別にいいですけど、私この場じゃ魔法使えないですからね?」
ここは日本。しかも公共施設の中です。魔遮陣がふんだんに使われている施設の中では、端末無しに魔法を使うことは出来ません。
「こっちも全力は出さないさ」
授業の一環で変身するわけにもいかないですからね。
「ほほう? 転校生と引金か。こりゃあ…おい、転校生!」
「佐々木です」
先生に呼ばれた私はとりあえず名前を名乗ります。
「そうか、佐々木か。いいのか、怪我をしても自己責任だぞ」
「わかりました! 怪我をさせなければいいんですね!」
「してもだ!」
「彼が相手なら大丈夫です!」
「相手は男だぞ?」
「それよりも揉ませて下さい!」
「会話にならないっ」
最後に会ってからまだ数日も経ってません。そんなに実力は伸びてないはずです。
「ま、まあ…確かに引金相手なら問題ないか…」
先生も納得です。
「さて、先生にもご了承いただきましたし、やりますか」
「だな。じゃあ…やるか」
握手をすると、お互いに3歩後ろに歩きます。
彼は中腰で拳を前に、私は自然体で彼に向き合います。
「ふっ!」
床を蹴って彼は私に飛びかかると、拳突き出してきます。
私は回避せずに、その拳を同じく拳で迎え撃ちます。
互いの拳がぶつかり合いました。
体格の差で私は少し後ろに押されてしまいました。
「ちっ」
足を振り上げて彼の胴体を蹴ります。喧嘩キックです。
「っ」
両手をクロスさせて私の蹴りを防いだ彼でしたが、動きが止まります。
動きが止まった隙を見て、身を低くして接近。
そのがら空きのお腹に拳を突き出します!
「がっ!」
言いながらも後ろに飛ぶ弾君。背後に自分で飛んで威力を殺した様子です。
「はあ!」
追い打ちをすべく走りこんで右足で蹴りをかまします! それをジャンプ一つで飛び越えた弾君が上空から拳を突き出してきました。
その腕をとって後方へ投げ込みます。
「ちいっ」
投げ飛ばされながらも、空中で体を捻って両足で無事着地をしました。
「高く投げすぎましたか」
「あそこから投げに転じるのが俺には考えられないんだが」
「転校生つよっ」
「佐々木ちゃんだっけ? 可愛いのに…」
「早すぎて見えないんだけど」
「弾はまだまだです」
「ゆう、速い…」
体格差が出る取っ組み合いは私の求めるところではありません。彼の周りを回りながら小刻みに接近、殴打。
反撃される前にその場を離脱、それを繰り返すと…。
「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ…」
ボロ雑巾のような弾君の出来上がりです。
「私の動きに惑わされすぎです、弾君の方が大きいのですし手足が長いのですからもっとそういった面を有効活用しないと」
「ぜえ、ぜえ」
「あと動きを捉えられないにしろ、私に遊ばれすぎです。そもそも体力が少なすぎるんです、走り込みしてますか?」
「はあ、はあ、はあ」
「それに目も良くないですね。いえ、良すぎるのでしょうか? 私の攻撃に逐一反応してはいけませんよ。なまじ良すぎる眼のせいでフェイントからなにからすべて反応してたじゃないですか。私阿保らしくて途中から全部フェイント無しでやってましたから」
「ぜえ、ぜえ、ぜえ…」
「聞いてます?」
「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ」
「…トドメ、いります?」
「お、お願い、します」
腑抜けた事をいうこの男の脳天にチョップをぶち込みます。
数日程度では彼はポンコツの道からの脱却は果たせなかった様子です。
「ドリーム! ホープ! ノタマウナーが出るブブ! すぐに対応するブブ!」
「ええ、今授業中なのに」
「どうしよう…」
一人の男にトドメを刺している最中に、謎の薄緑色のぬいぐるみが慌てた声で体育館へと入ってきます。
ですが、ぬいぐるみの声に反応しているのは2人だけの様子。声しか聞こえませんでした。誰でしょう? っていま『ノタマウナー』って言いましたよね!?
「もうすぐそこまで来てるブブ! 学校が危ないブブ!」
ほほう? あの謎のぬいぐるみは『ノタマウナー』と何かしらの関わり合いがあるのかも知れません。
「さて、私は意識の無い弾君を保健室へと連れていきますね。皆さんは授業を続けて下さい」
ざわめいている生徒達と口を開けて呆けている先生を尻目に移動開始です。
そう言って私は意識の無い弾君の左足を掴んで引きづって体育館を後にすることにします。
随行してくれている白衣の大人の人達に丁寧に遠慮の言葉をぶつけ(ついでに弾君も壁などにぶつけてしまいました)丁重にお断りをします。
あれ? 保健室どこでしょう。まあその辺に捨てておけばいいですかね。
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