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エルアーラ遺跡編
episode449
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「ならば本気とやらを出してみろ。《ゲームマスター》とかいったか? リッキーに分け与えたという、その力を使ってみるがいい」
ヴァルトの記憶の中で、キュッリッキがたどたどしく説明した奇妙な能力名。そんなスキル〈才能〉があることはこれまで報告が上がっていないし、賭博や遊びのゲームを、わざわざ拐かしてまで与えるのも変な話だ。
力の使い方が判っていない以上、ベルトルドが見極める必要がある。
本当にその力が、キュッリッキの身を守るものなのかどうかを。危険な代物なら、すぐにでも排除しなければならない。
(――そもそも、何のために与えた?)
その真意が、キュッリッキの説明では見えてこない。そこがベルトルドの心に引っかかっている。
(何も知らない俺のリッキーに、訳のわからん知識を詰め込んだ挙句、あのような怪しい力をくっつけおって…ケシカラン!)
挑発しながらも思案に耽るベルトルドの物言いに、ヒューゴは軽く肩をすくめて見せた。
「いいでしょう。後悔しないでくださいよ?」
ゆっくりと目を閉じると、ヒューゴは軽く顎をひいた。やがてヒューゴを取り囲むようにして、床に小さな光の輪が7つ出現する。その輪からゆっくりと青く煌く彫像が姿を現し、ヒューゴの身体を守るように宙に浮いていた。
上半身は男か女か曖昧な顔立ちの人間の姿で、腰から下は氷柱のようになっている。7体全て騎士のような格好をしていて、レイピアを捧げ持ち、ヒューゴを背に庇うように浮いているのだ。
「ボクはね、生まれつき7つにカテゴライズされる能力を授かって生まれてきたんだ。でも、直接ボク自身がその力を放つことはできなかった。この手から火を出すことも、風を生み出すことも出来ない。不思議だろ? ――内に秘めたこの能力を、どうしたら使いこなすことが出来るんだろうか。それを考えている時にね、ボードゲームからヒントを得たんだ。ボクの力を駒の形にして、それを操るのはどうなのだろうかと」
(一人の人間に7種の能力だと………?)
「直接扱えないのに、そんなことが可能なのか? そう思ったけど、やってみると案外出来ちゃうもんだよね。こうしてボクの力はそれぞれ駒の形をして現れた。そしてこの駒を操ることで、本来授かった能力を出して自由に扱うことができるんだ」
面白くなさそうに「フンッ」と鼻を鳴らし、ベルトルドはジロリとヒューゴを睨みつけた。
キュッリッキに分け与えた力は、青い玉の形をしている。
(あんな気色の悪い彫像なんぞじゃなくて、まだよかったかもな……)
愛しい少女の身体の周りに、見るからに怪しすぎる彫像が7つも浮いていたら邪魔でしょうがない。抱きしめようとするたびに、彫像を押しのけている自分を想像し、眩暈を感じるベルトルドだった。
「いきますよ」
ベルトルドが思考回路をやや脱線させているのもお構いなしに、ついにヒューゴから攻撃を開始した。
「ノイタ、範囲攻撃魔法展開。ソトリ、着弾の間隙を突いて攻撃開始」
2体の駒が一瞬青く光ると、ライオン傭兵団に向きを変えた。そしてノイタが、捧げ持っていた剣の形状を杖に変化させた。
「イスベル・ヴリズン」
ノイタが機械的に感情のない声で一言放つと、宝珠の埋め込まれた杖の先をライオン傭兵団へ向けた。
「無詠唱発動!?」
ハーマンがびっくりした声を上げた瞬間、床から切っ先の鋭い氷の柱が無数につき上がってきた。
ヴァルトの記憶の中で、キュッリッキがたどたどしく説明した奇妙な能力名。そんなスキル〈才能〉があることはこれまで報告が上がっていないし、賭博や遊びのゲームを、わざわざ拐かしてまで与えるのも変な話だ。
力の使い方が判っていない以上、ベルトルドが見極める必要がある。
本当にその力が、キュッリッキの身を守るものなのかどうかを。危険な代物なら、すぐにでも排除しなければならない。
(――そもそも、何のために与えた?)
その真意が、キュッリッキの説明では見えてこない。そこがベルトルドの心に引っかかっている。
(何も知らない俺のリッキーに、訳のわからん知識を詰め込んだ挙句、あのような怪しい力をくっつけおって…ケシカラン!)
挑発しながらも思案に耽るベルトルドの物言いに、ヒューゴは軽く肩をすくめて見せた。
「いいでしょう。後悔しないでくださいよ?」
ゆっくりと目を閉じると、ヒューゴは軽く顎をひいた。やがてヒューゴを取り囲むようにして、床に小さな光の輪が7つ出現する。その輪からゆっくりと青く煌く彫像が姿を現し、ヒューゴの身体を守るように宙に浮いていた。
上半身は男か女か曖昧な顔立ちの人間の姿で、腰から下は氷柱のようになっている。7体全て騎士のような格好をしていて、レイピアを捧げ持ち、ヒューゴを背に庇うように浮いているのだ。
「ボクはね、生まれつき7つにカテゴライズされる能力を授かって生まれてきたんだ。でも、直接ボク自身がその力を放つことはできなかった。この手から火を出すことも、風を生み出すことも出来ない。不思議だろ? ――内に秘めたこの能力を、どうしたら使いこなすことが出来るんだろうか。それを考えている時にね、ボードゲームからヒントを得たんだ。ボクの力を駒の形にして、それを操るのはどうなのだろうかと」
(一人の人間に7種の能力だと………?)
「直接扱えないのに、そんなことが可能なのか? そう思ったけど、やってみると案外出来ちゃうもんだよね。こうしてボクの力はそれぞれ駒の形をして現れた。そしてこの駒を操ることで、本来授かった能力を出して自由に扱うことができるんだ」
面白くなさそうに「フンッ」と鼻を鳴らし、ベルトルドはジロリとヒューゴを睨みつけた。
キュッリッキに分け与えた力は、青い玉の形をしている。
(あんな気色の悪い彫像なんぞじゃなくて、まだよかったかもな……)
愛しい少女の身体の周りに、見るからに怪しすぎる彫像が7つも浮いていたら邪魔でしょうがない。抱きしめようとするたびに、彫像を押しのけている自分を想像し、眩暈を感じるベルトルドだった。
「いきますよ」
ベルトルドが思考回路をやや脱線させているのもお構いなしに、ついにヒューゴから攻撃を開始した。
「ノイタ、範囲攻撃魔法展開。ソトリ、着弾の間隙を突いて攻撃開始」
2体の駒が一瞬青く光ると、ライオン傭兵団に向きを変えた。そしてノイタが、捧げ持っていた剣の形状を杖に変化させた。
「イスベル・ヴリズン」
ノイタが機械的に感情のない声で一言放つと、宝珠の埋め込まれた杖の先をライオン傭兵団へ向けた。
「無詠唱発動!?」
ハーマンがびっくりした声を上げた瞬間、床から切っ先の鋭い氷の柱が無数につき上がってきた。
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