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エルアーラ遺跡編
episode419
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ソレル王国首都アルイールの王宮に、仮設の本営を構えるハワドウレ皇国軍は、明け方にブルーベル将軍が開戦を世界に向けて発布したことで、慌ただしく通信兵などが走り回っていた。
謁見の間を会議室として使っているブルーベル将軍と、ベルトルドの秘書官リュリュは、次々と戦場からもたらされる報に目を通しながら、忙しく指示を出していた。
開戦の号令とともに、各戦場が本格的な戦闘状態になった。それまでは小競り合いや衝突はしていたが、皇国軍側が整いきらない中での戦闘になったため、後手に回りすぎていたのだ。
「あっちに地の利があって、こちらが準備不足という点を差し引いても、我が軍の無様さが泣けてくるわねえ」
柳のような眉をキッと釣り上げて、リュリュは不満そうに報告書を読んでいた。口頭で報告されるとイライラして、通信兵の首根っこを捕まえて押し倒したくなるから、走り書きメモでいいので書面で提出させている。
大国軍と奉りあげられすぎて、実戦経験が少なすぎる兵士がほとんどだ、という事実が世界に知れ渡りそうな現場の情報が、つぶさに綴られている。情報操作でもしないと、皇国の威信に関わりそうだ。
「数の上では申し分無さ過ぎるんですが、これでは烏合の衆状態ですなあ~」
朝は苦手です、とぼやきながらのんびりとした口調でブルーベル将軍が唸る。
前線に送っているのは全て正規兵たちである。ベルトルドの命令で、徴兵は使わないように指示が出ているためだ。
日々訓練をして演習も行っていたが、実戦と練習では雲泥の差だったようで、正規兵たちの動きが悪すぎると報告がなされていた。
あまり寝ていないこともあり、つぶらな瞳をぱちくりさせながら、ブルーベル将軍は向かい側に立つリュリュを見つめた。
「戦争慣れしてない軍人って、ある意味助かるけど、実際戦争が起こって戦場へ行ったら、役に立たないじゃ目も当てられないわ。オマケにパニックに陥って、非力な民間人に手をかける、手を出すじゃ何しに来たんだかってかんじよ」
規律を重んじる軍隊でも、敵国だからという慢心と、軍事力という堂々とした武力を笠に着るような低俗な者も多い。それらを管理処分するために、警務部隊と尋問・拷問部隊も投入しているが、それでも抜けはある。
ンもー早くしなさいよベルっ、とリュリュが親指の爪を噛んだところで、突然ピクリと身体を震わせた。それに気づいたブルーベル将軍は、訝しげにリュリュを見る。
「やっと連絡がきたわ。これから全世界へ向けて生放送するって言ってる」
「ソレル王の身柄を抑えたんですね」
「ええ。戦争の後始末は長引きそうだけど、首謀者の処刑だけは、すぐに済ませておけそうだわ」
リュリュとブルーベル将軍は頷き合うと、ブルーベル将軍は部屋の隅に控えていた副官のハギを呼んだ。
「設置してあるモニターを、全国民は見るよう、緊急通達するよう本国に連絡してください」
「了解です将軍」
パンダのトゥーリ族であるハギは、短い腕で敬礼すると、トコトコと可愛い足音が聞こえてきそうな歩調で、謁見の間を退室していった。
「………いつ見ても和むわあ……ハギたん」
「ほっほっほっ、召喚士のお嬢さんにも人気がありますねえ」
「初対面でいきなり飛びつくくらいにね」
以前総帥本部で、キュッリッキがハギに飛びついて頬ずりしたときのことを思い出し、2人は「ぷっ」と吹き出した。
謁見の間を会議室として使っているブルーベル将軍と、ベルトルドの秘書官リュリュは、次々と戦場からもたらされる報に目を通しながら、忙しく指示を出していた。
開戦の号令とともに、各戦場が本格的な戦闘状態になった。それまでは小競り合いや衝突はしていたが、皇国軍側が整いきらない中での戦闘になったため、後手に回りすぎていたのだ。
「あっちに地の利があって、こちらが準備不足という点を差し引いても、我が軍の無様さが泣けてくるわねえ」
柳のような眉をキッと釣り上げて、リュリュは不満そうに報告書を読んでいた。口頭で報告されるとイライラして、通信兵の首根っこを捕まえて押し倒したくなるから、走り書きメモでいいので書面で提出させている。
大国軍と奉りあげられすぎて、実戦経験が少なすぎる兵士がほとんどだ、という事実が世界に知れ渡りそうな現場の情報が、つぶさに綴られている。情報操作でもしないと、皇国の威信に関わりそうだ。
「数の上では申し分無さ過ぎるんですが、これでは烏合の衆状態ですなあ~」
朝は苦手です、とぼやきながらのんびりとした口調でブルーベル将軍が唸る。
前線に送っているのは全て正規兵たちである。ベルトルドの命令で、徴兵は使わないように指示が出ているためだ。
日々訓練をして演習も行っていたが、実戦と練習では雲泥の差だったようで、正規兵たちの動きが悪すぎると報告がなされていた。
あまり寝ていないこともあり、つぶらな瞳をぱちくりさせながら、ブルーベル将軍は向かい側に立つリュリュを見つめた。
「戦争慣れしてない軍人って、ある意味助かるけど、実際戦争が起こって戦場へ行ったら、役に立たないじゃ目も当てられないわ。オマケにパニックに陥って、非力な民間人に手をかける、手を出すじゃ何しに来たんだかってかんじよ」
規律を重んじる軍隊でも、敵国だからという慢心と、軍事力という堂々とした武力を笠に着るような低俗な者も多い。それらを管理処分するために、警務部隊と尋問・拷問部隊も投入しているが、それでも抜けはある。
ンもー早くしなさいよベルっ、とリュリュが親指の爪を噛んだところで、突然ピクリと身体を震わせた。それに気づいたブルーベル将軍は、訝しげにリュリュを見る。
「やっと連絡がきたわ。これから全世界へ向けて生放送するって言ってる」
「ソレル王の身柄を抑えたんですね」
「ええ。戦争の後始末は長引きそうだけど、首謀者の処刑だけは、すぐに済ませておけそうだわ」
リュリュとブルーベル将軍は頷き合うと、ブルーベル将軍は部屋の隅に控えていた副官のハギを呼んだ。
「設置してあるモニターを、全国民は見るよう、緊急通達するよう本国に連絡してください」
「了解です将軍」
パンダのトゥーリ族であるハギは、短い腕で敬礼すると、トコトコと可愛い足音が聞こえてきそうな歩調で、謁見の間を退室していった。
「………いつ見ても和むわあ……ハギたん」
「ほっほっほっ、召喚士のお嬢さんにも人気がありますねえ」
「初対面でいきなり飛びつくくらいにね」
以前総帥本部で、キュッリッキがハギに飛びついて頬ずりしたときのことを思い出し、2人は「ぷっ」と吹き出した。
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