436 / 882
エルアーラ遺跡編
episode417
しおりを挟む
しかし王宮の地下の遺跡は、ハワドウレ皇国には見つかっておらず、また城内の者にも知られていないようだ。おそらく初代ソレル国王は、この遺跡を隠蔽する目的もあって、ここに王宮を建てたのだろう。
王子の生まれ持ったスキル〈才能〉はサイ《超能力》。レアスキル〈才能〉の一つで、いずれこの国の王となる身には、あってもなくても構わないモノだ。王子は機械工学のスキル〈才能〉を持って生まれたかったと、これほど嘆いたことはない。
遺跡には機械を用いた部屋が幾つかあり、それらを操作すればこの遺跡の謎も、知りたい情報も得られるかもしれない。しかしこうした計器の操作は、機械工学スキル〈才能〉を持つ者や、そうした職に就いている者から教わるしかない。
この遺跡の秘密は守らねばならなかったが、我慢しきれなかった王子は、やがて国の機械工学スキル〈才能〉を持つ者を数名こっそりと招き、遺跡に案内して操作を習った。そしてマニュアルを作らせると、自らのサイ《超能力》を使って永遠に口を封じた。
父王が身罷り国を継いでも、ヴェイセル・アハヴォは地下の遺跡に通い続けた。国王となったことで権力が自由になったぶん、王子であった頃よりも堂々と遺跡に通うことができた。
ソレル国王家に代々伝わる古文書と、地下遺跡から得た様々な情報から、先祖であるヤルヴィレフト王家が、巨大なあるモノを建造していることを知った。そしてそれ自体は完成しているが、動力炉の設置にまでは至ってないことも知る。
動力炉は自国のナルバ山の中に眠っていること、その動力炉はレディトゥス・システムと言われていることなどを知り得た。造った目的も知った。
そうした情報から、ヴェイセル・アハヴォ国王の中に野心が芽生え始める。単に歴史が好きであった自分から、かつての栄光を、ヤルヴィレフト王家の復活を望むようになったのだ。
復活を望み、それを確実に成し得る力となる存在、それがエルアーラ遺跡だ。
今はその姿を地中に埋めているが、動力炉を設置すれば完全に起動する。
正式名称をフリングホルニ、モナルダ大陸の3分の1の規模を誇る超巨大戦艦の名だった。
ソレル国王とベルトルド、アルカネットのいる場所はフリングホルニの中枢部である艦橋、ドールグスラシルと呼ばれる場所だ。このドールグスラシルを押さえておけば、何もかもが上手くいくはずだったのだ。
ドールグスラシルでのあらゆる機器の操作は、マニュアルを作らせている。素人のソレル国王でも一人で操作できるくらいに詳細なものだ。あとはナルバ山に派遣した兵士たちがレディトゥス・システムを運び込み設置すれば、フリングホルニは地中から浮上し、ハワドウレ皇国など一瞬で消し炭にできる。
わざわざ戦争宣言などして表立って楯突いた行動にでたのも、すべては王としての矜持がそうさせていた。こそこそ不意打ちなどという行為は矜持が許さない。
堂々と皇国を伐って至高の地位に就く。更に召喚士の娘キュッリッキを手にすれば、神の力を手に入れたも同然。あれほどの力を持つ娘を操れば、何も恐れるものなどない。
ヤルヴィレフト王家の復活と神王国ソレルの復興、そしてヴィプネン族の王として君臨する。
「そんな筋書き通りの人生、成功するわけなかろう」
王子の生まれ持ったスキル〈才能〉はサイ《超能力》。レアスキル〈才能〉の一つで、いずれこの国の王となる身には、あってもなくても構わないモノだ。王子は機械工学のスキル〈才能〉を持って生まれたかったと、これほど嘆いたことはない。
遺跡には機械を用いた部屋が幾つかあり、それらを操作すればこの遺跡の謎も、知りたい情報も得られるかもしれない。しかしこうした計器の操作は、機械工学スキル〈才能〉を持つ者や、そうした職に就いている者から教わるしかない。
この遺跡の秘密は守らねばならなかったが、我慢しきれなかった王子は、やがて国の機械工学スキル〈才能〉を持つ者を数名こっそりと招き、遺跡に案内して操作を習った。そしてマニュアルを作らせると、自らのサイ《超能力》を使って永遠に口を封じた。
父王が身罷り国を継いでも、ヴェイセル・アハヴォは地下の遺跡に通い続けた。国王となったことで権力が自由になったぶん、王子であった頃よりも堂々と遺跡に通うことができた。
ソレル国王家に代々伝わる古文書と、地下遺跡から得た様々な情報から、先祖であるヤルヴィレフト王家が、巨大なあるモノを建造していることを知った。そしてそれ自体は完成しているが、動力炉の設置にまでは至ってないことも知る。
動力炉は自国のナルバ山の中に眠っていること、その動力炉はレディトゥス・システムと言われていることなどを知り得た。造った目的も知った。
そうした情報から、ヴェイセル・アハヴォ国王の中に野心が芽生え始める。単に歴史が好きであった自分から、かつての栄光を、ヤルヴィレフト王家の復活を望むようになったのだ。
復活を望み、それを確実に成し得る力となる存在、それがエルアーラ遺跡だ。
今はその姿を地中に埋めているが、動力炉を設置すれば完全に起動する。
正式名称をフリングホルニ、モナルダ大陸の3分の1の規模を誇る超巨大戦艦の名だった。
ソレル国王とベルトルド、アルカネットのいる場所はフリングホルニの中枢部である艦橋、ドールグスラシルと呼ばれる場所だ。このドールグスラシルを押さえておけば、何もかもが上手くいくはずだったのだ。
ドールグスラシルでのあらゆる機器の操作は、マニュアルを作らせている。素人のソレル国王でも一人で操作できるくらいに詳細なものだ。あとはナルバ山に派遣した兵士たちがレディトゥス・システムを運び込み設置すれば、フリングホルニは地中から浮上し、ハワドウレ皇国など一瞬で消し炭にできる。
わざわざ戦争宣言などして表立って楯突いた行動にでたのも、すべては王としての矜持がそうさせていた。こそこそ不意打ちなどという行為は矜持が許さない。
堂々と皇国を伐って至高の地位に就く。更に召喚士の娘キュッリッキを手にすれば、神の力を手に入れたも同然。あれほどの力を持つ娘を操れば、何も恐れるものなどない。
ヤルヴィレフト王家の復活と神王国ソレルの復興、そしてヴィプネン族の王として君臨する。
「そんな筋書き通りの人生、成功するわけなかろう」
0
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる