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エルアーラ遺跡編
episode410
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みんなの怒っている視線がとても痛い。キュッリッキはなんとも言えない表情で、肩を竦めていた。
ちゃんと説明したいが、まだ自分でも上手く整理できておらず、ありのままを述べるとどうしてもそうなってしまうのだ。
「だから、ヒューゴっていうユーレイがね、アタシがユリディスと同じ力を持ってて、でヤルヴィレフト王家が狙ってくるだろうから、気をつけろって忠告してくれたの」
「ユリディスって誰? ヤルヴィレフト王家? それどこの国の??」
シビルが首をひねるが、それに答えられる者はいない。
こういうことに即答出来そうなブルニタルは任務を外され、マーゴットとともにアジトで留守番している。
「なんでユーレイがンなこと知ってて、わざわざ忠告してくれるンでぇ?」
「アタシだって、よく判んないんだもん」
口をへの字にしながら、上目遣いでギャリーを見る。こっちが聞きたいくらいよ、とキュッリッキの黄緑色の瞳が物語っていた。
大昔にいたユリディスという女の子と同じ力を持っているから、というのが、忠告してくれた理由なのかなとキュッリッキは思っていた。そしてどうも自分が危険な目に遭うのを、嫌がっている風な口ぶりだったのも気になっている。
更にフェンリルのことも、ほんの少し気になることを言っていた。そのことは後でフェンリルに直接問いただしてみようと考えていると、
「とにかくキューリさんが無事戻って良かった。お説教と尋問はあとにして、任務を再開しましょうか」
簾のような前髪をかきあげながら、苦笑気味にカーティスが場を収めた。このままだと任務が遅れて、ベルトルドたちに倍叱られそうだ。
「そうですね」
同意するようにメルヴィンも頷くと、ギャリーが「ちょっとマテ」と、歩き出す一同を制止した。
「どったの?」
ルーファスが目をぱちくりさせる。
「キューリ、おめーはフェンリルの背に乗って移動だ」
キョトンとするキュッリッキに、「ああ、そうだね」とルーファスはギャリーに同意した。
「またいきなりユーレイなんぞに、拐かされたら困るしな。フェンリルの背に乗ってりゃいざってときも安全だからそうしろ」
すると、キュッリッキの命令もなしにフェンリルが身体を大きくし、キュッリッキに乗るように急かせてきた。
いきなり消えてしまったことを、フェンリルも怒っているのがその行動で露骨に判って、キュッリッキはますますバツが悪そうにうな垂れた。
(アタシのせいじゃないのに……)
こっそりとため息をついて、やれやれとフェンリルの背にまたがる。
「ついでにコイツらも乗っけてやってくれ」
ギャリーはシビルとハーマンをつまみ上げると、ぽいっとフェンリルの背に放り投げた。
シビルはキュッリッキの前に、ハーマンは後ろに座って準備完了だ。
フローズヴィトニルは自分でフェンリルの頭に飛び乗ると、嬉しそうにブンブンと尻尾を振っていた。
突然消えたキュッリッキが戻り、ようやくライオン傭兵団は遺跡の中に突入を開始した。
ちゃんと説明したいが、まだ自分でも上手く整理できておらず、ありのままを述べるとどうしてもそうなってしまうのだ。
「だから、ヒューゴっていうユーレイがね、アタシがユリディスと同じ力を持ってて、でヤルヴィレフト王家が狙ってくるだろうから、気をつけろって忠告してくれたの」
「ユリディスって誰? ヤルヴィレフト王家? それどこの国の??」
シビルが首をひねるが、それに答えられる者はいない。
こういうことに即答出来そうなブルニタルは任務を外され、マーゴットとともにアジトで留守番している。
「なんでユーレイがンなこと知ってて、わざわざ忠告してくれるンでぇ?」
「アタシだって、よく判んないんだもん」
口をへの字にしながら、上目遣いでギャリーを見る。こっちが聞きたいくらいよ、とキュッリッキの黄緑色の瞳が物語っていた。
大昔にいたユリディスという女の子と同じ力を持っているから、というのが、忠告してくれた理由なのかなとキュッリッキは思っていた。そしてどうも自分が危険な目に遭うのを、嫌がっている風な口ぶりだったのも気になっている。
更にフェンリルのことも、ほんの少し気になることを言っていた。そのことは後でフェンリルに直接問いただしてみようと考えていると、
「とにかくキューリさんが無事戻って良かった。お説教と尋問はあとにして、任務を再開しましょうか」
簾のような前髪をかきあげながら、苦笑気味にカーティスが場を収めた。このままだと任務が遅れて、ベルトルドたちに倍叱られそうだ。
「そうですね」
同意するようにメルヴィンも頷くと、ギャリーが「ちょっとマテ」と、歩き出す一同を制止した。
「どったの?」
ルーファスが目をぱちくりさせる。
「キューリ、おめーはフェンリルの背に乗って移動だ」
キョトンとするキュッリッキに、「ああ、そうだね」とルーファスはギャリーに同意した。
「またいきなりユーレイなんぞに、拐かされたら困るしな。フェンリルの背に乗ってりゃいざってときも安全だからそうしろ」
すると、キュッリッキの命令もなしにフェンリルが身体を大きくし、キュッリッキに乗るように急かせてきた。
いきなり消えてしまったことを、フェンリルも怒っているのがその行動で露骨に判って、キュッリッキはますますバツが悪そうにうな垂れた。
(アタシのせいじゃないのに……)
こっそりとため息をついて、やれやれとフェンリルの背にまたがる。
「ついでにコイツらも乗っけてやってくれ」
ギャリーはシビルとハーマンをつまみ上げると、ぽいっとフェンリルの背に放り投げた。
シビルはキュッリッキの前に、ハーマンは後ろに座って準備完了だ。
フローズヴィトニルは自分でフェンリルの頭に飛び乗ると、嬉しそうにブンブンと尻尾を振っていた。
突然消えたキュッリッキが戻り、ようやくライオン傭兵団は遺跡の中に突入を開始した。
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