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エルアーラ遺跡編
episode409
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召喚士のこと、キュッリッキのことをよく知らないままで招いた油断が、あのような悲劇を生んでしまった。そのことを後悔し続けている。
ベルトルドとアルカネットが遺跡の事件のことで、ライオン傭兵団を厳しく批難し続けることは、逆にキュッリッキの心を傷つけている。それは2人も判っていた。判っているが、責めずにはいられない。
キュッリッキは軽率な行動を取った結果なのだからと反省し、皆が怒られることを気に病んでいた。
経緯はどうあれ、キュッリッキが死にかけたのは事実であり、身体にも心にも深い傷を負わせた責任を痛感している。だからベルトルドとアルカネットから責められることを、皆は甘んじて受け止めているのだ。
そして今の事態、またキュッリッキが危険な目に遭い、怪我など負っていたら目も当てられない。彼女はこの傭兵団の中で最年少であり、まだ19歳の少女だ。
鉄の棘ムチでアルカネットにしばかれながら、ベルトルドの臓腑を抉る説教で責め立てられるのはナントカ我慢できる。しかし再びキュッリッキが傷つくのは耐えられそうもなかった。
すっかり困り果て、無言が辺りを包む中、突如フロアの天井が強烈に発光した。
「うきゃっ」
「ぐえっ」
腕立て伏せをしていたヴァルトの背中に、行方不明だったキュッリッキが突然落ちてきた。
「ふにゃ硬いなー……あれ、ヴァルト?」
しばしの沈黙のあと、
「キューリ!!!??」
フロア内に絶叫が轟いた。
「さあ、俺様の背中にわざわざ落ちてきた、その無礼極まるショギョーの説明を聞かせてもらおーかぺちゃぱいめ!」
「……こんなトコで腕立て伏せなんかしてるのが悪いんだよ」
尊大に腕を組んでふんぞり返るヴァルトを、バツが悪そうに見上げながら、キュッリッキはモゴモゴと反論した。ついでに、ぺちゃぱいは余計である。
「ハンセーしろハンセー!!」
ぷいっと明後日の方向に視線を反らせるキュッリッキに、ガミガミ怒鳴るヴァルトを押しのけるようにして、ギャリーが身を乗り出す。
「ったくドコ行ってたんだキューリ! ちゃんと説明しろ!」
むんずっと大きな掌で頭を掴むと、ぐしゃぐしゃと乱暴にかき回す。
「あああん、頭がぼーぼーしちゃうから止めてよ~~っ」
ギャリーの手を振りほどこうと、ポカポカっと拳で叩くが効果なし。余計ぐりぐりされて、頭がぼさぼさになってしまった。
「ぼーぼー程度で済むならいいだろがっ!」
「心配しましたよ、本当に何があったんですか?」
横からメルヴィンが表情を曇らせて覗き込んできて、キュッリッキの頬がさっとバラ色に染まった。深くキュッリッキの身を心配したのが判るほど、メルヴィンの顔は疲れの色を濃くしていた。
「え、えっと……」
申し訳なさと照れ隠しに視線をついっとそらしつつ、今度はモジモジと両手を組んだりひらいたりしながら、キュッリッキは少し俯いた。
「………ヒューゴっていう大昔のユーレイに連れて行かれて、口論した………」
「………」
キュッリッキを取り囲んでいた一同は、あまりにも簡潔すぎる内容に、揃って悲鳴のような怒鳴り声を上げた。
「はぁあ!? さっぱりわからーーーーん!!!!!」
ひゃっと首をすくめて、キュッリッキは目を瞑った。
ベルトルドとアルカネットが遺跡の事件のことで、ライオン傭兵団を厳しく批難し続けることは、逆にキュッリッキの心を傷つけている。それは2人も判っていた。判っているが、責めずにはいられない。
キュッリッキは軽率な行動を取った結果なのだからと反省し、皆が怒られることを気に病んでいた。
経緯はどうあれ、キュッリッキが死にかけたのは事実であり、身体にも心にも深い傷を負わせた責任を痛感している。だからベルトルドとアルカネットから責められることを、皆は甘んじて受け止めているのだ。
そして今の事態、またキュッリッキが危険な目に遭い、怪我など負っていたら目も当てられない。彼女はこの傭兵団の中で最年少であり、まだ19歳の少女だ。
鉄の棘ムチでアルカネットにしばかれながら、ベルトルドの臓腑を抉る説教で責め立てられるのはナントカ我慢できる。しかし再びキュッリッキが傷つくのは耐えられそうもなかった。
すっかり困り果て、無言が辺りを包む中、突如フロアの天井が強烈に発光した。
「うきゃっ」
「ぐえっ」
腕立て伏せをしていたヴァルトの背中に、行方不明だったキュッリッキが突然落ちてきた。
「ふにゃ硬いなー……あれ、ヴァルト?」
しばしの沈黙のあと、
「キューリ!!!??」
フロア内に絶叫が轟いた。
「さあ、俺様の背中にわざわざ落ちてきた、その無礼極まるショギョーの説明を聞かせてもらおーかぺちゃぱいめ!」
「……こんなトコで腕立て伏せなんかしてるのが悪いんだよ」
尊大に腕を組んでふんぞり返るヴァルトを、バツが悪そうに見上げながら、キュッリッキはモゴモゴと反論した。ついでに、ぺちゃぱいは余計である。
「ハンセーしろハンセー!!」
ぷいっと明後日の方向に視線を反らせるキュッリッキに、ガミガミ怒鳴るヴァルトを押しのけるようにして、ギャリーが身を乗り出す。
「ったくドコ行ってたんだキューリ! ちゃんと説明しろ!」
むんずっと大きな掌で頭を掴むと、ぐしゃぐしゃと乱暴にかき回す。
「あああん、頭がぼーぼーしちゃうから止めてよ~~っ」
ギャリーの手を振りほどこうと、ポカポカっと拳で叩くが効果なし。余計ぐりぐりされて、頭がぼさぼさになってしまった。
「ぼーぼー程度で済むならいいだろがっ!」
「心配しましたよ、本当に何があったんですか?」
横からメルヴィンが表情を曇らせて覗き込んできて、キュッリッキの頬がさっとバラ色に染まった。深くキュッリッキの身を心配したのが判るほど、メルヴィンの顔は疲れの色を濃くしていた。
「え、えっと……」
申し訳なさと照れ隠しに視線をついっとそらしつつ、今度はモジモジと両手を組んだりひらいたりしながら、キュッリッキは少し俯いた。
「………ヒューゴっていう大昔のユーレイに連れて行かれて、口論した………」
「………」
キュッリッキを取り囲んでいた一同は、あまりにも簡潔すぎる内容に、揃って悲鳴のような怒鳴り声を上げた。
「はぁあ!? さっぱりわからーーーーん!!!!!」
ひゃっと首をすくめて、キュッリッキは目を瞑った。
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