410 / 882
モナルダ大陸戦争開戦へ編
episode391
しおりを挟む
「アタシたちってぇ、働き者だよねえ~」
綺麗に片付いた――さすがに壊れたものは修復しようがなかったが――食堂を見渡して、マリオンが満足そうに微笑んだ。
みんな疲れて椅子に座って、やれやれとくつろいでいたが、やがて食堂にベルトルド、アルカネット、キュッリッキが入ってきて顔を向けた。
「お前たちに話がある」
そう言うと、ベルトルドは空いてるテーブルの上に座り脚を組んだ。
椅子ではなくテーブルの上に座ったため、アルカネットがじろりと睨んだが「説教は聞きません」といった表情で、ツイっと顔を背けてスルーする。
アルカネットは露骨に溜息を吐き出すと、そのテーブルにしまわれていた椅子を引き出して座った。
キュッリッキはメルヴィンの隣に空いていた椅子を見つけると、少し躊躇したが、顔を赤くしながらも積極性を大発揮してその椅子に座った。
隣に座ったキュッリッキに気づいたメルヴィンが、優しい笑みを向ける。キュッリッキも恥ずかしそうにしながらも、にっこり微笑み返した。
ほんわかとした空気が2人の間に漂いだすと、素早く察知したベルトルドとアルカネットが、嫉妬モロ出しの視線をメルヴィンに飛ばす。しかし2人の世界オーラにガードされて、視線は弾き飛ばされてしまった。その弾かれた痛すぎる視線を、ライオン傭兵団の皆は素早く避けた。
このままでは話が脱線する、と悟ったシビルが小さな手を口元に当てて「コホンッ」と咳払いする。
「えっと、どのようなお話でしょう?」
じろりとした視線はそのままにベルトルドが正面を見据えると、何やら複数の話し声がして食堂の入口に姿を現した。
「ガエル、タルコット、ランドン~」
さらに到着したメンバーに、キュッリッキが嬉しそうに声をあげた。
「元気そうだな」
ニヤリとガエルが笑い返すと、タルコットとランドンは無言で片手を上げて挨拶を返した。
食堂の中を見渡したあと、何やら話し中と察して、3人はそのまま壁際に並んだ。
「あと到着してないのはどいつだ?」
ベルトルドは食堂を見渡し、カーティスに顎をしゃくる。
「ハーマンとヴァルトがまだです」
「マリオン、ルー、2人がどのあたりにいるか探せ」
「あ~い」
「へい」
命じられた2人は、透視のために目を閉じて意識をこらす。すぐにマリオンが声を上げた。
「ハーマンみーっけ。あと1時間ほどでぇ、到着するって言ってるぅ」
「ヴァルトのほうは?」
「………えっと………」
ルーファスが目を閉じたまま、物凄くイヤそうな表情を浮かべた。
「昼寝が忙しいから、気が向いたら出発すると。こっから離れた街にいます……」
ベルトルドとアルカネットの眉がぴくりと動く。
「ルーファス、私と意識をリンクしなさい」
片眉をひきつらせたアルカネットが、冷ややかな微笑みを浮かべながらルーファスに顔を向けた。
「は、はひっ」
食堂に生唾を飲む音が静かに響いた。
「いましたね」
ルーファスから送られる映像でヴァルトを見つけたアルカネットは、額に人差し指をあてて一言呟いた。
「ブラベウス・プロクス」
食堂にはなんの変化もなかったが、ルーファスの表情が青ざめ引きつっている。
「飛べばすぐでしょう。今から1時間以内にこないと、本当に焼き鳥にすると言っておきなさい」
「承知しましたっ!」
「全く、世話の焼ける子ですね」
綺麗に片付いた――さすがに壊れたものは修復しようがなかったが――食堂を見渡して、マリオンが満足そうに微笑んだ。
みんな疲れて椅子に座って、やれやれとくつろいでいたが、やがて食堂にベルトルド、アルカネット、キュッリッキが入ってきて顔を向けた。
「お前たちに話がある」
そう言うと、ベルトルドは空いてるテーブルの上に座り脚を組んだ。
椅子ではなくテーブルの上に座ったため、アルカネットがじろりと睨んだが「説教は聞きません」といった表情で、ツイっと顔を背けてスルーする。
アルカネットは露骨に溜息を吐き出すと、そのテーブルにしまわれていた椅子を引き出して座った。
キュッリッキはメルヴィンの隣に空いていた椅子を見つけると、少し躊躇したが、顔を赤くしながらも積極性を大発揮してその椅子に座った。
隣に座ったキュッリッキに気づいたメルヴィンが、優しい笑みを向ける。キュッリッキも恥ずかしそうにしながらも、にっこり微笑み返した。
ほんわかとした空気が2人の間に漂いだすと、素早く察知したベルトルドとアルカネットが、嫉妬モロ出しの視線をメルヴィンに飛ばす。しかし2人の世界オーラにガードされて、視線は弾き飛ばされてしまった。その弾かれた痛すぎる視線を、ライオン傭兵団の皆は素早く避けた。
このままでは話が脱線する、と悟ったシビルが小さな手を口元に当てて「コホンッ」と咳払いする。
「えっと、どのようなお話でしょう?」
じろりとした視線はそのままにベルトルドが正面を見据えると、何やら複数の話し声がして食堂の入口に姿を現した。
「ガエル、タルコット、ランドン~」
さらに到着したメンバーに、キュッリッキが嬉しそうに声をあげた。
「元気そうだな」
ニヤリとガエルが笑い返すと、タルコットとランドンは無言で片手を上げて挨拶を返した。
食堂の中を見渡したあと、何やら話し中と察して、3人はそのまま壁際に並んだ。
「あと到着してないのはどいつだ?」
ベルトルドは食堂を見渡し、カーティスに顎をしゃくる。
「ハーマンとヴァルトがまだです」
「マリオン、ルー、2人がどのあたりにいるか探せ」
「あ~い」
「へい」
命じられた2人は、透視のために目を閉じて意識をこらす。すぐにマリオンが声を上げた。
「ハーマンみーっけ。あと1時間ほどでぇ、到着するって言ってるぅ」
「ヴァルトのほうは?」
「………えっと………」
ルーファスが目を閉じたまま、物凄くイヤそうな表情を浮かべた。
「昼寝が忙しいから、気が向いたら出発すると。こっから離れた街にいます……」
ベルトルドとアルカネットの眉がぴくりと動く。
「ルーファス、私と意識をリンクしなさい」
片眉をひきつらせたアルカネットが、冷ややかな微笑みを浮かべながらルーファスに顔を向けた。
「は、はひっ」
食堂に生唾を飲む音が静かに響いた。
「いましたね」
ルーファスから送られる映像でヴァルトを見つけたアルカネットは、額に人差し指をあてて一言呟いた。
「ブラベウス・プロクス」
食堂にはなんの変化もなかったが、ルーファスの表情が青ざめ引きつっている。
「飛べばすぐでしょう。今から1時間以内にこないと、本当に焼き鳥にすると言っておきなさい」
「承知しましたっ!」
「全く、世話の焼ける子ですね」
0
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

貧乏秀才令嬢がヤサグレ天才少年と、世界の理を揺るがします。
凜
恋愛
貧乏貴族のダリアは、国一番の魔法学校の副首席。首席になりたいのに、その壁はとんでもなくぶあつく…。
ある日謎多き少年シアンと出会い、彼が首席とわかるやいなや強烈な興味を持ち粘着するようになった。
クセの多い登場人物が織りなす、身分、才能、美醜が絡み、陰謀渦巻く魔法学校でのスクールストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる