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モナルダ大陸戦争開戦へ編
episode390
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忌々しげに吐き捨てるように言うと、きょとんとしたキュッリッキと目が合って、ベルトルドは苦笑を浮かべてしゃがみこんだ。
「こちらの開戦予定日までは、のんびりできると思っていたんだがな」
いつもの子供じみた喧嘩が始まると思いきや、突然仕事モードになった2人に驚いていた。でも、自分は今敵国にいて、開戦を控えている時なのだと再認識する。
こうして色々な人々に守られているから、どこか安心していた。キュッリッキは慣れた戦場の臭いを感じて、身を引き締めた。
「いよいよ戦争、始まるんだね」
やや緊張した面持ちのキュッリッキの頬に優しく手をそえると、ベルトルドは力強く頷いた。
「今日明日には、始まりそうだな」
「あの耄碌ジジイ、よくもやってくれたわね」
薄く紅をはいた唇を歪め、リュリュは所かまわず「ちっ」と大きく舌打ちした。
正面に立つブルーベル将軍は、内心で「くわばらくわばら」と呟き肩をすぼめる。オカマが怒ると迫力2倍だな、と後ろに控える副官のハギも肩をすぼめた。
「しょうがないわ、取り敢えずベルにこのことを伝えてちょうだい。――どーせ現場の判断に任せる、てなるでしょうけど」
「承りました!」
報告のために会議室に来ていた通信係の尉官は、オカマの驚異に怯えた表情を出さないように気をつけながら、敬礼をして足早に退室していった。
「こんな時に援軍とは……どこに隠匿していたんでしょうねえ」
「………6月にアルイールで暴れていたソレル王国軍が、どこへ潜伏したのか掴めなかったの。あまり大々的にも内々的にも調査していなかったから。てっきりエルアーラまで下がらせていたのかと思いきや、同盟国に隠していたとか、いやんなっちゃう」
「なるほどなるほど」
好々爺の笑みを浮かべ、ブルーベル将軍は肩を揺らした。
「こちらも戦端を開くには各地準備不足でしょうが、始めないと潰されてしまうでしょう。やるしかありませんな」
「全くだわ」
「それに」
ブルーベル将軍は言葉を切ると、つぶらな瞳を細めて顎を引いた。
「この戦争には勝つ必要がない、と閣下は仰せになった」
リュリュは頷く。
「エルアーラ遺跡のことを世界中に気取られないためにも、戦争は大々的にやってもらわなくちゃいけないの」
妖しい笑みを浮かべ、唇を笑みの形に歪める。
「だってエルアーラ遺跡は、ハワドウレ皇国の秘密兵器なんだもの」
「こちらの開戦予定日までは、のんびりできると思っていたんだがな」
いつもの子供じみた喧嘩が始まると思いきや、突然仕事モードになった2人に驚いていた。でも、自分は今敵国にいて、開戦を控えている時なのだと再認識する。
こうして色々な人々に守られているから、どこか安心していた。キュッリッキは慣れた戦場の臭いを感じて、身を引き締めた。
「いよいよ戦争、始まるんだね」
やや緊張した面持ちのキュッリッキの頬に優しく手をそえると、ベルトルドは力強く頷いた。
「今日明日には、始まりそうだな」
「あの耄碌ジジイ、よくもやってくれたわね」
薄く紅をはいた唇を歪め、リュリュは所かまわず「ちっ」と大きく舌打ちした。
正面に立つブルーベル将軍は、内心で「くわばらくわばら」と呟き肩をすぼめる。オカマが怒ると迫力2倍だな、と後ろに控える副官のハギも肩をすぼめた。
「しょうがないわ、取り敢えずベルにこのことを伝えてちょうだい。――どーせ現場の判断に任せる、てなるでしょうけど」
「承りました!」
報告のために会議室に来ていた通信係の尉官は、オカマの驚異に怯えた表情を出さないように気をつけながら、敬礼をして足早に退室していった。
「こんな時に援軍とは……どこに隠匿していたんでしょうねえ」
「………6月にアルイールで暴れていたソレル王国軍が、どこへ潜伏したのか掴めなかったの。あまり大々的にも内々的にも調査していなかったから。てっきりエルアーラまで下がらせていたのかと思いきや、同盟国に隠していたとか、いやんなっちゃう」
「なるほどなるほど」
好々爺の笑みを浮かべ、ブルーベル将軍は肩を揺らした。
「こちらも戦端を開くには各地準備不足でしょうが、始めないと潰されてしまうでしょう。やるしかありませんな」
「全くだわ」
「それに」
ブルーベル将軍は言葉を切ると、つぶらな瞳を細めて顎を引いた。
「この戦争には勝つ必要がない、と閣下は仰せになった」
リュリュは頷く。
「エルアーラ遺跡のことを世界中に気取られないためにも、戦争は大々的にやってもらわなくちゃいけないの」
妖しい笑みを浮かべ、唇を笑みの形に歪める。
「だってエルアーラ遺跡は、ハワドウレ皇国の秘密兵器なんだもの」
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