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モナルダ大陸戦争開戦へ編
episode377
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ただの癇癪ならいいが、ベルトルドの癇癪は悪い意味でレベルが違う。
キュッリッキに対しては一線を実に良く守っているので、嫌がるであろう彼女を無理やり押し倒すことはしないと判断し、アルカネットは忍耐を総動員して我慢していた。本当なら、ベルトルドを永遠に黙らせてでも、キュッリッキと一緒に寝たいのが本心だ。
頑として譲らないベルトルドの態度に、ついていけないアルヴァー大佐が、可哀想にも縮こまって黙り込んだ。それを哀れに思い、キュッリッキは深々とため息をついた。
「アタシ一緒でも構わないよ。いつも一緒に寝てるし」
「よし決まりだ! リッキーの枕とタオルなども俺の部屋にちゃんと用意しておけアルヴァー」
意気揚々としたベルトルドは胸を張る。
「は、はい」
掠れたような声で返事をして、アルヴァー大佐はフラフラと食堂を退室していった。
「四角い顔は融通がきかなくて困る」
フフンッと鼻で笑うと、ベルトルドは愛おしむように、キュッリッキにすりすりと頬ずりした。
「お腹いっぱいになったし、アタシお風呂入ってくる」
しっかり抱きしめているベルトルドの手の甲をペチッと叩いて解放させると、キュッリッキは椅子から立ち上がって伸びをした。
「フェンリル、フローズヴィトニル、おいで」
別のテーブルの上でくつろいでいた2匹を呼ぶと、キュッリッキはスタスタと食堂を出て行った。
「よし、俺も一緒に入ってくるぞ」
そう言って立ち上がったご機嫌のベルトルドの肩を、素早く掴む者がいた。
背後から冷気が漂ってくる。
「あなたはここで、おとなしく座っていなさい」
「………」
昏い底冷えのするようなアルカネットの声に、今度はベルトルドが黙り込む番になった。
キレたときの態度は実に対照的で、ベルトルドは激しく暴れるが、アルカネットは静かに刃を振り下ろす。
あまり見られない上司たちのどうしようもない様子を遠巻きに見て、どっと疲れに襲われるライオン傭兵団だった。
ベルトルドにもアルカネットにも覗かれることなく、入浴を満喫したキュッリッキは、髪の毛を乾かしたあと、ふかふかのベッドにコロンと寝転がった。
清潔なシーツの匂いと、柔らかな枕の感触が肌に気持ち良かった。
「さあ、寝るぞー!!」
ノックもなくいきなり扉が開いて、入浴を済ませてローブに着替えたベルトルドが元気に入ってきた。
大股でベッドまで歩いてくると、素早くキュッリッキの横に寝転がって、目を丸くしているキュッリッキを抱き寄せた。
「やっと2人っきりになれた」
嬉しくて嬉しくて仕方がない、といった口調で言われて、キュッリッキは苦笑を浮かべた。
自らの腕の中にキュッリッキを抱きしめることができて、ベルトルドは大いに満足した。そしてすぐに、こてっと寝付いてしまった。
「あれ? もう寝ちゃったの!?」
何か話でもするのかと思っていたが、頭の上から、スー、スーと寝息が聞こえて、キュッリッキは若干拍子抜けした。
ベルトルドの胸に押し付けられるようにして抱きしめられているので、あまり身動きがとれない。とても窮屈だったが、そのうち腕の力も弱まるだろうと思い、暫く我慢することにした。
キュッリッキに対しては一線を実に良く守っているので、嫌がるであろう彼女を無理やり押し倒すことはしないと判断し、アルカネットは忍耐を総動員して我慢していた。本当なら、ベルトルドを永遠に黙らせてでも、キュッリッキと一緒に寝たいのが本心だ。
頑として譲らないベルトルドの態度に、ついていけないアルヴァー大佐が、可哀想にも縮こまって黙り込んだ。それを哀れに思い、キュッリッキは深々とため息をついた。
「アタシ一緒でも構わないよ。いつも一緒に寝てるし」
「よし決まりだ! リッキーの枕とタオルなども俺の部屋にちゃんと用意しておけアルヴァー」
意気揚々としたベルトルドは胸を張る。
「は、はい」
掠れたような声で返事をして、アルヴァー大佐はフラフラと食堂を退室していった。
「四角い顔は融通がきかなくて困る」
フフンッと鼻で笑うと、ベルトルドは愛おしむように、キュッリッキにすりすりと頬ずりした。
「お腹いっぱいになったし、アタシお風呂入ってくる」
しっかり抱きしめているベルトルドの手の甲をペチッと叩いて解放させると、キュッリッキは椅子から立ち上がって伸びをした。
「フェンリル、フローズヴィトニル、おいで」
別のテーブルの上でくつろいでいた2匹を呼ぶと、キュッリッキはスタスタと食堂を出て行った。
「よし、俺も一緒に入ってくるぞ」
そう言って立ち上がったご機嫌のベルトルドの肩を、素早く掴む者がいた。
背後から冷気が漂ってくる。
「あなたはここで、おとなしく座っていなさい」
「………」
昏い底冷えのするようなアルカネットの声に、今度はベルトルドが黙り込む番になった。
キレたときの態度は実に対照的で、ベルトルドは激しく暴れるが、アルカネットは静かに刃を振り下ろす。
あまり見られない上司たちのどうしようもない様子を遠巻きに見て、どっと疲れに襲われるライオン傭兵団だった。
ベルトルドにもアルカネットにも覗かれることなく、入浴を満喫したキュッリッキは、髪の毛を乾かしたあと、ふかふかのベッドにコロンと寝転がった。
清潔なシーツの匂いと、柔らかな枕の感触が肌に気持ち良かった。
「さあ、寝るぞー!!」
ノックもなくいきなり扉が開いて、入浴を済ませてローブに着替えたベルトルドが元気に入ってきた。
大股でベッドまで歩いてくると、素早くキュッリッキの横に寝転がって、目を丸くしているキュッリッキを抱き寄せた。
「やっと2人っきりになれた」
嬉しくて嬉しくて仕方がない、といった口調で言われて、キュッリッキは苦笑を浮かべた。
自らの腕の中にキュッリッキを抱きしめることができて、ベルトルドは大いに満足した。そしてすぐに、こてっと寝付いてしまった。
「あれ? もう寝ちゃったの!?」
何か話でもするのかと思っていたが、頭の上から、スー、スーと寝息が聞こえて、キュッリッキは若干拍子抜けした。
ベルトルドの胸に押し付けられるようにして抱きしめられているので、あまり身動きがとれない。とても窮屈だったが、そのうち腕の力も弱まるだろうと思い、暫く我慢することにした。
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