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モナルダ大陸戦争開戦へ編
episode370
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腕を組んでドンッと座したまま、ベルトルドは目をつむって若干顔を俯かせている。
ベルトルドの脳裏には、汽車の外を飛ぶ奇襲部隊の光景が、鮮明に映し出されていた。
「どう叩き落とすおつもりです?」
「空間転移でどっかに捨ててしまうのが早いが、それだと俺が暫く鈍るからな。――そうだなあ………こうするか」
そういって眉間に力を込める。
室内のベルトルドにはとくに変化は見られなかったが、汽車の外では奇襲部隊たちが騒然とどよめいていた。
宙を飛ぶ自分たちの周囲に、突如青白い光の玉が出現したのだ。
それはかなりの数で、奇襲部隊の傭兵たちを包囲するように光っている。そして光は僅かに電気を帯びていた。
(あれってもしかして……)
ルーファスも外の様子を透視しながら、アルカネットとメルヴィンにも映像を送っていた。
ちらりとベルトルドを見ると、相変わらずむすっとした表情のまま意識を集中している。よっぽどストレス溜まっているんだな、と判るくらいの露骨っぷりだ。
今回のフェルトまでの汽車旅で、ベルトルドにはちょっとした自分だけのプランがあった。
わざわざこんな上等な汽車を手配させたのも、全てはキュッリッキを喜ばせたいためであり、短い旅の間キュッリッキとイチャイチャしたい願望がむき出しである。
しかしキュッリッキはアルカネットによって薬で眠らされ、起きたらそのことで怒って泣いてしまい、挙句慰める役はメルヴィンに持って行かれてしまった。そして泣きつかれてまた寝てしまっている。
イチャイチャどころか会話すらできない。ハグも全く出来ていない。
ベルトルドの怒りとストスレは、すでに頂点を突き抜けかけている。
そんな時に逆臣軍から差し向けられた奇襲部隊。彼らは不運としか言い様がない。
「サイ《超能力》の攻撃が地味とか言ってるやつ!!」
誰も言っていないが、ベルトルドは怒りを顕にした声でいきなり怒鳴る。
「こういう派手な攻撃もできると思い知れ!!」
それを合図にしたように、奇襲部隊の傭兵たちを包囲するように漂っていた光の玉が、帯びた電気を放出し始め、周囲を稲妻の光で強く照らし始めた。
傭兵たちは狼狽し、このあとどうなるか瞬時に想像して、攻撃することも忘れて守りに入ろうとした。
「遅いわっ!!」
その瞬間、光の玉が大きく膨れ上がって奇襲部隊の傭兵たちを飲み込んだ。
落雷にも似た轟音が鳴り響き、夕闇に染まる空間に強烈に発光した。車窓が一瞬、真っ白な強い光を照らし込む。
光の玉が大爆発を引き起こしたのだ。
ゆっくりと光が収束すると、宙にいたはずの傭兵たちは跡形もなく消え去っており、流れる風に、ほのかな肉の焼ける焦げた臭いが混じっていた。
汽車は何事もなかったように速度を緩めず、奇襲部隊の襲撃を一切受けることなく突き進んでいった。
ベルトルドの脳裏には、汽車の外を飛ぶ奇襲部隊の光景が、鮮明に映し出されていた。
「どう叩き落とすおつもりです?」
「空間転移でどっかに捨ててしまうのが早いが、それだと俺が暫く鈍るからな。――そうだなあ………こうするか」
そういって眉間に力を込める。
室内のベルトルドにはとくに変化は見られなかったが、汽車の外では奇襲部隊たちが騒然とどよめいていた。
宙を飛ぶ自分たちの周囲に、突如青白い光の玉が出現したのだ。
それはかなりの数で、奇襲部隊の傭兵たちを包囲するように光っている。そして光は僅かに電気を帯びていた。
(あれってもしかして……)
ルーファスも外の様子を透視しながら、アルカネットとメルヴィンにも映像を送っていた。
ちらりとベルトルドを見ると、相変わらずむすっとした表情のまま意識を集中している。よっぽどストレス溜まっているんだな、と判るくらいの露骨っぷりだ。
今回のフェルトまでの汽車旅で、ベルトルドにはちょっとした自分だけのプランがあった。
わざわざこんな上等な汽車を手配させたのも、全てはキュッリッキを喜ばせたいためであり、短い旅の間キュッリッキとイチャイチャしたい願望がむき出しである。
しかしキュッリッキはアルカネットによって薬で眠らされ、起きたらそのことで怒って泣いてしまい、挙句慰める役はメルヴィンに持って行かれてしまった。そして泣きつかれてまた寝てしまっている。
イチャイチャどころか会話すらできない。ハグも全く出来ていない。
ベルトルドの怒りとストスレは、すでに頂点を突き抜けかけている。
そんな時に逆臣軍から差し向けられた奇襲部隊。彼らは不運としか言い様がない。
「サイ《超能力》の攻撃が地味とか言ってるやつ!!」
誰も言っていないが、ベルトルドは怒りを顕にした声でいきなり怒鳴る。
「こういう派手な攻撃もできると思い知れ!!」
それを合図にしたように、奇襲部隊の傭兵たちを包囲するように漂っていた光の玉が、帯びた電気を放出し始め、周囲を稲妻の光で強く照らし始めた。
傭兵たちは狼狽し、このあとどうなるか瞬時に想像して、攻撃することも忘れて守りに入ろうとした。
「遅いわっ!!」
その瞬間、光の玉が大きく膨れ上がって奇襲部隊の傭兵たちを飲み込んだ。
落雷にも似た轟音が鳴り響き、夕闇に染まる空間に強烈に発光した。車窓が一瞬、真っ白な強い光を照らし込む。
光の玉が大爆発を引き起こしたのだ。
ゆっくりと光が収束すると、宙にいたはずの傭兵たちは跡形もなく消え去っており、流れる風に、ほのかな肉の焼ける焦げた臭いが混じっていた。
汽車は何事もなかったように速度を緩めず、奇襲部隊の襲撃を一切受けることなく突き進んでいった。
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