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それぞれの悪巧み編
episode343
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嘲笑するような声が頭上から降り注いで、ベネディクト中将は上空を仰ぎ見た。
陽が傾きかけて、水色に朱色が混じり始めた空を背景に、真っ白な軍服とマントをなびかせた男と、漆黒の軍服と裏地だけが真紅のマントをなびかせた男が、並んで見下ろしている。
「無能な部下と無能な上司の板挟みでは、中間管理職のお前も大変そうだ。同情申し上げる」
腰に両手をあてたポーズで、えらく真面目くさって言われ、ベネディクト中将は一瞬言葉を失ったがすぐに立ち直った。
「なんだ、貴様ら!!」
「今更なんだとは、間が抜けていますよ」
「しょうがない、奴は中間管理職だから」
「あんまり中間管理職を馬鹿にするのはおよしなさい。彼らがいないと、運営も職場も成り立たないんですから」
「別に俺の部下じゃないし」
「怪しい奴らめ! 撃ち殺せ!」
ツッコミを入れ合うよりも、賢く攻撃命令を叫んだベネディクト中将の怒号に、その場に詰めていた銃兵や魔法使いやサイ《超能力》使いが一斉に攻撃を開始した。
「お、現実をしっかり見据えた中間管理職だったか」
感心したようにベルトルドは口をニンマリさせる。凄い量の攻撃が飛んできているが、攻撃は全て空間に飲み込まれ2人に届かない。
硝煙が落ち着くと、ソレル王国兵は無傷の2人を見て唖然となった。
「ご褒美に、山を吹き飛ばすお手本を特別に見せてやろう。アルカネット、やれ」
「はいはい」
片手で前髪をかきあげると、アルカネットは山に手をかざす。
「ブラベウス・プロクス」
山裾に浮き上がった真っ赤な線が、山を囲むように高速で走り、ぐるりと回って線がつながる。すると山を囲むようにして、線から巨大な炎の壁が立ちのぼった。辺りに高熱が漂い、ソレル王国兵は熱から逃れようと山から離れ出す。
灼熱の炎に山は飲み込まれ、形を削ぎ落とされながら炎の中に溶けて消えていく。その様は溶岩のようで、赤々と周囲を照らしていた。
そして炎の中から、ベルトルドの念力に守られた神殿が、その全容を明らかにした。
「ふむ。感触から、もっとこじんまりしたものかと思っていたが、意外に大きいんだなあ」
ベルトルドが意外そうに呟くと、アルカネットも同意して頷いた。
「フロスト・キテート」
アルカネットが再び神殿の方へ手をかざすと、無数の氷柱が地面から生えて、辺りの熱を吸収して消えていった。
むわっと蒸気が漂い、辺は焼け焦げた臭いに包まれた。
「どうだ、これが魔法とサイ《超能力》の使い方だ。この程度が出来ないようじゃ、皇国では採用できんぞ」
ふんぞり返って言うベルトルドを、その場にいたソレル王国兵たちは、口を開けたまま呆けて見上げていた。ベネディクト中将も驚きすぎて言葉が出ない。
「別にお前たちに、遺恨もなんもないんだが……。まあ、死ね」
ベルトルドが腕を軽く薙ぐと、その場にいた全てのソレル王国兵の首が飛んだ。
「やはり重要な仕事は、中間管理職をあててはダメだな」
呆けた表情を貼り付けたまま、首だけになったベネディクト中将を無感動に見下ろしながら、ベルトルドはウンウン頷く。
「そんなこと言っていたら、なんでもかんでも、あなたが自分でやらなくてはいけなくなるでしょう」
「俺はいいんだ、優秀なブルーベル将軍がいるから。使えないキャラウェイは叩き出したしな」
「その点は同感です」
「だろう」
ベルトルドとアルカネットは死体をまたいで神殿に近寄った。
陽が傾きかけて、水色に朱色が混じり始めた空を背景に、真っ白な軍服とマントをなびかせた男と、漆黒の軍服と裏地だけが真紅のマントをなびかせた男が、並んで見下ろしている。
「無能な部下と無能な上司の板挟みでは、中間管理職のお前も大変そうだ。同情申し上げる」
腰に両手をあてたポーズで、えらく真面目くさって言われ、ベネディクト中将は一瞬言葉を失ったがすぐに立ち直った。
「なんだ、貴様ら!!」
「今更なんだとは、間が抜けていますよ」
「しょうがない、奴は中間管理職だから」
「あんまり中間管理職を馬鹿にするのはおよしなさい。彼らがいないと、運営も職場も成り立たないんですから」
「別に俺の部下じゃないし」
「怪しい奴らめ! 撃ち殺せ!」
ツッコミを入れ合うよりも、賢く攻撃命令を叫んだベネディクト中将の怒号に、その場に詰めていた銃兵や魔法使いやサイ《超能力》使いが一斉に攻撃を開始した。
「お、現実をしっかり見据えた中間管理職だったか」
感心したようにベルトルドは口をニンマリさせる。凄い量の攻撃が飛んできているが、攻撃は全て空間に飲み込まれ2人に届かない。
硝煙が落ち着くと、ソレル王国兵は無傷の2人を見て唖然となった。
「ご褒美に、山を吹き飛ばすお手本を特別に見せてやろう。アルカネット、やれ」
「はいはい」
片手で前髪をかきあげると、アルカネットは山に手をかざす。
「ブラベウス・プロクス」
山裾に浮き上がった真っ赤な線が、山を囲むように高速で走り、ぐるりと回って線がつながる。すると山を囲むようにして、線から巨大な炎の壁が立ちのぼった。辺りに高熱が漂い、ソレル王国兵は熱から逃れようと山から離れ出す。
灼熱の炎に山は飲み込まれ、形を削ぎ落とされながら炎の中に溶けて消えていく。その様は溶岩のようで、赤々と周囲を照らしていた。
そして炎の中から、ベルトルドの念力に守られた神殿が、その全容を明らかにした。
「ふむ。感触から、もっとこじんまりしたものかと思っていたが、意外に大きいんだなあ」
ベルトルドが意外そうに呟くと、アルカネットも同意して頷いた。
「フロスト・キテート」
アルカネットが再び神殿の方へ手をかざすと、無数の氷柱が地面から生えて、辺りの熱を吸収して消えていった。
むわっと蒸気が漂い、辺は焼け焦げた臭いに包まれた。
「どうだ、これが魔法とサイ《超能力》の使い方だ。この程度が出来ないようじゃ、皇国では採用できんぞ」
ふんぞり返って言うベルトルドを、その場にいたソレル王国兵たちは、口を開けたまま呆けて見上げていた。ベネディクト中将も驚きすぎて言葉が出ない。
「別にお前たちに、遺恨もなんもないんだが……。まあ、死ね」
ベルトルドが腕を軽く薙ぐと、その場にいた全てのソレル王国兵の首が飛んだ。
「やはり重要な仕事は、中間管理職をあててはダメだな」
呆けた表情を貼り付けたまま、首だけになったベネディクト中将を無感動に見下ろしながら、ベルトルドはウンウン頷く。
「そんなこと言っていたら、なんでもかんでも、あなたが自分でやらなくてはいけなくなるでしょう」
「俺はいいんだ、優秀なブルーベル将軍がいるから。使えないキャラウェイは叩き出したしな」
「その点は同感です」
「だろう」
ベルトルドとアルカネットは死体をまたいで神殿に近寄った。
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