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それぞれの悪巧み編
episode337
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アルカネットからそっと背中を押され、ベルトルドの手に導かれるまま、キュッリッキは壇上にのぼった。
手を引かれベルトルドの前に立つと、キュッリッキは緊張のあまり身を固くする。あらゆる人々から注視された。
「召喚スキル〈才能〉を有する者がどのような力を振るうのか、知らぬ者のほうが多いだろう。その貴重な力の一端を、今ここでお見せする」
世界中の興味の目が、キュッリッキに浴びせられた。それを肌で感じ、キュッリッキは不安と緊張で小さく怯えた。
以前総帥本部に呼ばれたとき、式典で見世物になることは、あらかじめベルトルドから説明されている。キュッリッキがその召喚の力を見せること、それが世界の人々にどのような衝撃を与えることになるのかも説明はされていた。
別にコソコソ隠しているわけではないが、こんな場所で召喚をするのは初めてのことで、自らの震えに飲み込まれそうだった。
(リッキー、俺がそばにいる。安心しろ)
念話でベルトルドから優しく励まされ、キュッリッキはつとめて小さく微笑んだ。
カメラがキュッリッキをスクリーンに映し出す。その神秘なる力の全てを撮ろうと、何台ものカメラが向けられた。
キュッリッキは目を閉じると、小さく深呼吸する。心を落ち着かせ、周りの雑音を遮断する。そしてゆっくりと目を開いた。
黄緑色の瞳にまといつく虹色の光彩が小さく光を放ち、それが強く光り、輝き出す。
瞳にまといつく虹色の光彩は、召喚スキル〈才能〉を持つ者の最大の特徴だ。
キュッリッキの瞳は、目の前の光景など見ていない。ここには存在しない、しかし召喚士だけが覗き視ることが許される、神々と幻想世界の住人たちが暮らすアルケラを、しっかりと捉え視ていた。
ページをめくるように風景が高速で切り替わり、アルケラにいる者たちと、次々に目が合う。
こちらに招き寄せる者は決まった。
細っそりとした片手が前に差し出され、掌を上に向け、誘うように開かれた。
「おいで」
小さく呟くと、突如広場の上空の空間が蜃気楼のようにたわみ、円形に波紋を描くようにいくつも歪んだ。
ドオン、ドオンと鈍い音が響きあい、空気が振動を始めた。同時に、どこからともなく吹き込んだ突風が広場を駆け抜ける。
止まない強烈な風に巻かれ、広場にいる人々は大騒ぎになった。この現象を撮ろうとカメラが右往左往向けられ、映像が乱れた。
瞬きもせず、キュッリッキはじっとその空間にひたと視線を向けている。風で飛ばされないように、ベルトルドがキュッリッキを支えていた。
空間はどんどん歪み、辺りに轟音を鳴り響かせた。
「こい、ヨルムガンド、リンドヴルム、フローズヴィトニル、スレイプニル!!」
手を引かれベルトルドの前に立つと、キュッリッキは緊張のあまり身を固くする。あらゆる人々から注視された。
「召喚スキル〈才能〉を有する者がどのような力を振るうのか、知らぬ者のほうが多いだろう。その貴重な力の一端を、今ここでお見せする」
世界中の興味の目が、キュッリッキに浴びせられた。それを肌で感じ、キュッリッキは不安と緊張で小さく怯えた。
以前総帥本部に呼ばれたとき、式典で見世物になることは、あらかじめベルトルドから説明されている。キュッリッキがその召喚の力を見せること、それが世界の人々にどのような衝撃を与えることになるのかも説明はされていた。
別にコソコソ隠しているわけではないが、こんな場所で召喚をするのは初めてのことで、自らの震えに飲み込まれそうだった。
(リッキー、俺がそばにいる。安心しろ)
念話でベルトルドから優しく励まされ、キュッリッキはつとめて小さく微笑んだ。
カメラがキュッリッキをスクリーンに映し出す。その神秘なる力の全てを撮ろうと、何台ものカメラが向けられた。
キュッリッキは目を閉じると、小さく深呼吸する。心を落ち着かせ、周りの雑音を遮断する。そしてゆっくりと目を開いた。
黄緑色の瞳にまといつく虹色の光彩が小さく光を放ち、それが強く光り、輝き出す。
瞳にまといつく虹色の光彩は、召喚スキル〈才能〉を持つ者の最大の特徴だ。
キュッリッキの瞳は、目の前の光景など見ていない。ここには存在しない、しかし召喚士だけが覗き視ることが許される、神々と幻想世界の住人たちが暮らすアルケラを、しっかりと捉え視ていた。
ページをめくるように風景が高速で切り替わり、アルケラにいる者たちと、次々に目が合う。
こちらに招き寄せる者は決まった。
細っそりとした片手が前に差し出され、掌を上に向け、誘うように開かれた。
「おいで」
小さく呟くと、突如広場の上空の空間が蜃気楼のようにたわみ、円形に波紋を描くようにいくつも歪んだ。
ドオン、ドオンと鈍い音が響きあい、空気が振動を始めた。同時に、どこからともなく吹き込んだ突風が広場を駆け抜ける。
止まない強烈な風に巻かれ、広場にいる人々は大騒ぎになった。この現象を撮ろうとカメラが右往左往向けられ、映像が乱れた。
瞬きもせず、キュッリッキはじっとその空間にひたと視線を向けている。風で飛ばされないように、ベルトルドがキュッリッキを支えていた。
空間はどんどん歪み、辺りに轟音を鳴り響かせた。
「こい、ヨルムガンド、リンドヴルム、フローズヴィトニル、スレイプニル!!」
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