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それぞれの悪巧み編
episode321
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「分家筋ですか」
「うむ。アレを作ったのは元々ヤルヴィレフト王家だからな、色々と遺物が残っているのだろう。その中に取説もあるんじゃないかな」
ベルトルドの説明に、シ・アティウスはメガネをクイッと押し上げながら、口の端にほんの僅か皮肉な笑みを漂わせた。
「ソレル国王は実によく研究していたようですね。レディトゥス・システムのことにも、だいぶ前に気づいていたようです」
「ケレヴィルの調査を阻害しにきたくらいだ」
フンッと忌々しそうにベルトルドは鼻を鳴らす。
「あんなところで宣戦布告をするから、こちらとしても対策が必須になって苦労を強いられている。あのジジイ、この俺が直々にぶっ殺してくれるわ」
「せっかくだから、劇的に大々的にぶっ殺されるシーンを利用してあげたら?」
「リュー、それイイ」
ナイス!と、ベルトルドは親指を立ててみせる。それに対してリュリュは肩をすくめるのみだった。
「ところで、エルアーラ遺跡の規模はどのくらいあるんだ? そろそろ全体予想がついているんだろう、エロメガネ」
「私はそんなあだ名がついてるんですか? まあ、なんでもいいですが…。規模はモナルダ大陸の3分の1くらいはありそうかと」
アルカネットは目を見張り、リュリュは「ンまっ」と驚きの声を上げ、ベルトルドは苦笑した。
「フッ、やけにデカ過ぎるな」
「どういう作り方をすれば、そうなるのかしらね」
リュリュは目だけで天井を仰いだ。
「遺跡の扱いが判っているのなら、レディトゥス・システムにも早急に手をつけてくるでしょう。2人が向かうのは正解ですね」
「ウン。今回はお前もソレル王国に飛んでおけ。あと、エルアーラに詳しい職員も多めに手配しておけ。取り返したらアレヤコレヤあるしな」
「はい。私もエルアーラ遺跡に向かっておきますか?」
「首都アルイールあたりで待機しておけばいい。俺が飛ばす」
「判りました」
その他軽く打ち合わせ、4人は解散した。
執務室に一人になると、ベルトルドはデスクに戻り、写真立ての一つを手にとった。
写真には庭のバラを背景に、キュッリッキが笑顔で写っている。メイドのアリサに頼んで、撮ってもらった写真である。
「リッキー…」
優しい顔で微笑み、そしてタコのように唇を突き出し、
「ンちゅう~~」
と粘着力が強力そうなキスをした。
「もっと身体が元気になったら、色々なところに連れて行ってやりたい」
仕事のために他国を歩くのではなく、観光として歩かせてやりたい。贅沢も我が儘も、たくさんさせてやりたかった。
「戦争が終わったら、休暇を取ってリッキーとしっぽり温泉旅もいいなあ」
写真立てをぎゅっと胸に押し抱き、ベルトルドはうっとりと天井を見上げる。
「温泉で火照った身体をベッドに寝かせ、まずはキスをたっぷりしたあと、リッキーのアソコを優しく愛撫して愛撫して愛撫してあいぶっ」
ゴンッ!
「はい、ストップ」
リュリュに分厚い本のカドでぶん殴られて、ベルトルドはデスクに突っ伏した。
「妄想の中で小娘に悪さするんじゃないよ!」
「……」
「さ、仕事よっ」
ドサドサドサッと書類の山が5つ築かれ、ベルトルドはメソメソと顔を上げてガックリと肩を落とすのだった。
「うむ。アレを作ったのは元々ヤルヴィレフト王家だからな、色々と遺物が残っているのだろう。その中に取説もあるんじゃないかな」
ベルトルドの説明に、シ・アティウスはメガネをクイッと押し上げながら、口の端にほんの僅か皮肉な笑みを漂わせた。
「ソレル国王は実によく研究していたようですね。レディトゥス・システムのことにも、だいぶ前に気づいていたようです」
「ケレヴィルの調査を阻害しにきたくらいだ」
フンッと忌々しそうにベルトルドは鼻を鳴らす。
「あんなところで宣戦布告をするから、こちらとしても対策が必須になって苦労を強いられている。あのジジイ、この俺が直々にぶっ殺してくれるわ」
「せっかくだから、劇的に大々的にぶっ殺されるシーンを利用してあげたら?」
「リュー、それイイ」
ナイス!と、ベルトルドは親指を立ててみせる。それに対してリュリュは肩をすくめるのみだった。
「ところで、エルアーラ遺跡の規模はどのくらいあるんだ? そろそろ全体予想がついているんだろう、エロメガネ」
「私はそんなあだ名がついてるんですか? まあ、なんでもいいですが…。規模はモナルダ大陸の3分の1くらいはありそうかと」
アルカネットは目を見張り、リュリュは「ンまっ」と驚きの声を上げ、ベルトルドは苦笑した。
「フッ、やけにデカ過ぎるな」
「どういう作り方をすれば、そうなるのかしらね」
リュリュは目だけで天井を仰いだ。
「遺跡の扱いが判っているのなら、レディトゥス・システムにも早急に手をつけてくるでしょう。2人が向かうのは正解ですね」
「ウン。今回はお前もソレル王国に飛んでおけ。あと、エルアーラに詳しい職員も多めに手配しておけ。取り返したらアレヤコレヤあるしな」
「はい。私もエルアーラ遺跡に向かっておきますか?」
「首都アルイールあたりで待機しておけばいい。俺が飛ばす」
「判りました」
その他軽く打ち合わせ、4人は解散した。
執務室に一人になると、ベルトルドはデスクに戻り、写真立ての一つを手にとった。
写真には庭のバラを背景に、キュッリッキが笑顔で写っている。メイドのアリサに頼んで、撮ってもらった写真である。
「リッキー…」
優しい顔で微笑み、そしてタコのように唇を突き出し、
「ンちゅう~~」
と粘着力が強力そうなキスをした。
「もっと身体が元気になったら、色々なところに連れて行ってやりたい」
仕事のために他国を歩くのではなく、観光として歩かせてやりたい。贅沢も我が儘も、たくさんさせてやりたかった。
「戦争が終わったら、休暇を取ってリッキーとしっぽり温泉旅もいいなあ」
写真立てをぎゅっと胸に押し抱き、ベルトルドはうっとりと天井を見上げる。
「温泉で火照った身体をベッドに寝かせ、まずはキスをたっぷりしたあと、リッキーのアソコを優しく愛撫して愛撫して愛撫してあいぶっ」
ゴンッ!
「はい、ストップ」
リュリュに分厚い本のカドでぶん殴られて、ベルトルドはデスクに突っ伏した。
「妄想の中で小娘に悪さするんじゃないよ!」
「……」
「さ、仕事よっ」
ドサドサドサッと書類の山が5つ築かれ、ベルトルドはメソメソと顔を上げてガックリと肩を落とすのだった。
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