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それぞれの悪巧み編
episode303
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ゆっくり廊下を進むと、扉が開きっぱなしの奥の部屋から、賑やかな聴き慣れた声が耳に飛び込んできた。
「むむっ?」
首をわずかに傾げ、歩調を早める。部屋の入口に立つと、
「あー、ギャリー!」
軽く飛び上がって、キュッリッキは叫んだ。
「やっぱキューリか。なんでフェンリルが駆け込んできたのかと思ってたらよ」
ソファに座ったままの姿勢で、顔の横までフェンリルを抱き上げたギャリーが、にやりと笑った。
すると突然、室内が騒然と沸き立った。
「うお! ちょー美少女じぇねーか!!」
「こんな可愛い子と知り合いなのかテめえ」
「お嬢ちゃんお名前は~?」
室内にいた十数人の軍服をまとった男たちが、目をギラギラさせながらキュッリッキの元に集まって人垣を作った。
ギャリーを見つけたと思った矢先、いきなり見知らぬ男達に群がられ、キュッリッキはびっくりして目を見張る。
「キミ、ギャリーのなんなの?」
「あんなむさい野郎と何故知り合いなの?」
「めさめさ可愛いね~、カレシいるの?」
「え……えっと…」
絶え間ない質問攻めに圧倒され、キュッリッキはどう対応していいか困り果てて視線を彷徨わせた。邪なオーラがムラムラ漂ってきて、ぶっちゃけ気持ちが悪い。
それをソファに座して見ていたギャリーは、やれやれと嘆息すると、フェンリルを頭の上に乗せて立ち上がった。
「おらおらおめーら、いい加減にしやがれ! ほらそこ、ドケ」
ギャリーは人垣を掻き分けながら突き進み、オロオロするキュッリッキの両脇に手を入れ、高々と抱き上げる。
「ウチのお嬢にちょっかい出すな、ドスケベ共が!」
キュッリッキを掴んで抱き上げたまま、ギャリーはムラムラと沸き立つ野郎共に、威嚇の視線を投げかける。
「ウチのって、おめーんとこの傭兵団のコなのか?」
「そうだよ」
これには即ザワザワと批難の声が上がる。
「こんな可愛い乙女に傭兵させてんの? えげつねーなおめーんとこは」
みんな腕を組み、揃ってウンウンと頷いた。その様子にギャリーは「ぶわっか!」と吐き捨てる。
「顔は関係ねーだろ。いいか、よく聞きやがれ。泣く子も黙らせる我らが副宰相兼総帥閣下が、目に入れても痛くないほど溺愛している、雲の上の召喚士様だぞこいつは!」
ほらほら、と、ギャリーはキュッリッキをさらに持ち上げ、拝め!と言わんばかりにアピールする。
まるでピカーッと後光にでも照らされたかのように、みんな眩しげに腕を眼前にかざした。キュッリッキは訳も分からず、されるがまま目を白黒とさせていた。
「ちょっとでも手を出してみろ、副宰相サマと魔法部隊(ビリエル)の長官サマも加わって、天から雷降らせてくんぞ」
サーッと音が聞こえそうなほど、一同の顔色が蒼白に塗り変わっていった。
「これは脅しじゃねえぞ? 事実だ。覚悟しとけ」
むさっ苦しい顔でにやりと笑うギャリーに、キュッリッキはパチクリと目を瞬かせた。
「むむっ?」
首をわずかに傾げ、歩調を早める。部屋の入口に立つと、
「あー、ギャリー!」
軽く飛び上がって、キュッリッキは叫んだ。
「やっぱキューリか。なんでフェンリルが駆け込んできたのかと思ってたらよ」
ソファに座ったままの姿勢で、顔の横までフェンリルを抱き上げたギャリーが、にやりと笑った。
すると突然、室内が騒然と沸き立った。
「うお! ちょー美少女じぇねーか!!」
「こんな可愛い子と知り合いなのかテめえ」
「お嬢ちゃんお名前は~?」
室内にいた十数人の軍服をまとった男たちが、目をギラギラさせながらキュッリッキの元に集まって人垣を作った。
ギャリーを見つけたと思った矢先、いきなり見知らぬ男達に群がられ、キュッリッキはびっくりして目を見張る。
「キミ、ギャリーのなんなの?」
「あんなむさい野郎と何故知り合いなの?」
「めさめさ可愛いね~、カレシいるの?」
「え……えっと…」
絶え間ない質問攻めに圧倒され、キュッリッキはどう対応していいか困り果てて視線を彷徨わせた。邪なオーラがムラムラ漂ってきて、ぶっちゃけ気持ちが悪い。
それをソファに座して見ていたギャリーは、やれやれと嘆息すると、フェンリルを頭の上に乗せて立ち上がった。
「おらおらおめーら、いい加減にしやがれ! ほらそこ、ドケ」
ギャリーは人垣を掻き分けながら突き進み、オロオロするキュッリッキの両脇に手を入れ、高々と抱き上げる。
「ウチのお嬢にちょっかい出すな、ドスケベ共が!」
キュッリッキを掴んで抱き上げたまま、ギャリーはムラムラと沸き立つ野郎共に、威嚇の視線を投げかける。
「ウチのって、おめーんとこの傭兵団のコなのか?」
「そうだよ」
これには即ザワザワと批難の声が上がる。
「こんな可愛い乙女に傭兵させてんの? えげつねーなおめーんとこは」
みんな腕を組み、揃ってウンウンと頷いた。その様子にギャリーは「ぶわっか!」と吐き捨てる。
「顔は関係ねーだろ。いいか、よく聞きやがれ。泣く子も黙らせる我らが副宰相兼総帥閣下が、目に入れても痛くないほど溺愛している、雲の上の召喚士様だぞこいつは!」
ほらほら、と、ギャリーはキュッリッキをさらに持ち上げ、拝め!と言わんばかりにアピールする。
まるでピカーッと後光にでも照らされたかのように、みんな眩しげに腕を眼前にかざした。キュッリッキは訳も分からず、されるがまま目を白黒とさせていた。
「ちょっとでも手を出してみろ、副宰相サマと魔法部隊(ビリエル)の長官サマも加わって、天から雷降らせてくんぞ」
サーッと音が聞こえそうなほど、一同の顔色が蒼白に塗り変わっていった。
「これは脅しじゃねえぞ? 事実だ。覚悟しとけ」
むさっ苦しい顔でにやりと笑うギャリーに、キュッリッキはパチクリと目を瞬かせた。
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