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番外編1
クリスマス準備・6
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ベルトルドとアルカネットは、どこか疲労困憊の表情で、屋敷へ戻る地下通路を並んで歩いていた。仕事を終えて、途中で偶然合流して帰宅中である。
今日の疲労は、プレゼント選びからくるものだった。
「プレゼントは、無事選び終えましたか?」
「ああ、オカマの意見が役に立った。一つだけだと決まらないから、取り敢えず候補全部を注文しておいた」
ベルトルドはリュリュの意見を聞いて、高価な宝石が惜しみなく施されたアクセサリー類を片っ端からと、可愛いぬいぐるみやお菓子などを注文した。そのついでに、リュリュ用のバーリグレーンの限定ダイヤの指輪も買わされた。
大した出費でもないが、妙のその点だけは敗北感が否めないベルトルドだった。
「私のほうも同じようなものです。こういうとき副官が女性だと助かりますね」
意見を求められた副官のヘイディ少佐は、仕事をしてもらうために、自らカタログを開いて選んだものをアルカネットに奨め、プレゼント選びが速攻終了した。それでようやく仕事が再開され、書類整理が出来て、ヘイディ少佐は感涙の嵐だった。酷い上司である。
「あと、使用人たちのプレゼントも、適当に選んでおいたぞ」
「使用人たちを前に、適当、なんて言わないでくださいよ。リトヴァに叱られます」
じろっと横目で睨まれて、ベルトルドは首をすくめた。
「その程度の常識はちゃんとあるぞ」
「そうだといいのですけど」
含みたっぷりに言われて、ベルトルドは渋面を作ってぶっすりと口を尖らせた。
「クリスマスまでは、まだ日がありますね。パーティーの準備は全部使用人任せですが、当日、リッキーさんの喜ぶ顔が楽しみです」
クリスマスは仕事しかしていなかったという可哀想なキュッリッキのために、ベルトルドとアルカネットはパーティーとプレゼントと、特大の豪華なクリスマスツリーを準備している。
屋敷の中に飾られているものも十二分に豪華だったが、電気を自由に使用できるハーメンリンナならではの、電飾を使った飾りつけをした特大のもみの木を、広い中庭に立てている。更に周囲の植木などにも惜しみなく電飾を巻きつけ、光の空間を作り上げていた。庭師のカープロも「お嬢様のため」と息巻いて、頑張って作っている。
青と白の電飾で統一しているので、夜の庭には青く幻想的な光の空間が目を楽しませていた。ベルトルドもアルカネットも気に入っていて、心底満足だ。
そしてクリスマスパーティーのために、特注でドレスも作らせている。それを着たキュッリッキを想像すると、平常心を保てるか2人は心配になる。当然デザインには、2人の妄想と願望が盛り込まれまくりだ。
ご馳走のメニューも、キュッリッキの好きなものを中心に用意させている。ケーキやお菓子も沢山用意するように申し付けていた。キュッリッキのためにライオン傭兵団全員も招いているが、はっきり言って、彼らは”オマケのついで”だ。あくまでパーティーの主役はキュッリッキなのだから。
キュッリッキの喜ぶ顔を想像して、2人はにんまりと笑顔を浮かべた。恥ずかしいほど鼻の下が下がりっぱなしだ。
「ああ、クリスマスが待ち遠しい」
「ええ、早く来て欲しいですね」
2人は思い思いの”キュッリッキとの”クリスマスプランを頭に浮かべながら、疲れも吹き飛んで軽くなった足取りで、屋敷に繋がる地上への階段を上った。
今日の疲労は、プレゼント選びからくるものだった。
「プレゼントは、無事選び終えましたか?」
「ああ、オカマの意見が役に立った。一つだけだと決まらないから、取り敢えず候補全部を注文しておいた」
ベルトルドはリュリュの意見を聞いて、高価な宝石が惜しみなく施されたアクセサリー類を片っ端からと、可愛いぬいぐるみやお菓子などを注文した。そのついでに、リュリュ用のバーリグレーンの限定ダイヤの指輪も買わされた。
大した出費でもないが、妙のその点だけは敗北感が否めないベルトルドだった。
「私のほうも同じようなものです。こういうとき副官が女性だと助かりますね」
意見を求められた副官のヘイディ少佐は、仕事をしてもらうために、自らカタログを開いて選んだものをアルカネットに奨め、プレゼント選びが速攻終了した。それでようやく仕事が再開され、書類整理が出来て、ヘイディ少佐は感涙の嵐だった。酷い上司である。
「あと、使用人たちのプレゼントも、適当に選んでおいたぞ」
「使用人たちを前に、適当、なんて言わないでくださいよ。リトヴァに叱られます」
じろっと横目で睨まれて、ベルトルドは首をすくめた。
「その程度の常識はちゃんとあるぞ」
「そうだといいのですけど」
含みたっぷりに言われて、ベルトルドは渋面を作ってぶっすりと口を尖らせた。
「クリスマスまでは、まだ日がありますね。パーティーの準備は全部使用人任せですが、当日、リッキーさんの喜ぶ顔が楽しみです」
クリスマスは仕事しかしていなかったという可哀想なキュッリッキのために、ベルトルドとアルカネットはパーティーとプレゼントと、特大の豪華なクリスマスツリーを準備している。
屋敷の中に飾られているものも十二分に豪華だったが、電気を自由に使用できるハーメンリンナならではの、電飾を使った飾りつけをした特大のもみの木を、広い中庭に立てている。更に周囲の植木などにも惜しみなく電飾を巻きつけ、光の空間を作り上げていた。庭師のカープロも「お嬢様のため」と息巻いて、頑張って作っている。
青と白の電飾で統一しているので、夜の庭には青く幻想的な光の空間が目を楽しませていた。ベルトルドもアルカネットも気に入っていて、心底満足だ。
そしてクリスマスパーティーのために、特注でドレスも作らせている。それを着たキュッリッキを想像すると、平常心を保てるか2人は心配になる。当然デザインには、2人の妄想と願望が盛り込まれまくりだ。
ご馳走のメニューも、キュッリッキの好きなものを中心に用意させている。ケーキやお菓子も沢山用意するように申し付けていた。キュッリッキのためにライオン傭兵団全員も招いているが、はっきり言って、彼らは”オマケのついで”だ。あくまでパーティーの主役はキュッリッキなのだから。
キュッリッキの喜ぶ顔を想像して、2人はにんまりと笑顔を浮かべた。恥ずかしいほど鼻の下が下がりっぱなしだ。
「ああ、クリスマスが待ち遠しい」
「ええ、早く来て欲しいですね」
2人は思い思いの”キュッリッキとの”クリスマスプランを頭に浮かべながら、疲れも吹き飛んで軽くなった足取りで、屋敷に繋がる地上への階段を上った。
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