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番外編1
クリスマス準備・5
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2人は全ての店を覗いて少し相談したあと品物を選ぶと、綺麗な包装紙とリボンで包んでもらって、キリ夫妻へのクリスマスプレゼントは準備完了になった。
たくさん歩いて疲れた2人は、カレリアンピーラッカを売る露天の前にあるテーブル席に、向かい合って座った。
メルヴィンは一旦トイレに行って急いで戻ってくると、露天でカレリアンピーラッカと温かいミルクティを買って、キュッリッキの前に置いてやった。夕方に差し掛かった空気の冷たさの中で、湯気がほくほく立ち上る様は、見た目にも温かかった。
「ありがとう」
「疲れたでしょう。人ごみの中は歩くだけで倍疲れますから」
「ホントだね~。でもプレゼント買えてよかったあ」
キュッリッキが選んだのは、羊毛で編まれた色とりどりの靴下の7足セットとブランケットだった。
冬場はとくに、台所など足元が寒い。時々手伝ったりすると、キリ夫人が足元が寒い寒いと言っていたことを覚えていたからだ。言葉には出さないがキリ氏も同様に寒いだろう。
あまり派手な色は気に入らないかもと、地味になりすぎない暖かい色合いのものが見つかって、それに決めたのだった。
メルヴィンはセーターを3着ずつ、色違いのお揃いのものを選んでそれぞれ包んでもらった。
2人は30分ほど会話を楽しみ休憩をしたあと、談話室でみんながつまめる据え置きの菓子鉢用に、ジンジャーやチョコレートのクッキー、ロールケーキなどを買い込んで帰路に着いた。
「おじさんとおばさん、気に入ってくれるといいね」
「気に入ってくれますよ、きっと」
「うん。クリスマス楽しみっ」
エルダー街に戻る途中、人通りが少なくなった街灯の下で、メルヴィンが急に足を止めた。
「どうしたの?」
キュッリッキが首をかしげていると、メルヴィンはコートのポケットから小さな包を取り出した。
細長い白い包装紙に、金のリボンがかかっている。
「ちょっと早いですけど、オレからのクリスマスプレゼントです」
照れくさそうに微笑みながら、その包をキュッリッキに差し出した。
キュッリッキは何度かプレゼントとメルヴィンの顔を交互に見て、プレゼントやお菓子を入れた紙袋を地面に置いた。
そっと両手で受け取った包は、とても軽かった。
「あの、開けてもいい?」
「はい」
キュッリッキは恐る恐るといった様子で、リボンをほどいて包装紙を広げる。そして箱の蓋を開けて大きく目を見張った。
箱の中にあったものは、さきほど予算オーバーで断念した銀のペンダントだった。
「メルヴィンこれ」
「ずっと見ていたでしょう。すごく気に入っていたようだったから」
穏やかに微笑むメルヴィンに、キュッリッキは興奮した顔に喜びを浮かべて微笑み返した。
「ありがとうメルヴィン、すっごく嬉しい!」
それ以上は言葉にならないほど感無量になって、キュッリッキはペンダントを愛おしく見つめた。その様子に、メルヴィンは嬉しそうに微笑んだ。
「つけてあげますね」
メルヴィンは荷物を置くと、キュッリッキの手からペンダントを受け取り、細い首にかけてやった。
「似合ってます」
街灯の淡い光をうけて輝きを放つ銀に、とろりとした青と白の宝石が柔らかく光っていた。
メルヴィンと2人っきりで初めてのクリスマスマーケットに出かけて、初めて誰かの為のプレゼントを選び、軽食をつまみながらおしゃべりをして、そしてサプライズのプレゼント。
(すっごく、すっごく、胸がキュンッなの!)
ほんの数時間の出来事を、この気持ちを、大声で叫びたいほどキュッリッキは嬉しくて嬉しくてしょうがない。
なによりメルヴィンが、こうして欲しかったものをプレゼントしてくれたこと、気づいてくれたことが最大の喜びだった。
まだまだ片思いで、恋心には気づいてもらえないけど、でも、とても嬉しかった。
これ以上にないほどの幸せに包まれた表情(かお)で、キュッリッキは恥ずかしそうにメルヴィンへ微笑んだ。
たくさん歩いて疲れた2人は、カレリアンピーラッカを売る露天の前にあるテーブル席に、向かい合って座った。
メルヴィンは一旦トイレに行って急いで戻ってくると、露天でカレリアンピーラッカと温かいミルクティを買って、キュッリッキの前に置いてやった。夕方に差し掛かった空気の冷たさの中で、湯気がほくほく立ち上る様は、見た目にも温かかった。
「ありがとう」
「疲れたでしょう。人ごみの中は歩くだけで倍疲れますから」
「ホントだね~。でもプレゼント買えてよかったあ」
キュッリッキが選んだのは、羊毛で編まれた色とりどりの靴下の7足セットとブランケットだった。
冬場はとくに、台所など足元が寒い。時々手伝ったりすると、キリ夫人が足元が寒い寒いと言っていたことを覚えていたからだ。言葉には出さないがキリ氏も同様に寒いだろう。
あまり派手な色は気に入らないかもと、地味になりすぎない暖かい色合いのものが見つかって、それに決めたのだった。
メルヴィンはセーターを3着ずつ、色違いのお揃いのものを選んでそれぞれ包んでもらった。
2人は30分ほど会話を楽しみ休憩をしたあと、談話室でみんながつまめる据え置きの菓子鉢用に、ジンジャーやチョコレートのクッキー、ロールケーキなどを買い込んで帰路に着いた。
「おじさんとおばさん、気に入ってくれるといいね」
「気に入ってくれますよ、きっと」
「うん。クリスマス楽しみっ」
エルダー街に戻る途中、人通りが少なくなった街灯の下で、メルヴィンが急に足を止めた。
「どうしたの?」
キュッリッキが首をかしげていると、メルヴィンはコートのポケットから小さな包を取り出した。
細長い白い包装紙に、金のリボンがかかっている。
「ちょっと早いですけど、オレからのクリスマスプレゼントです」
照れくさそうに微笑みながら、その包をキュッリッキに差し出した。
キュッリッキは何度かプレゼントとメルヴィンの顔を交互に見て、プレゼントやお菓子を入れた紙袋を地面に置いた。
そっと両手で受け取った包は、とても軽かった。
「あの、開けてもいい?」
「はい」
キュッリッキは恐る恐るといった様子で、リボンをほどいて包装紙を広げる。そして箱の蓋を開けて大きく目を見張った。
箱の中にあったものは、さきほど予算オーバーで断念した銀のペンダントだった。
「メルヴィンこれ」
「ずっと見ていたでしょう。すごく気に入っていたようだったから」
穏やかに微笑むメルヴィンに、キュッリッキは興奮した顔に喜びを浮かべて微笑み返した。
「ありがとうメルヴィン、すっごく嬉しい!」
それ以上は言葉にならないほど感無量になって、キュッリッキはペンダントを愛おしく見つめた。その様子に、メルヴィンは嬉しそうに微笑んだ。
「つけてあげますね」
メルヴィンは荷物を置くと、キュッリッキの手からペンダントを受け取り、細い首にかけてやった。
「似合ってます」
街灯の淡い光をうけて輝きを放つ銀に、とろりとした青と白の宝石が柔らかく光っていた。
メルヴィンと2人っきりで初めてのクリスマスマーケットに出かけて、初めて誰かの為のプレゼントを選び、軽食をつまみながらおしゃべりをして、そしてサプライズのプレゼント。
(すっごく、すっごく、胸がキュンッなの!)
ほんの数時間の出来事を、この気持ちを、大声で叫びたいほどキュッリッキは嬉しくて嬉しくてしょうがない。
なによりメルヴィンが、こうして欲しかったものをプレゼントしてくれたこと、気づいてくれたことが最大の喜びだった。
まだまだ片思いで、恋心には気づいてもらえないけど、でも、とても嬉しかった。
これ以上にないほどの幸せに包まれた表情(かお)で、キュッリッキは恥ずかしそうにメルヴィンへ微笑んだ。
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