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初恋の予感編
episode288
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「ペルラ、ガエル、ヴァルト、そしてリッキーの4人は、この国の軍入隊経験がなかったな。ルーも軍ではないが、まあ宮仕え経験者か。――リッキーは俺直属になるからいいとして、お前ら、懐かしさ溢れる古巣に一度戻ってもらうぞ」
「ほえ?」
シビルが間の抜けた声を出すと、ベルトルドはその反応が予想通りなのがおかしくて、笑みを深める。
「ライオン傭兵団は臨時で一時、皇国の軍隊に編入してもらうと言っている」
今度こそ完全に沈黙が降臨した。
「マリオンらからある程度、話は聞き及んでいるだろう。かのソレル王国が、近隣小国と結託して、飼い主である皇国に戦争を吹っかけようとしていると。せっかくだから、皇国の戦力と対等に戦えるだけの準備くらいさせてやろうと、生ぬるく見守ってやっていたが、どうやら向こうの準備が整ったらしい」
「泳がせていたんですか」
苦い表情を浮かべるカーティスに、ベルトルドはニッコリと笑んだ。
「中途半端に手を出すわけにもいかない。貴様らに救出依頼をして、暴れてもらった件もあるし、あれで奴らも動きを慌ただしくしたようだ。まあ、奴らの期待に派手に応えてやるのも飼い主の務めというもの。どうせ遊んでやるなら、出し惜しみせず、最大戦力で迎え撃ってやろうと思ってな」
ベルトルドはキュッリッキの膝に、何度か頬をスリスリして感触を楽しむ。柔らかだが、ハリのある肌が気持ちイイ。
「そこでお前たちに仕事の依頼だ。報酬大いに弾んでやるから、戦争手伝え」
にっこりと締めくくると、皆脱力した顔を並べていた。
「傭兵の本分だろう、戦争は。小競り合い程度の戦争は経験があるだろうが、今回のような大規模なものは、貴様たちは初めてになるか。――いや、3年前に一回あったな」
ギクッ、という雰囲気が室内に漂う。そして、ベルトルドとキュッリッキを除く全員が、カタカタと身体を震わせ、顔を青ざめさせた。
「?」
キュッリッキは不思議そうにライオン傭兵団を見る。
「ふふーん。懐かしい思い出だよなあ、貴様らの無様極まるあの戦場での姿」
「思い出させないでくださいよー!!」
腹の底から振り絞るように、ザカリーは叫んだ。
「いやもう、マジ勘弁っすよ御大…」
ギャリーもゲッソリしながら、もごもご口を動かした。
ベルトルドは意地の悪い笑みを向けて、更に彼らの胃痛を煽った。キュッリッキだけは話が見えなくて、ちょっと拗ねて唇を尖らせる。
「詳細は追々話してやるが、大雑把に言うと、最初は軍隊と共に動いてもらうが、最後は俺とアルカネットと共に動いてもらう。思い上がった馬鹿どもに、力の差というものを知らしめるために俺も出る。飼い主に逆らったらどうなるか、徹底的に叩き潰す。手心を加えるつもりもない。――終戦後には、モナルダ大陸からソレル王国の名が抹消されることになるな」
クックッと愉快そうにベルトルドは笑った。
「こちらの準備もほぼ終わっている。あとはお前たちが、軍服に袖を通すだけだ」
「ほえ?」
シビルが間の抜けた声を出すと、ベルトルドはその反応が予想通りなのがおかしくて、笑みを深める。
「ライオン傭兵団は臨時で一時、皇国の軍隊に編入してもらうと言っている」
今度こそ完全に沈黙が降臨した。
「マリオンらからある程度、話は聞き及んでいるだろう。かのソレル王国が、近隣小国と結託して、飼い主である皇国に戦争を吹っかけようとしていると。せっかくだから、皇国の戦力と対等に戦えるだけの準備くらいさせてやろうと、生ぬるく見守ってやっていたが、どうやら向こうの準備が整ったらしい」
「泳がせていたんですか」
苦い表情を浮かべるカーティスに、ベルトルドはニッコリと笑んだ。
「中途半端に手を出すわけにもいかない。貴様らに救出依頼をして、暴れてもらった件もあるし、あれで奴らも動きを慌ただしくしたようだ。まあ、奴らの期待に派手に応えてやるのも飼い主の務めというもの。どうせ遊んでやるなら、出し惜しみせず、最大戦力で迎え撃ってやろうと思ってな」
ベルトルドはキュッリッキの膝に、何度か頬をスリスリして感触を楽しむ。柔らかだが、ハリのある肌が気持ちイイ。
「そこでお前たちに仕事の依頼だ。報酬大いに弾んでやるから、戦争手伝え」
にっこりと締めくくると、皆脱力した顔を並べていた。
「傭兵の本分だろう、戦争は。小競り合い程度の戦争は経験があるだろうが、今回のような大規模なものは、貴様たちは初めてになるか。――いや、3年前に一回あったな」
ギクッ、という雰囲気が室内に漂う。そして、ベルトルドとキュッリッキを除く全員が、カタカタと身体を震わせ、顔を青ざめさせた。
「?」
キュッリッキは不思議そうにライオン傭兵団を見る。
「ふふーん。懐かしい思い出だよなあ、貴様らの無様極まるあの戦場での姿」
「思い出させないでくださいよー!!」
腹の底から振り絞るように、ザカリーは叫んだ。
「いやもう、マジ勘弁っすよ御大…」
ギャリーもゲッソリしながら、もごもご口を動かした。
ベルトルドは意地の悪い笑みを向けて、更に彼らの胃痛を煽った。キュッリッキだけは話が見えなくて、ちょっと拗ねて唇を尖らせる。
「詳細は追々話してやるが、大雑把に言うと、最初は軍隊と共に動いてもらうが、最後は俺とアルカネットと共に動いてもらう。思い上がった馬鹿どもに、力の差というものを知らしめるために俺も出る。飼い主に逆らったらどうなるか、徹底的に叩き潰す。手心を加えるつもりもない。――終戦後には、モナルダ大陸からソレル王国の名が抹消されることになるな」
クックッと愉快そうにベルトルドは笑った。
「こちらの準備もほぼ終わっている。あとはお前たちが、軍服に袖を通すだけだ」
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