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初恋の予感編
episode263
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食器を片して戻ってきたルーファスは、ベッドの傍らの椅子に座り、雑誌を広げて読んでいた。読んでいるのは毎度のアダルト誌。女性の裸体写真やら水着の写真などが、惜しみなく掲載されているものだ。
「このエロ雑誌は優秀なんだよ! 本当はナマに勝るものはないんだけど、四六時中理想のナマを拝めないでしょ。これ未修正だし高いだけあって、見応え充分!」
ハンサムな顔をにやけさせながら、ルーファスはキュッリッキに力説した。
力説されても困ることだが、ルーファスが見ているアダルト雑誌のほとんどが、ベルトルドの部屋から拝借してきたものだということが、キュッリッキの気分を複雑にさせた。
(ベルトルドさんもあんなふうに、あの雑誌をみてニヤニヤしてるのかな…)
鼻の下を伸ばし、ニヤニヤと雑誌を見ている姿を想像すると、嫌悪感が湧いてくる。
後にそれがベルトルドにバレて、ルーファスはこっぴどく折檻される羽目になる。もちろん雑誌を勝手に持ち出したことではなく、キュッリッキにバレてしまったことにだ。
とくにすることもなく、キュッリッキは身体を起こしたまま、クッションで丸まって寝ているフェンリルを見ていた。
いつもなら傍らにはメルヴィンがいて、退屈そうにしていると、どこか必死に話しかけてくれる。
ぎこちない様子で、一生懸命話題を捻り出して、四苦八苦話してくれた。そして話が数分で終了してしまうと、心底申し訳なさそうに謝るのだ。
(メルヴィンいなくて、寂しいかも…)
どこに出かけているか知らないが、優しいメルヴィンが傍にいないだけで、こんなにも寂しく感じてしまう。
(誰かと会ってるのかなあ)
そう思った瞬間、心の中がザワザワしだして、左手をギュッと握り締めた。
(だ、誰かってダレ? お…、お…、女の人…とか!?)
だとしたら!?
メルヴィンが自分の知らない女の人と会っているのかと思うと、何故だかムカついてくる。
(ルーさん知ってるかな)
チラリとルーファスを見ると、ニヤニヤしながら雑誌に夢中だ。
(別に、メルヴィンが女の人と会ってたって構わないけど…でも…)
自分以外の女の人と親しくしているのが、凄く嫌だと思ってしまう。
初めて沸き起こる感覚に、キュッリッキは酷く戸惑った。なんだかとっても落ち着かないのだ。
キュッリッキは何度も何度も顔を上げては、すぐ俯かせた。雑誌に集中しているルーファスはその様子に気づかない。
もう何度目になるか、意を決したように顔を上げると、キュッリッキはルーファスに声をかけた。
「ルーさんあのね、ちょっときいてもいいかな」
「ん? どうしたんだい?」
雑誌から顔を上げると、ルーファスはにこやかにキュッリッキのほうを見る。
「えっとね……」
左手でシーツを掴んだりはなしたり、視線をそわそわと泳がせたりと、はっきりしないキュッリッキを、ルーファスは辛抱強く待つ。
「あのね、……えっと、メルヴィンには……んと」
だんだん白い頬が紅潮していく。
「その……、付き合ってる女の人って、いるの、かな…」
言ってさらに顔を真っ赤にさせた。髪の毛で隠れて見えないが、おそらく耳も真っ赤に染まっているだろう。
ルーファスはたっぷりと間を置いたあと、内心「おやおや~」と、大きく頷いた。
「このエロ雑誌は優秀なんだよ! 本当はナマに勝るものはないんだけど、四六時中理想のナマを拝めないでしょ。これ未修正だし高いだけあって、見応え充分!」
ハンサムな顔をにやけさせながら、ルーファスはキュッリッキに力説した。
力説されても困ることだが、ルーファスが見ているアダルト雑誌のほとんどが、ベルトルドの部屋から拝借してきたものだということが、キュッリッキの気分を複雑にさせた。
(ベルトルドさんもあんなふうに、あの雑誌をみてニヤニヤしてるのかな…)
鼻の下を伸ばし、ニヤニヤと雑誌を見ている姿を想像すると、嫌悪感が湧いてくる。
後にそれがベルトルドにバレて、ルーファスはこっぴどく折檻される羽目になる。もちろん雑誌を勝手に持ち出したことではなく、キュッリッキにバレてしまったことにだ。
とくにすることもなく、キュッリッキは身体を起こしたまま、クッションで丸まって寝ているフェンリルを見ていた。
いつもなら傍らにはメルヴィンがいて、退屈そうにしていると、どこか必死に話しかけてくれる。
ぎこちない様子で、一生懸命話題を捻り出して、四苦八苦話してくれた。そして話が数分で終了してしまうと、心底申し訳なさそうに謝るのだ。
(メルヴィンいなくて、寂しいかも…)
どこに出かけているか知らないが、優しいメルヴィンが傍にいないだけで、こんなにも寂しく感じてしまう。
(誰かと会ってるのかなあ)
そう思った瞬間、心の中がザワザワしだして、左手をギュッと握り締めた。
(だ、誰かってダレ? お…、お…、女の人…とか!?)
だとしたら!?
メルヴィンが自分の知らない女の人と会っているのかと思うと、何故だかムカついてくる。
(ルーさん知ってるかな)
チラリとルーファスを見ると、ニヤニヤしながら雑誌に夢中だ。
(別に、メルヴィンが女の人と会ってたって構わないけど…でも…)
自分以外の女の人と親しくしているのが、凄く嫌だと思ってしまう。
初めて沸き起こる感覚に、キュッリッキは酷く戸惑った。なんだかとっても落ち着かないのだ。
キュッリッキは何度も何度も顔を上げては、すぐ俯かせた。雑誌に集中しているルーファスはその様子に気づかない。
もう何度目になるか、意を決したように顔を上げると、キュッリッキはルーファスに声をかけた。
「ルーさんあのね、ちょっときいてもいいかな」
「ん? どうしたんだい?」
雑誌から顔を上げると、ルーファスはにこやかにキュッリッキのほうを見る。
「えっとね……」
左手でシーツを掴んだりはなしたり、視線をそわそわと泳がせたりと、はっきりしないキュッリッキを、ルーファスは辛抱強く待つ。
「あのね、……えっと、メルヴィンには……んと」
だんだん白い頬が紅潮していく。
「その……、付き合ってる女の人って、いるの、かな…」
言ってさらに顔を真っ赤にさせた。髪の毛で隠れて見えないが、おそらく耳も真っ赤に染まっているだろう。
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