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記憶の残滓編
episode201
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部屋に簡素なベッドが運び込まれ、キュッリッキはそのベッドの上に寝かせられた。
運んだのはリトヴァだが、サイ《超能力》を使って丁寧に運んでくれた。リトヴァもベルトルドと同じように、スキル〈才能〉はサイ《超能力》のようだ。
そして若いメイドたちに寝間着と下着を脱がされると、恥ずかしいと思う間もないほど素早く、温かいタオルで丁寧に拭いてもらった。香料の入ったお湯なのだろう、ふんわりとバラの香りが鼻にも気持ちが良い。
「どこか、お痒いところなどございませんか?」
アリサと名乗ったメイドが訊ねてきて、キュッリッキはダメもとで訴えてみた。
「えっと、頭が痒いの…」
尻すぼみになりながら言うと、アリサはにっこりと笑って、リトヴァに頷いた。
「判りました。では、頭と髪も洗って差し上げましょうね」
怪我に響かない姿勢で身体が浮くと、メイドたちは丁寧に頭と髪を洗いにかかった。シャンプーもバラの香りがして、キュッリッキの表情がホッと和む。
実はずっと、頭を洗いたくてしょうがなかったのだ。痒かったし臭うしで、怪我や熱に苦しみながらも、そのへんもちょっと思っていたから、これはとても嬉しい。
キュッリッキの表情を見て、アリサはクスッと笑った。
「女の子ですものね」
何を考えているか判ったのだろう。キュッリッキは頬をちょっと赤らめ、苦笑で返した。
頭も髪も綺麗に洗ってもらって、そのあと熱風が髪を揺らしてキュッリッキはビックリする。
「これはドライヤーというものです。すぐに髪が乾きますよ」
「うわあ…」
電気エネルギーで動くものだと言われて、更にビックリする。
電気というものは、一般人には無縁と言っていいものである。ハーメンリンナの中では、当たり前のように使われているエネルギーで、ハーメンリンナの外では、公共施設や病院、一部の地域だけしか供給されていない。
「便利な道具なんだね」
「本当でございますよ。ハーメンリンナの外では、馴染みがありませんもんね」
苦笑気味に言うアリサに、キュッリッキはウンウンと頷いた。
髪を乾かしてもらったあと、ブラッシングもしてもらって、新しい寝間着と下着を着せてもらい、ベッドに寝かせてもらった。枕カバーやシーツも新しいものになっている。
「お疲れ様でございました。後ほどお医者様がお見えになりますので、それまでどうぞ、ゆっくりおやすみくださいませ。他に、なにか欲しいものなどございますか?」
「んーん、何もないよ、ありがとうみんな」
リトヴァとメイドたちは丁寧に頭を下げ、そして部屋を出て行った。
頭からつま先まで綺麗になって、キュッリッキは気持ちが良かった。そしてホッとしていると、またノックがして、リトヴァが顔を見せた。
「お医者様がお見えになりました」
リトヴァの後ろから、金髪の若い男が入ってくる。
「やあ、今日は顔色がいいね、良かった」
男は白衣を翻させて、ベッドの脇の椅子に座る。
「改めて初めまして。ボクはヴィヒトリ、君の主治医になったんだ。ヨロシクね」
「よろしく」
僅か引き気味に、キュッリッキは小声で挨拶を返した。
運んだのはリトヴァだが、サイ《超能力》を使って丁寧に運んでくれた。リトヴァもベルトルドと同じように、スキル〈才能〉はサイ《超能力》のようだ。
そして若いメイドたちに寝間着と下着を脱がされると、恥ずかしいと思う間もないほど素早く、温かいタオルで丁寧に拭いてもらった。香料の入ったお湯なのだろう、ふんわりとバラの香りが鼻にも気持ちが良い。
「どこか、お痒いところなどございませんか?」
アリサと名乗ったメイドが訊ねてきて、キュッリッキはダメもとで訴えてみた。
「えっと、頭が痒いの…」
尻すぼみになりながら言うと、アリサはにっこりと笑って、リトヴァに頷いた。
「判りました。では、頭と髪も洗って差し上げましょうね」
怪我に響かない姿勢で身体が浮くと、メイドたちは丁寧に頭と髪を洗いにかかった。シャンプーもバラの香りがして、キュッリッキの表情がホッと和む。
実はずっと、頭を洗いたくてしょうがなかったのだ。痒かったし臭うしで、怪我や熱に苦しみながらも、そのへんもちょっと思っていたから、これはとても嬉しい。
キュッリッキの表情を見て、アリサはクスッと笑った。
「女の子ですものね」
何を考えているか判ったのだろう。キュッリッキは頬をちょっと赤らめ、苦笑で返した。
頭も髪も綺麗に洗ってもらって、そのあと熱風が髪を揺らしてキュッリッキはビックリする。
「これはドライヤーというものです。すぐに髪が乾きますよ」
「うわあ…」
電気エネルギーで動くものだと言われて、更にビックリする。
電気というものは、一般人には無縁と言っていいものである。ハーメンリンナの中では、当たり前のように使われているエネルギーで、ハーメンリンナの外では、公共施設や病院、一部の地域だけしか供給されていない。
「便利な道具なんだね」
「本当でございますよ。ハーメンリンナの外では、馴染みがありませんもんね」
苦笑気味に言うアリサに、キュッリッキはウンウンと頷いた。
髪を乾かしてもらったあと、ブラッシングもしてもらって、新しい寝間着と下着を着せてもらい、ベッドに寝かせてもらった。枕カバーやシーツも新しいものになっている。
「お疲れ様でございました。後ほどお医者様がお見えになりますので、それまでどうぞ、ゆっくりおやすみくださいませ。他に、なにか欲しいものなどございますか?」
「んーん、何もないよ、ありがとうみんな」
リトヴァとメイドたちは丁寧に頭を下げ、そして部屋を出て行った。
頭からつま先まで綺麗になって、キュッリッキは気持ちが良かった。そしてホッとしていると、またノックがして、リトヴァが顔を見せた。
「お医者様がお見えになりました」
リトヴァの後ろから、金髪の若い男が入ってくる。
「やあ、今日は顔色がいいね、良かった」
男は白衣を翻させて、ベッドの脇の椅子に座る。
「改めて初めまして。ボクはヴィヒトリ、君の主治医になったんだ。ヨロシクね」
「よろしく」
僅か引き気味に、キュッリッキは小声で挨拶を返した。
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