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混迷の遺跡編
episode181
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「話が脱線しまくっていますよ、ベルトルド様…。もう酔われましたか」
キュッリッキに手を出す気満々のベルトルドを冷ややかに見つめ、更に底冷えするような声でメルヴィンが口を挟む。
ベルトルドもルーファスも、思わずビクッと息を飲んだ。メルヴィンのような真面目な男を怒らせると怖いのだ。
「で、お話の続きをどうぞ」
メルヴィンの気迫に圧され、ベルトルドは真顔に戻り、視線を明後日の方角に向けて唸った。
「何を話そうとしていたかな…」
脱線しすぎて忘却してしまっている。
「ではオレから質問を一つ。何故我々を看病役に選んだんですか? 魔法スキル〈才能〉もないので、回復魔法をかけてあげることもできません。それに我々は男なので、女性の看病には不都合が色々あるんじゃないでしょうか」
「ああ…そのことだ」
ワシャワシャと自分の頭を掻いて、ベルトルドは寝転がったまま、肘枕をして身体をメルヴィンたちの方へに向けた。
「今のところ、リッキーが一番心を許しているのが、お前たち2人だからだ」
メルヴィンとルーファスは顔を見合わせた。
「あの子はまだ入団して日も浅い。それに人見知り体質もあるようだな。だが自分の欠点を克服して、仲間の中に必死に馴染もうとしている。それはカーティスから聞いている」
ベルトルドは空のグラスを掴んで揺らす。手近にあったブランデーの酒器を持って立ち上がると、ルーファスはベルトルドのグラスにトポトポと注いだ。
「確かに男手だと不都合もあるだろうが、そこはリトヴァがフォローしてくれるだろう。貴様たちの役目は、喋るぬいぐるみ程度に、そばにいてやることだけだ」
寝転がったままグラスの中身を軽くあおる。
「大怪我を負って、精神的に不安定になっている。例の怪物のトラウマも抜けていないだろう。素直に甘えられる存在が近くに欲しいのさ、そいうときはとくにな」
メルヴィンは小さく頷いた。
「性別やスキル〈才能〉は、この際どうでもいい」
「なるほど」
ルーファスは照れくさそうに頬を掻いた。巨乳好きと公言しているので、てっきりドン引きされていると思っていたからだ。
「しかしどういう基準で貴様らなのかは、俺もよく判らん。次点でマリオンなんだが、まあ、馴染み易かったんだろう。それに、貴様らは顔も悪くないしな。俺に比べるとはるかに落ちるが」
だがな、と言ってベルトルドは立ち上がる。
「貴様らを心の中から徹底排除し、リッキーの中の一番はこの俺が取る! 俺だけを望み、俺だけを求め、俺に全てをさらけ出すくらいに教育してみせるぞ!」
思いっきり真顔で拳を握り締め、自信たっぷりに言い切った。
(このエロおやじ…)
(ロリコン…)
2人の心の声をスルーして、ベルトルドはテーブルのベルを鳴らした。
すぐにセヴェリが顔を出す。
「風呂は?」
「用意出来ております」
「なら、こいつらを部屋に案内してやれ。俺は風呂に入る。身体を隅々まで磨いておかねば」
「承りました」
「今日から俺は、リッキーの部屋で寝る事にするから、朝は間違えるなよ」
「…お嬢様のお部屋に、でございますか?」
セヴェリが困った顔をする。そう、これが普通の反応なのだ。
そんなことはお構いなしに、ベルトルドは嬉しそうに笑顔を見せた。
「ああ、リトヴァにもそれ言っておいてくれ」
「……そのように」
神妙に頭を下げ、セヴェリは部屋を出た。
キュッリッキに手を出す気満々のベルトルドを冷ややかに見つめ、更に底冷えするような声でメルヴィンが口を挟む。
ベルトルドもルーファスも、思わずビクッと息を飲んだ。メルヴィンのような真面目な男を怒らせると怖いのだ。
「で、お話の続きをどうぞ」
メルヴィンの気迫に圧され、ベルトルドは真顔に戻り、視線を明後日の方角に向けて唸った。
「何を話そうとしていたかな…」
脱線しすぎて忘却してしまっている。
「ではオレから質問を一つ。何故我々を看病役に選んだんですか? 魔法スキル〈才能〉もないので、回復魔法をかけてあげることもできません。それに我々は男なので、女性の看病には不都合が色々あるんじゃないでしょうか」
「ああ…そのことだ」
ワシャワシャと自分の頭を掻いて、ベルトルドは寝転がったまま、肘枕をして身体をメルヴィンたちの方へに向けた。
「今のところ、リッキーが一番心を許しているのが、お前たち2人だからだ」
メルヴィンとルーファスは顔を見合わせた。
「あの子はまだ入団して日も浅い。それに人見知り体質もあるようだな。だが自分の欠点を克服して、仲間の中に必死に馴染もうとしている。それはカーティスから聞いている」
ベルトルドは空のグラスを掴んで揺らす。手近にあったブランデーの酒器を持って立ち上がると、ルーファスはベルトルドのグラスにトポトポと注いだ。
「確かに男手だと不都合もあるだろうが、そこはリトヴァがフォローしてくれるだろう。貴様たちの役目は、喋るぬいぐるみ程度に、そばにいてやることだけだ」
寝転がったままグラスの中身を軽くあおる。
「大怪我を負って、精神的に不安定になっている。例の怪物のトラウマも抜けていないだろう。素直に甘えられる存在が近くに欲しいのさ、そいうときはとくにな」
メルヴィンは小さく頷いた。
「性別やスキル〈才能〉は、この際どうでもいい」
「なるほど」
ルーファスは照れくさそうに頬を掻いた。巨乳好きと公言しているので、てっきりドン引きされていると思っていたからだ。
「しかしどういう基準で貴様らなのかは、俺もよく判らん。次点でマリオンなんだが、まあ、馴染み易かったんだろう。それに、貴様らは顔も悪くないしな。俺に比べるとはるかに落ちるが」
だがな、と言ってベルトルドは立ち上がる。
「貴様らを心の中から徹底排除し、リッキーの中の一番はこの俺が取る! 俺だけを望み、俺だけを求め、俺に全てをさらけ出すくらいに教育してみせるぞ!」
思いっきり真顔で拳を握り締め、自信たっぷりに言い切った。
(このエロおやじ…)
(ロリコン…)
2人の心の声をスルーして、ベルトルドはテーブルのベルを鳴らした。
すぐにセヴェリが顔を出す。
「風呂は?」
「用意出来ております」
「なら、こいつらを部屋に案内してやれ。俺は風呂に入る。身体を隅々まで磨いておかねば」
「承りました」
「今日から俺は、リッキーの部屋で寝る事にするから、朝は間違えるなよ」
「…お嬢様のお部屋に、でございますか?」
セヴェリが困った顔をする。そう、これが普通の反応なのだ。
そんなことはお構いなしに、ベルトルドは嬉しそうに笑顔を見せた。
「ああ、リトヴァにもそれ言っておいてくれ」
「……そのように」
神妙に頭を下げ、セヴェリは部屋を出た。
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