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混迷の遺跡編
episode145
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「此度の招集の目的を、教えていただけますかな?」
やんわりとした口調で、ブルーベル将軍が切り出す。
「将軍はアルケラ研究機関ケレヴィルのことは、ご存知かな?」
「はい。神の世界アルケラに関する、学術的研究やら探求、それ以外にも、超古代文明と呼ばれる1万年前の遺跡調査などにも手を広げている組織でしたね。閣下はそこの所長職も兼任なさっているとか」
「うん」
ベルトルドは満足そうに頷く。
軍人というものは、知的方面には疎い者が多い。それが将軍といえど、頭の隅に置いているのは副官の役目と言わんばかりに。
幸いなことに、ブルーベル将軍はそのあたりの知識も、しっかり頭の隅に留めおいているようだった。
「ソレル王国で、アルケラに関するものが出土したことから、ケレヴィルの連中が調査に乗り出していたのだ。だが、どういうわけかソレル王国が研究者たちにちょっかいを出し始めてな。俺のハンコの押された書類を掲げても、効果ナシときたもんだ」
それにはラーシュ=オロフが目を丸くした。
「モナルダ大陸の小国の一つでしたね。閣下のご威光が効かないとは、地方の驕りなのでしょうかねえ」
おやおやといった顔で、ブルーベル将軍は肩を揺らした。それについて、ベルトルドは軽く肩をすくめるにとどまった。
「俺の権威が踏みつけられたところで痛くもないが、今回は研究者どもを不当に拉致、拘禁しおってな。さすがに見過ごすわけにはいかない」
「確かに」
「研究者どもは、俺の子飼いの傭兵団に救出させ、遺跡も抑えてある」
「手回しがよろしいですな」
「フッ。まあ、そんなわけで、将軍には第二正規部隊とラーシュ=オロフのダエヴァ第二部隊、魔法部隊から人員を割いて、首都アルイールを制圧していただきたい。そして、王族も全て捉えて欲しい」
ブルーベル将軍はつぶらな瞳を瞬かせたが、すぐに恭しく頭を下げた。
「承りました。早速準備に取り掛からせていただきます」
ベルトルドはブルーベル将軍を見て、僅かに苦笑を浮かべた。
「まだ確証が得られてないので、詳細を話せなくてすまぬ」
「判っております。そのうち、お話くださることですから、今は目の前の作戦に全力を尽くさせていただきますよ」
「うん、頼んだ」
ブルーベル将軍とラーシュ=オロフ長官は揃って立ち上がると、ベルトルドに敬礼をして執務室を後にした。
2人が出て行ったあと、ベルトルドは肘掛にもたれてリュリュを見上げる。
「なあ、ブルーベル将軍をどう思う?」
「そうねえ…」
天井に目を向け、リュリュは少し考える。
「信頼はあるわね。洞察力も優れているし、性格も温厚で良いわ」
「仲間に引き入れようと思っている」
それについて、リュリュは返事をしなかった。難しそうな表情を浮かべ、グッと口を引き結ぶ。
「恐らく、将軍は乗ってくれるだろう。今回のことが終わったら、話をしてみる」
そう言って立ち上がると、ベルトルドはデスクへ向かう。
「お茶を淹れてくるわ」
「ああ、頼む」
やんわりとした口調で、ブルーベル将軍が切り出す。
「将軍はアルケラ研究機関ケレヴィルのことは、ご存知かな?」
「はい。神の世界アルケラに関する、学術的研究やら探求、それ以外にも、超古代文明と呼ばれる1万年前の遺跡調査などにも手を広げている組織でしたね。閣下はそこの所長職も兼任なさっているとか」
「うん」
ベルトルドは満足そうに頷く。
軍人というものは、知的方面には疎い者が多い。それが将軍といえど、頭の隅に置いているのは副官の役目と言わんばかりに。
幸いなことに、ブルーベル将軍はそのあたりの知識も、しっかり頭の隅に留めおいているようだった。
「ソレル王国で、アルケラに関するものが出土したことから、ケレヴィルの連中が調査に乗り出していたのだ。だが、どういうわけかソレル王国が研究者たちにちょっかいを出し始めてな。俺のハンコの押された書類を掲げても、効果ナシときたもんだ」
それにはラーシュ=オロフが目を丸くした。
「モナルダ大陸の小国の一つでしたね。閣下のご威光が効かないとは、地方の驕りなのでしょうかねえ」
おやおやといった顔で、ブルーベル将軍は肩を揺らした。それについて、ベルトルドは軽く肩をすくめるにとどまった。
「俺の権威が踏みつけられたところで痛くもないが、今回は研究者どもを不当に拉致、拘禁しおってな。さすがに見過ごすわけにはいかない」
「確かに」
「研究者どもは、俺の子飼いの傭兵団に救出させ、遺跡も抑えてある」
「手回しがよろしいですな」
「フッ。まあ、そんなわけで、将軍には第二正規部隊とラーシュ=オロフのダエヴァ第二部隊、魔法部隊から人員を割いて、首都アルイールを制圧していただきたい。そして、王族も全て捉えて欲しい」
ブルーベル将軍はつぶらな瞳を瞬かせたが、すぐに恭しく頭を下げた。
「承りました。早速準備に取り掛からせていただきます」
ベルトルドはブルーベル将軍を見て、僅かに苦笑を浮かべた。
「まだ確証が得られてないので、詳細を話せなくてすまぬ」
「判っております。そのうち、お話くださることですから、今は目の前の作戦に全力を尽くさせていただきますよ」
「うん、頼んだ」
ブルーベル将軍とラーシュ=オロフ長官は揃って立ち上がると、ベルトルドに敬礼をして執務室を後にした。
2人が出て行ったあと、ベルトルドは肘掛にもたれてリュリュを見上げる。
「なあ、ブルーベル将軍をどう思う?」
「そうねえ…」
天井に目を向け、リュリュは少し考える。
「信頼はあるわね。洞察力も優れているし、性格も温厚で良いわ」
「仲間に引き入れようと思っている」
それについて、リュリュは返事をしなかった。難しそうな表情を浮かべ、グッと口を引き結ぶ。
「恐らく、将軍は乗ってくれるだろう。今回のことが終わったら、話をしてみる」
そう言って立ち上がると、ベルトルドはデスクへ向かう。
「お茶を淹れてくるわ」
「ああ、頼む」
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