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ナルバ山の遺跡編
episode116
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〈キューリさん、キューリさん、聴こえますかー?〉
ブルニタルの肩に止まっていた小鳥が、突然カーティスの声を発し、本に目を通していたブルニタルはギョッとして、まだら模様の尻尾を逆立てた。
「カーティスさん脅かさないでくださいよっ!」
〈ははは。こりゃ失礼。キューリさん出してもらえますか?〉
「はい」
何事かとこちらを向くキュッリッキに、ブルニタルは小鳥を指して手招きした。
キュッリッキはすぐに駆け寄ってくると、ブルニタルの傍らに座り込んだ。
「なあに?」
〈ああキューリさん、実はちょっとお願いがあるのですが〉
「うん?」
〈今こうして通信用に使っている、私とギャリーの2羽の小鳥を、でっかくして遠隔操作する、なんて離れ業出来たりしますか?〉
「できるよ」
あっさりと即答されて、向こうのどよめく声が聴こえてきた。
〈おぉ…それは助かります。で、どうすればいいでしょう〉
「じゃあ……」
顎に指を当てて天井を見上げ、キュッリッキは少しだけ考えるふうにした。
「小鳥は常にカーティスとギャリーに固定しておいてください。アタシは小鳥たちと視界をリンクするので、逃げる段階になったら小鳥を操作するね」
〈なるほど、判りました。ではお願いします〉
通信が切れると、キュッリッキはブルニタルから小鳥を自分の肩に移した。
「ちょっと外で向こうの作戦のお手伝いするから、誰か護衛してくれる? 外の方がやりやすいの」
「俺とメルヴィンで見ていよう」
「了解です」
ガエルとメルヴィンは立ち上がると、キュッリッキの後に続いた。
「だそうですので、逃げる準備は万全です」
〈おっし、なら作戦開始するか!〉
ギャリーの声に気合が入る。「言ってみるもんだねえ~」とマリオンがのほほんと言う声も流れてきた。
「では……”遠慮なく暴れて助けてとんずら大作戦”、開始しましょうか」
〈…その身も蓋もない恥ずかしい名称はヴァルトだな〉
「当たり前じゃないですか。では、お願いしますよ」
〈おっけー!〉
通信が終わると、カーティスは小鳥を肩に移し、マーゴットから杖を受け取った。飾り気は一切なかったが、呪文がびっしり彫り込まれた銀の杖である。
「ヴァルト、タルコット、ハーマンは大いに暴れてください。ルーファスは私とマーゴットの護衛です」
了解、と各々から声があがる。
「強化魔法を掛け終えたら、開始しますよ」
銀の杖がゆるやかに光りだす。呪文の詠唱は一切しない。強化魔法の呪文は全て杖に彫り込んであるため、詠唱を必要としないようになっていた。
「なあなあ、キューリが使ったみたいなチートサポートかけてくれ!」
「無理ですよ…」
杖に意識を集中していたカーティスが、ガックリと肩を落とす。
バチンと勢いよく掌に拳を叩きつけ、ヴァルトは眉をひそめた。
「クマ野郎に負けたくねえ!」
「ボクも負けるのは癪だな…」
傍らで無表情に強化魔法を受けるタルコットに、挑発的な視線を向ける。
「タルコットにも負けないぜ俺様は!」
肉弾戦になるヴァルトには、とくに念入りに強化魔法がかかる。ガエルと違って防御を気にしない性分のヴァルトは、被弾も酷かった。後々のことを考えると手が抜けない。
タルコットは身につけている漆黒の甲冑に、幾重にも防御魔法が埋め込まれた特注品なのもあり、ある程度は自分でやってくれる。
ふうっと息を吐き出し、カーティスは銀の杖を下げた。
「強化完了です」
「よし、いくぜ!!」
ブルニタルの肩に止まっていた小鳥が、突然カーティスの声を発し、本に目を通していたブルニタルはギョッとして、まだら模様の尻尾を逆立てた。
「カーティスさん脅かさないでくださいよっ!」
〈ははは。こりゃ失礼。キューリさん出してもらえますか?〉
「はい」
何事かとこちらを向くキュッリッキに、ブルニタルは小鳥を指して手招きした。
キュッリッキはすぐに駆け寄ってくると、ブルニタルの傍らに座り込んだ。
「なあに?」
〈ああキューリさん、実はちょっとお願いがあるのですが〉
「うん?」
〈今こうして通信用に使っている、私とギャリーの2羽の小鳥を、でっかくして遠隔操作する、なんて離れ業出来たりしますか?〉
「できるよ」
あっさりと即答されて、向こうのどよめく声が聴こえてきた。
〈おぉ…それは助かります。で、どうすればいいでしょう〉
「じゃあ……」
顎に指を当てて天井を見上げ、キュッリッキは少しだけ考えるふうにした。
「小鳥は常にカーティスとギャリーに固定しておいてください。アタシは小鳥たちと視界をリンクするので、逃げる段階になったら小鳥を操作するね」
〈なるほど、判りました。ではお願いします〉
通信が切れると、キュッリッキはブルニタルから小鳥を自分の肩に移した。
「ちょっと外で向こうの作戦のお手伝いするから、誰か護衛してくれる? 外の方がやりやすいの」
「俺とメルヴィンで見ていよう」
「了解です」
ガエルとメルヴィンは立ち上がると、キュッリッキの後に続いた。
「だそうですので、逃げる準備は万全です」
〈おっし、なら作戦開始するか!〉
ギャリーの声に気合が入る。「言ってみるもんだねえ~」とマリオンがのほほんと言う声も流れてきた。
「では……”遠慮なく暴れて助けてとんずら大作戦”、開始しましょうか」
〈…その身も蓋もない恥ずかしい名称はヴァルトだな〉
「当たり前じゃないですか。では、お願いしますよ」
〈おっけー!〉
通信が終わると、カーティスは小鳥を肩に移し、マーゴットから杖を受け取った。飾り気は一切なかったが、呪文がびっしり彫り込まれた銀の杖である。
「ヴァルト、タルコット、ハーマンは大いに暴れてください。ルーファスは私とマーゴットの護衛です」
了解、と各々から声があがる。
「強化魔法を掛け終えたら、開始しますよ」
銀の杖がゆるやかに光りだす。呪文の詠唱は一切しない。強化魔法の呪文は全て杖に彫り込んであるため、詠唱を必要としないようになっていた。
「なあなあ、キューリが使ったみたいなチートサポートかけてくれ!」
「無理ですよ…」
杖に意識を集中していたカーティスが、ガックリと肩を落とす。
バチンと勢いよく掌に拳を叩きつけ、ヴァルトは眉をひそめた。
「クマ野郎に負けたくねえ!」
「ボクも負けるのは癪だな…」
傍らで無表情に強化魔法を受けるタルコットに、挑発的な視線を向ける。
「タルコットにも負けないぜ俺様は!」
肉弾戦になるヴァルトには、とくに念入りに強化魔法がかかる。ガエルと違って防御を気にしない性分のヴァルトは、被弾も酷かった。後々のことを考えると手が抜けない。
タルコットは身につけている漆黒の甲冑に、幾重にも防御魔法が埋め込まれた特注品なのもあり、ある程度は自分でやってくれる。
ふうっと息を吐き出し、カーティスは銀の杖を下げた。
「強化完了です」
「よし、いくぜ!!」
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