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ナルバ山の遺跡編
episode105
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嘴を開けっぱなしの小鳥からは、ひっきりなしにヴァルトのわめき声が、辺りに響くほど炸裂していた。
〈こらクソベアー! 随分オイシイ戦闘楽しんでたそーじゃないか!!〉
ガエルが小鳥の近くに戻ってきたのを察知したヴァルトが、嫉妬むき出しの大声で怒鳴った。
「フフッ、俺が3分の2、メルヴィンが3分の1ってところだな。200人程度では準備体操にしかならなかった」
「ですね~。チートな楽しい戦闘でした。まだまだいけますよ」
勝ち誇ったガエルに続いて、メルヴィンが意地悪く続ける。2人の報告は、明らかにヴァルトの神経を逆撫でしまくっていた。もちろん、わざとである。
〈キューリてめー! こっちにも同じようなサポートつけろ!!〉
「黙ってろって言われたしー」
キュッリッキは嫌味たっぷりに意地悪く言った。ヴァルトの反応がおもしろすぎるからだ。
〈ムッきぃいいいいいい!!!〉
〈ヤレヤレ…えーと、このままだとヴァルトが大暴走しちゃいそうなので、縛り上げます。あなたたちはエグザイル・システムのようなものの確保をして、そこで待機していてください〉
離せ弱小どもー! という雄叫びがバックコーラスとして流れていたが、カーティスはスルーして続けた。恐らくタルコットとルーファスが押さえ込んでいるのだろう。
〈確保とエグザイル・システムのようなものの状態を確認したら、ベルトルド卿に一旦報告を入れておいてください。こちらはこれからなので、作戦が終了次第連絡をいれますから、よろしくお願いします〉
「判りましたカーティスさん」
〈では後ほど〉
ぐおおおおおおおっというヴァルトの叫び声が最後になり、小鳥は嘴を閉じた。
カーティスサイドの状況が脳裏に浮かんで、4人は疲れたような笑いを「ご愁傷様…」と吐き出した。
ソレル王国兵たちの居なくなったナルバ山の麓は、恐ろしい程に静まり返っていた。
改めて眺め渡すと、山自体にも山麓にも満足な緑は生えておらず、小動物たちが生息している形跡もない。大きな岩もなく、殺風景な場所だった。
キュッリッキが綿毛たちに周囲を警戒させているので、異変があればすぐ判る。確保部隊の4人は堂々と山に足を踏み入れた。
遮るものもない傾らかな裾野には、人工の道が敷かれていた。ソレル王国兵たちが作ったのだろう。簡素なものだったが、土や小石に足をとられることもなく、快適に登ることができた。
5分ほどゆっくり登ったところに、ぽっかりと大きな穴が開いている。穴の上下左右は大きな岩でしっかりと固定され、自然に空いた穴ではないことだけは確かだった。ソレル王国兵たちが手を加えたものでもないようだ。
ブルニタル、メルヴィン、ガエルの順で穴に入っていったが、最後尾で穴に入ろうとして、キュッリッキは足を止めた。
(うん? なんだろう…)
ほんの微かな違和感が肌を嬲っていく気がして、キュッリッキは眉をしかめた。両腕に抱えられている仔犬姿に戻ったフェンリルも、不思議そうに身じろぎしていた。
「なんだろうね、今の」
腕の中のフェンリルに話しかける。フェンリルはキュッリッキを見上げながら、判らないといったように小さく唸った。
危険感知はキュッリッキより広く速い。そのフェンリルが警戒していないので、大丈夫だと判断することにした。
先を行く3人の後ろ姿はすでに見えなくなっており、キュッリッキは慌てて彼らを追った。
〈こらクソベアー! 随分オイシイ戦闘楽しんでたそーじゃないか!!〉
ガエルが小鳥の近くに戻ってきたのを察知したヴァルトが、嫉妬むき出しの大声で怒鳴った。
「フフッ、俺が3分の2、メルヴィンが3分の1ってところだな。200人程度では準備体操にしかならなかった」
「ですね~。チートな楽しい戦闘でした。まだまだいけますよ」
勝ち誇ったガエルに続いて、メルヴィンが意地悪く続ける。2人の報告は、明らかにヴァルトの神経を逆撫でしまくっていた。もちろん、わざとである。
〈キューリてめー! こっちにも同じようなサポートつけろ!!〉
「黙ってろって言われたしー」
キュッリッキは嫌味たっぷりに意地悪く言った。ヴァルトの反応がおもしろすぎるからだ。
〈ムッきぃいいいいいい!!!〉
〈ヤレヤレ…えーと、このままだとヴァルトが大暴走しちゃいそうなので、縛り上げます。あなたたちはエグザイル・システムのようなものの確保をして、そこで待機していてください〉
離せ弱小どもー! という雄叫びがバックコーラスとして流れていたが、カーティスはスルーして続けた。恐らくタルコットとルーファスが押さえ込んでいるのだろう。
〈確保とエグザイル・システムのようなものの状態を確認したら、ベルトルド卿に一旦報告を入れておいてください。こちらはこれからなので、作戦が終了次第連絡をいれますから、よろしくお願いします〉
「判りましたカーティスさん」
〈では後ほど〉
ぐおおおおおおおっというヴァルトの叫び声が最後になり、小鳥は嘴を閉じた。
カーティスサイドの状況が脳裏に浮かんで、4人は疲れたような笑いを「ご愁傷様…」と吐き出した。
ソレル王国兵たちの居なくなったナルバ山の麓は、恐ろしい程に静まり返っていた。
改めて眺め渡すと、山自体にも山麓にも満足な緑は生えておらず、小動物たちが生息している形跡もない。大きな岩もなく、殺風景な場所だった。
キュッリッキが綿毛たちに周囲を警戒させているので、異変があればすぐ判る。確保部隊の4人は堂々と山に足を踏み入れた。
遮るものもない傾らかな裾野には、人工の道が敷かれていた。ソレル王国兵たちが作ったのだろう。簡素なものだったが、土や小石に足をとられることもなく、快適に登ることができた。
5分ほどゆっくり登ったところに、ぽっかりと大きな穴が開いている。穴の上下左右は大きな岩でしっかりと固定され、自然に空いた穴ではないことだけは確かだった。ソレル王国兵たちが手を加えたものでもないようだ。
ブルニタル、メルヴィン、ガエルの順で穴に入っていったが、最後尾で穴に入ろうとして、キュッリッキは足を止めた。
(うん? なんだろう…)
ほんの微かな違和感が肌を嬲っていく気がして、キュッリッキは眉をしかめた。両腕に抱えられている仔犬姿に戻ったフェンリルも、不思議そうに身じろぎしていた。
「なんだろうね、今の」
腕の中のフェンリルに話しかける。フェンリルはキュッリッキを見上げながら、判らないといったように小さく唸った。
危険感知はキュッリッキより広く速い。そのフェンリルが警戒していないので、大丈夫だと判断することにした。
先を行く3人の後ろ姿はすでに見えなくなっており、キュッリッキは慌てて彼らを追った。
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