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ナルバ山の遺跡編
episode102
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(さすがガエルさん、相変わらず凄いなあ。オレも負けていられませんね)
ガエルの勇猛ぶりを目の端に留めながら、メルヴィンは剣を繰り出した。
戦闘の武器系剣術スキル〈才能〉のSSランクを持つメルヴィンも、ガエルに劣るものではなかった。
長剣、短剣、変わり種の刀身でも、一刀でも二刀でも自在に使いこなす。
白刃が唸り風を生み、生首が青空に弧を描いて跳ねあがる。四方八方から襲いかかる敵を、円を描くようにしながら剣を繰り出していった。その様は、華麗な演舞のようにさえ映る。無駄なものなど一つもない、完璧な太刀筋だ。
ソレル兵たちの身につけている防具は、薄くした鉄と厚い革をなめしたものを組み合わせていて、この湿気を多量に含む中で着用するには、風通しも悪く暑苦しいだろう。きっちりと縫い目も防備されているため、剣で斬り裂く為には、スピードやパワーが必要だった。
それが判っているメルヴィンは、無用な斬り合いをせず一閃で終わらせるために、正確に頭部と首の付け根を狙い跳ねていった。それが難しい場合は、フランベルジェで急所を突いて致命傷を与えた。
ハワドウレ皇国の正規部隊に所属していたことのあるメルヴィンは、皇国で五指に入るほどの剣術使いとして有名だった。御前試合でも何度か優勝したことがある。そのメルヴィンが退役するとき、大将たちが列を作って、メルヴィンの退役を思いとどまらせようとしたことがあるという。そんな逸話が残されているくらいだ。
向こうへ逃げればクマ男に殴り殺され、こっちへ向かうと斬り殺される。ソレル王国兵は恐怖に全身を貫かれながら、為す術もなくジリジリと後退している。
あたりを赤い濃霧のように舞う血飛沫や、断末魔と恐怖で沸き起こる悲鳴、怒号や爆音などが麓を騒がす。魔法使いたちの放つあらゆる魔法攻撃も全て防がれ、弾かれた魔法が味方にあたって惨劇がさらに広がる。まさに一方的な殺戮の場と化していた。
ナルバ山の麓はあっという間に凄惨な姿に塗り変わり、ブルニタルはあまりの光景に口元を抑えた。
信じられないスピードで死体の山が築かれていく。仲間たちの武勇はよく知っているつもりだったが、ブルニタルは殆ど後衛に徹しているため、前に出て彼らの戦闘を見たことがなかった。
ブルニタルとは反対に、キュッリッキは表情一つ動かさず、無感動に死体を眺めおろし、ソレル兵たちを倒し進む二人の背中に視線を向けた。
返り血も全て見えない防御で弾かれて浴びていない。アルケラから招いた友達の働きぶりに、キュッリッキは嬉しそうに目を細めた。
これまで召喚の力は、一方的な攻撃か、護衛で依頼主を守るために、敵を攻撃するくらいにしか使ったことがない。こんな風に、仲間の強化支援で火力の底上げをしたり、防御をして助けたりするのは初めてだ。
自分の力がしっかりと役立っていて、キュッリッキは嬉しくて仕方がない。
(2人とも、ホントに強いんだね~。ガエルもメルヴィンも、カッコイイなあ)
貢献出来ていることが、本当に嬉しい。気持ちがそのまま表情に浮かんで、凄惨な戦場には似つかわしくない笑顔になっていた。
ガエルの勇猛ぶりを目の端に留めながら、メルヴィンは剣を繰り出した。
戦闘の武器系剣術スキル〈才能〉のSSランクを持つメルヴィンも、ガエルに劣るものではなかった。
長剣、短剣、変わり種の刀身でも、一刀でも二刀でも自在に使いこなす。
白刃が唸り風を生み、生首が青空に弧を描いて跳ねあがる。四方八方から襲いかかる敵を、円を描くようにしながら剣を繰り出していった。その様は、華麗な演舞のようにさえ映る。無駄なものなど一つもない、完璧な太刀筋だ。
ソレル兵たちの身につけている防具は、薄くした鉄と厚い革をなめしたものを組み合わせていて、この湿気を多量に含む中で着用するには、風通しも悪く暑苦しいだろう。きっちりと縫い目も防備されているため、剣で斬り裂く為には、スピードやパワーが必要だった。
それが判っているメルヴィンは、無用な斬り合いをせず一閃で終わらせるために、正確に頭部と首の付け根を狙い跳ねていった。それが難しい場合は、フランベルジェで急所を突いて致命傷を与えた。
ハワドウレ皇国の正規部隊に所属していたことのあるメルヴィンは、皇国で五指に入るほどの剣術使いとして有名だった。御前試合でも何度か優勝したことがある。そのメルヴィンが退役するとき、大将たちが列を作って、メルヴィンの退役を思いとどまらせようとしたことがあるという。そんな逸話が残されているくらいだ。
向こうへ逃げればクマ男に殴り殺され、こっちへ向かうと斬り殺される。ソレル王国兵は恐怖に全身を貫かれながら、為す術もなくジリジリと後退している。
あたりを赤い濃霧のように舞う血飛沫や、断末魔と恐怖で沸き起こる悲鳴、怒号や爆音などが麓を騒がす。魔法使いたちの放つあらゆる魔法攻撃も全て防がれ、弾かれた魔法が味方にあたって惨劇がさらに広がる。まさに一方的な殺戮の場と化していた。
ナルバ山の麓はあっという間に凄惨な姿に塗り変わり、ブルニタルはあまりの光景に口元を抑えた。
信じられないスピードで死体の山が築かれていく。仲間たちの武勇はよく知っているつもりだったが、ブルニタルは殆ど後衛に徹しているため、前に出て彼らの戦闘を見たことがなかった。
ブルニタルとは反対に、キュッリッキは表情一つ動かさず、無感動に死体を眺めおろし、ソレル兵たちを倒し進む二人の背中に視線を向けた。
返り血も全て見えない防御で弾かれて浴びていない。アルケラから招いた友達の働きぶりに、キュッリッキは嬉しそうに目を細めた。
これまで召喚の力は、一方的な攻撃か、護衛で依頼主を守るために、敵を攻撃するくらいにしか使ったことがない。こんな風に、仲間の強化支援で火力の底上げをしたり、防御をして助けたりするのは初めてだ。
自分の力がしっかりと役立っていて、キュッリッキは嬉しくて仕方がない。
(2人とも、ホントに強いんだね~。ガエルもメルヴィンも、カッコイイなあ)
貢献出来ていることが、本当に嬉しい。気持ちがそのまま表情に浮かんで、凄惨な戦場には似つかわしくない笑顔になっていた。
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