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ナルバ山の遺跡編
episode100
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綿毛たちが偵察に出て数分後、4人の表情に、サッと緊張が走った。
「獲物を、見つけてきたな」
「随分と多いなあ、中隊規模でしょうか」
「カーティスさんはここが一番手薄だろうと言っていましたが、ハズレでしょうか。200人弱は居そうです」
「ガエル嬉しそう」
「久々に大暴れ出来る」
ガエルは太い指をボキボキと鳴らす。気は充実し、すでに臨戦態勢になっていた。
最近では、舞い込んでくる仕事は小物が多く、ここまで大勢の敵を相手にする機会がなかった。それだけに、戦闘を好むガエルには、鬱憤晴らしにもなる。メルヴィンも荷物から剣を取り出し、準備を始めた。
「ガエルとメルヴィンがいるので、戦力は問題ないですが、魔法使いや厄介なスキル〈才能〉持ちもいるかんじです。こちらは回復系魔法の使い手がいませんから、慎重にいかないといけません」
顎に手をやって考え込むブルニタルをよそに、キュッリッキは楽しそうに笑むと、ガエルの腕を突っついた。
「ガエルは、あいつらをベッコベコに殴り倒したいんだよね?」
「当たり前だ。あいつらは俺の獲物だからな」
「判った~。んじゃあ、これをガエルとメルヴィンに渡しておくね」
キュッリッキがパチリと指を鳴らすと、キュッリッキの目の前に、突如大きなガラス板のようなものが出現した。
「2人の行動に対して、”阻害する意思”のある行為は、全てこの子たちが弾くの。そして、この子たちが2人の疲労を吸い取ってくれるから、敵が何千人になっても元気に動き回れるからね」
ガラス板のようなものはブルッと震えると、10枚に増えて、それぞれ5枚ずつガエルとメルヴィンを囲んだ。
「2人の動きには干渉しないし、この子たちに攻撃が当たることもないから気にしなくて大丈夫だけど、視覚的に邪魔になるだろうから、見えないようになってもらうね」
ガエルはニヤリとして、キュッリッキを見おろした。
「頭上や足元からの攻撃は大丈夫か?」
「変形するから問題ナシ」
キュッリッキは親指を立てて保証する。ガエルの顔に不敵な笑みが広がった。
「あいつらの始末は俺たちに任せておけ。いくぞ、メルヴィン」
「ええ。ありがとうリッキーさん」
メルヴィンはキュッリッキに一礼すると、両腰の片手剣を抜いた。ブロードソードとフランベルジェの二刀剣法だった。
2人が中隊のいる方へ駆け出すと、キュッリッキはブルニタルを振り向いた。
「ブルニタルは暴れたりするの?」
「私は頭脳戦専門ですし、護身術程度しか戦闘は出来ません」
顔は強気を貼り付けていたが、尻尾はどこか申し訳なさそうに揺れていた。
「じゃあアタシと変わんないね。フェンリル」
キュッリッキの合図に、フェンリルは仔犬の姿を解いて、狼の姿に戻った。
フェンリルの背に飛び乗ると、キュッリッキはブルニタルに手を差し出した。
「アタシたちは、取りこぼしの掃除と見学!」
「獲物を、見つけてきたな」
「随分と多いなあ、中隊規模でしょうか」
「カーティスさんはここが一番手薄だろうと言っていましたが、ハズレでしょうか。200人弱は居そうです」
「ガエル嬉しそう」
「久々に大暴れ出来る」
ガエルは太い指をボキボキと鳴らす。気は充実し、すでに臨戦態勢になっていた。
最近では、舞い込んでくる仕事は小物が多く、ここまで大勢の敵を相手にする機会がなかった。それだけに、戦闘を好むガエルには、鬱憤晴らしにもなる。メルヴィンも荷物から剣を取り出し、準備を始めた。
「ガエルとメルヴィンがいるので、戦力は問題ないですが、魔法使いや厄介なスキル〈才能〉持ちもいるかんじです。こちらは回復系魔法の使い手がいませんから、慎重にいかないといけません」
顎に手をやって考え込むブルニタルをよそに、キュッリッキは楽しそうに笑むと、ガエルの腕を突っついた。
「ガエルは、あいつらをベッコベコに殴り倒したいんだよね?」
「当たり前だ。あいつらは俺の獲物だからな」
「判った~。んじゃあ、これをガエルとメルヴィンに渡しておくね」
キュッリッキがパチリと指を鳴らすと、キュッリッキの目の前に、突如大きなガラス板のようなものが出現した。
「2人の行動に対して、”阻害する意思”のある行為は、全てこの子たちが弾くの。そして、この子たちが2人の疲労を吸い取ってくれるから、敵が何千人になっても元気に動き回れるからね」
ガラス板のようなものはブルッと震えると、10枚に増えて、それぞれ5枚ずつガエルとメルヴィンを囲んだ。
「2人の動きには干渉しないし、この子たちに攻撃が当たることもないから気にしなくて大丈夫だけど、視覚的に邪魔になるだろうから、見えないようになってもらうね」
ガエルはニヤリとして、キュッリッキを見おろした。
「頭上や足元からの攻撃は大丈夫か?」
「変形するから問題ナシ」
キュッリッキは親指を立てて保証する。ガエルの顔に不敵な笑みが広がった。
「あいつらの始末は俺たちに任せておけ。いくぞ、メルヴィン」
「ええ。ありがとうリッキーさん」
メルヴィンはキュッリッキに一礼すると、両腰の片手剣を抜いた。ブロードソードとフランベルジェの二刀剣法だった。
2人が中隊のいる方へ駆け出すと、キュッリッキはブルニタルを振り向いた。
「ブルニタルは暴れたりするの?」
「私は頭脳戦専門ですし、護身術程度しか戦闘は出来ません」
顔は強気を貼り付けていたが、尻尾はどこか申し訳なさそうに揺れていた。
「じゃあアタシと変わんないね。フェンリル」
キュッリッキの合図に、フェンリルは仔犬の姿を解いて、狼の姿に戻った。
フェンリルの背に飛び乗ると、キュッリッキはブルニタルに手を差し出した。
「アタシたちは、取りこぼしの掃除と見学!」
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