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ナルバ山の遺跡編
episode92
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コンコン、とドアを叩く音がして、キュッリッキは頭を上げた。
「誰かな…? どうぞー」
ベッドから起き上がると同時に、ドアが開いてシビルが顔を出した。
「寝ちゃってたかな? ゴメン、カーティスさんが会議室に呼んでるよ」
「んーん、寝てないから大丈夫。なんの用事かな」
キュッリッキはワンピースのシワを手ではたいて直し、シビルと共に部屋を出た。
「用件は判んないんですけど、仕事に関することで、なにか聞きたいことでもあるんじゃないですかね~」
そう言って、シビルは黒い鼻をヒクヒクさせる。
歩くときはフサフサの尻尾をユラユラさせるので、ついつい目がいってしまう。
タヌキのトゥーリ族の彼女は、キュッリッキよりも背が低い。見た目の可愛らしさと相まって、キュッリッキはシビルが大好きだ。
正確には、可愛い動物なども好きなのだ。ファンシーで可愛いものに目がないくらいに。可愛いもの好きのキュッリッキにとって、シビルと一緒にいると心が和んでしまう。
「んじゃ、私は部屋に戻るので」
「判った~。おやすみなさい」
「おやすみ~」
小さな手を振って、シビルは自室に入っていった。
キュッリッキは階段を下りて、談話室の奥にある会議室のドアをノックした。
「入ってください」
カーティスの声がして、キュッリッキはドアを開ける。
さほど広い部屋ではなかった。メンバーの自室より、多少広いくらいで、ビッシリと難しそうな本が詰まった本棚が壁に並び、世界地図のポスターやメモ書きの紙がピンで留められ、部屋の中央に質素な応接テーブルセットが置かれていた。
「急に呼び出してすみません。いくつか聞いておきたいことがあって」
カーティスが手振りで小さな椅子を指す。そこに座れということだろう。キュッリッキは素直にその椅子に座った。
応接ソファには、カーティス、メルヴィン、ブルニタルが座っていた。もう一つ空いている所には、ダンボール箱がいくつか占拠している。
「我々は、召喚スキル〈才能〉を持った人と面識がありません。なので、世間一般に伝わっている召喚スキル〈才能〉のこと以外は、まるで知らないんです。キューリさんの入団は、我々にとって新し選択を増やしてくれました。それで、どんな使い方が出来るか、知識を蓄えておきたいんです」
「ほむ」
「ではブルニタルのほうから、色々質問がありますので、教えてください」
キュッリッキはコクリと頷いた。
ネコのトゥーリ族であるブルニタルは、三毛猫の外見をしている。そして、赤いフレームの着いたメガネをかけていた。普通の人間のように、耳が左右顔の横にあるわけではないので、フレームの先っちょがぐるりと伸びていて、頭上の耳に引っ掛けていた。
「色々聴きますので、お答えください」
メガネのフレームを上に押し上げながら、ブルニタルはメモ帳を開いく。
「まず、どんな風に召喚というものをするのか、具体的に教えてください」
「具体的、かあ」
「魔法とは違うものだと聞いていますが、何か儀式的なことをするのなら、それをする場所やタイミングが必要になるでしょう。道具や何ならも揃えないとですし。なので、具体的に知っておきたいのです」
なるほど、と呟いて、キュッリッキは納得した。
ブルニタルはライオン傭兵団の軍師的役割も担っている。それで色々知っておきたいのだ。
「じゃあ、実際に召喚してみせるね」
「誰かな…? どうぞー」
ベッドから起き上がると同時に、ドアが開いてシビルが顔を出した。
「寝ちゃってたかな? ゴメン、カーティスさんが会議室に呼んでるよ」
「んーん、寝てないから大丈夫。なんの用事かな」
キュッリッキはワンピースのシワを手ではたいて直し、シビルと共に部屋を出た。
「用件は判んないんですけど、仕事に関することで、なにか聞きたいことでもあるんじゃないですかね~」
そう言って、シビルは黒い鼻をヒクヒクさせる。
歩くときはフサフサの尻尾をユラユラさせるので、ついつい目がいってしまう。
タヌキのトゥーリ族の彼女は、キュッリッキよりも背が低い。見た目の可愛らしさと相まって、キュッリッキはシビルが大好きだ。
正確には、可愛い動物なども好きなのだ。ファンシーで可愛いものに目がないくらいに。可愛いもの好きのキュッリッキにとって、シビルと一緒にいると心が和んでしまう。
「んじゃ、私は部屋に戻るので」
「判った~。おやすみなさい」
「おやすみ~」
小さな手を振って、シビルは自室に入っていった。
キュッリッキは階段を下りて、談話室の奥にある会議室のドアをノックした。
「入ってください」
カーティスの声がして、キュッリッキはドアを開ける。
さほど広い部屋ではなかった。メンバーの自室より、多少広いくらいで、ビッシリと難しそうな本が詰まった本棚が壁に並び、世界地図のポスターやメモ書きの紙がピンで留められ、部屋の中央に質素な応接テーブルセットが置かれていた。
「急に呼び出してすみません。いくつか聞いておきたいことがあって」
カーティスが手振りで小さな椅子を指す。そこに座れということだろう。キュッリッキは素直にその椅子に座った。
応接ソファには、カーティス、メルヴィン、ブルニタルが座っていた。もう一つ空いている所には、ダンボール箱がいくつか占拠している。
「我々は、召喚スキル〈才能〉を持った人と面識がありません。なので、世間一般に伝わっている召喚スキル〈才能〉のこと以外は、まるで知らないんです。キューリさんの入団は、我々にとって新し選択を増やしてくれました。それで、どんな使い方が出来るか、知識を蓄えておきたいんです」
「ほむ」
「ではブルニタルのほうから、色々質問がありますので、教えてください」
キュッリッキはコクリと頷いた。
ネコのトゥーリ族であるブルニタルは、三毛猫の外見をしている。そして、赤いフレームの着いたメガネをかけていた。普通の人間のように、耳が左右顔の横にあるわけではないので、フレームの先っちょがぐるりと伸びていて、頭上の耳に引っ掛けていた。
「色々聴きますので、お答えください」
メガネのフレームを上に押し上げながら、ブルニタルはメモ帳を開いく。
「まず、どんな風に召喚というものをするのか、具体的に教えてください」
「具体的、かあ」
「魔法とは違うものだと聞いていますが、何か儀式的なことをするのなら、それをする場所やタイミングが必要になるでしょう。道具や何ならも揃えないとですし。なので、具体的に知っておきたいのです」
なるほど、と呟いて、キュッリッキは納得した。
ブルニタルはライオン傭兵団の軍師的役割も担っている。それで色々知っておきたいのだ。
「じゃあ、実際に召喚してみせるね」
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