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ナルバ山の遺跡編
episode87
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そういえば、何も説明していなかったことを思い出す。
「うンと、小鳥の頭を、指で3回、そっと叩いてあげると通信モードになって、こっちの赤い小鳥の聴いてることを、そのまま伝えてくれるの。ベルトルドさんの方も、言っていることをこっちの子が伝えてくれるよ。通信を切りたい時も、同じように3回叩いてあげて」
「ふむふむ。便利ですねえ、見た目は小鳥なのに。ルーファス」
「うん、ベルトルド様に伝えたよ」
サイ《超能力》を使えるルーファスが、キュッリッキの言葉をそのまま念話で送信した。
カーティスは人差し指で、肩に乗る赤い小鳥の頭を、そっと3回叩いてみる。すると、それまで肩の上で時折跳ねたりしていた小鳥が、ピタリと動きを止めて、嘴をパカッと開いた。
〈俺の声が聴こえるか?〉
突然、小鳥がベルトルドの声を吐き出して、カーティスとルーファスはビクッと身体を仰け反らせた。
「ちゃんと聴こえるよ~、ベルトルドさん」
二人に代わってキュッリッキが応じると、ベルトルドの嬉しそうな声が返ってきた。
〈リッキー! これでいつでも、リッキーと話ができるな!〉
「うん、そうだね」
ベルトルドが喜んでいるのが判って、キュッリッキも素直に喜んだ。
(ねえねえカーティス、小鳥をこのまま通信モードにして、アジトに入ろうよ。絶対面白いから)
(いいですねえ。たまには皆の本音を、直接聴かせてあげましょうか)
(ウヒヒ)
ルーファスとカーティスは、ひっそり念話で悪巧みを囁きあった。
アジトに到着する前にキュッリッキを起こしたり、小鳥の操作を教わったりしていたので、3人がアジトにようやく帰り着いた頃には、すっかり陽が落ちていた。
3人は真っ直ぐ食堂へ向かうと、すでに食堂には仲間たちが勢ぞろいしていた。
「おかえりなさい、随分遅かったんですね。もうじき夕飯ですよ」
メルヴィンが朗らかに3人を出迎えてくれた。
「よお、御大のクソ野郎にどんな件で呼び出しくらったか、気になって気になって、みんな待ちくたびれちまったぜ」
ビールを飲みながら、ギャリーがむさ苦しい顔をにんまりとさせる。
〈クソは余計だぞ、ギャリー〉
「え?」
いきなりベルトルドの声がして、ギャリーは仰天してビールを吹き出した。
「お、おい、御大も連れて帰ってきたのか!?」
〈俺は自分の屋敷にいるぞ〉
笑い含みなベルトルドの声が再びして、血相を変えたギャリーは、立ち上がって周りを見渡す。
「ベルトルド様反応早すぎー。もうちょっと色々言わせたら、面白かったのにな~」
両手を頭の後ろで組んで、ルーファスがニヤニヤ顔をギャリーに向ける。
事態が飲み込めない一同に、カーティスは苦笑すると、肩にとまっている小鳥を指差す。
「この小鳥を通じて、ベルトルド卿と音声が繋がっています。もろ筒抜けてますよ、ギャリー」
「お、おい……、マジかよ…」
酢を飲んだような顔になって、ギャリーは椅子に沈み込んだ。
「うンと、小鳥の頭を、指で3回、そっと叩いてあげると通信モードになって、こっちの赤い小鳥の聴いてることを、そのまま伝えてくれるの。ベルトルドさんの方も、言っていることをこっちの子が伝えてくれるよ。通信を切りたい時も、同じように3回叩いてあげて」
「ふむふむ。便利ですねえ、見た目は小鳥なのに。ルーファス」
「うん、ベルトルド様に伝えたよ」
サイ《超能力》を使えるルーファスが、キュッリッキの言葉をそのまま念話で送信した。
カーティスは人差し指で、肩に乗る赤い小鳥の頭を、そっと3回叩いてみる。すると、それまで肩の上で時折跳ねたりしていた小鳥が、ピタリと動きを止めて、嘴をパカッと開いた。
〈俺の声が聴こえるか?〉
突然、小鳥がベルトルドの声を吐き出して、カーティスとルーファスはビクッと身体を仰け反らせた。
「ちゃんと聴こえるよ~、ベルトルドさん」
二人に代わってキュッリッキが応じると、ベルトルドの嬉しそうな声が返ってきた。
〈リッキー! これでいつでも、リッキーと話ができるな!〉
「うん、そうだね」
ベルトルドが喜んでいるのが判って、キュッリッキも素直に喜んだ。
(ねえねえカーティス、小鳥をこのまま通信モードにして、アジトに入ろうよ。絶対面白いから)
(いいですねえ。たまには皆の本音を、直接聴かせてあげましょうか)
(ウヒヒ)
ルーファスとカーティスは、ひっそり念話で悪巧みを囁きあった。
アジトに到着する前にキュッリッキを起こしたり、小鳥の操作を教わったりしていたので、3人がアジトにようやく帰り着いた頃には、すっかり陽が落ちていた。
3人は真っ直ぐ食堂へ向かうと、すでに食堂には仲間たちが勢ぞろいしていた。
「おかえりなさい、随分遅かったんですね。もうじき夕飯ですよ」
メルヴィンが朗らかに3人を出迎えてくれた。
「よお、御大のクソ野郎にどんな件で呼び出しくらったか、気になって気になって、みんな待ちくたびれちまったぜ」
ビールを飲みながら、ギャリーがむさ苦しい顔をにんまりとさせる。
〈クソは余計だぞ、ギャリー〉
「え?」
いきなりベルトルドの声がして、ギャリーは仰天してビールを吹き出した。
「お、おい、御大も連れて帰ってきたのか!?」
〈俺は自分の屋敷にいるぞ〉
笑い含みなベルトルドの声が再びして、血相を変えたギャリーは、立ち上がって周りを見渡す。
「ベルトルド様反応早すぎー。もうちょっと色々言わせたら、面白かったのにな~」
両手を頭の後ろで組んで、ルーファスがニヤニヤ顔をギャリーに向ける。
事態が飲み込めない一同に、カーティスは苦笑すると、肩にとまっている小鳥を指差す。
「この小鳥を通じて、ベルトルド卿と音声が繋がっています。もろ筒抜けてますよ、ギャリー」
「お、おい……、マジかよ…」
酢を飲んだような顔になって、ギャリーは椅子に沈み込んだ。
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