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ナルバ山の遺跡編
episode83
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帰りはゴンドラではなく、地下へ案内された。
「もう少ししたら、門の近くまでの定期便が来るでしょう」
「ありがとうございます、アルカネットさん」
カーティスとルーファスが、アルカネットに丁寧に頭を下げる。
「それではリッキーさん、また会いましょうね」
「お土産ありがとう」
アルカネットはニッコリ微笑むと、キュッリッキの柔らかな頬にキスをした。
「こらー! アルカネット!!」
ベルトルドが後ろで喚くが、アルカネットは涼しい顔でフッと鼻の先で笑うだけだった。
「い、行こうか、キューリちゃん」
「うん」
ルーファスに手を引かれ、キュッリッキはベルトルドとアルカネットに、もう片方の手を振った。
「またね~」
まるで今生の別れのような顔をするベルトルドと、優しい微笑みを称えるアルカネットに見送られ、3人は帰路に着いた。
「ハーメンリンナの地下って、凄いんだねえ~」
地下は大きな通路が走っていて、天井もとても高くて圧迫感がない。天井も壁も真っ白で、壁と天井の一部が明るい光を放っている。床には毛足の短い絨毯が敷き詰められて、外と全く変わらない明るさに満ちていた。
「地下は全部こんな感じなの?」
「そうだよ~。迷わないように標識もあるし、換気もきちんとされてるから、空気がこもったりせず、臭もしないでしょ」
「うん」
「地上が歩けずゴンドラなもんだから、こうして地下は徒歩で移動できる通路と、乗り物で移動できる通路の、二重構造なんだよ」
「そうなんだあ」
地上を滑るゴンドラには、着飾った貴婦人や、身なりのいい紳士しか見なかった。しかし地下の通路では、軍服を着た人々と多くすれ違う。
「こっちだよ、キューリちゃん」
すれ違う人々も珍しげに見ていたキュッリッキを、ルーファスが苦笑気味に手を引っ張る。
3人は更に地下に降りる。そしてそこも、上の地下通路と変わりなく明るく、床だけは絨毯が敷かれていない、剥き出しの白い床だった。
軍服を着た人たちが列を作っている最後尾に3人は立つ。
「これから、凄く珍しい乗り物に乗るよ」
ルーファスが意味深にウィンクすると、キュッリッキは何だろうと目を瞬かせた。
並んで待つこと数分、突然箱のようなものが、風をまとって静かに現れた。
「!?」
キュッリッキはビックリして箱を凝視する。
「さあさあ、乗りますよ」
カーティスに笑い含みに促され、手を引かれるままキュッリッキは箱に乗り込んだ。
最後にキュッリッキが箱に入ると、箱のドアが勝手に閉まった。
「きゃっ」
キュッリッキはルーファスにしがみついて、ひとりでに閉じたドアを、訝しげに見る。
汽車のような形をしているが、先頭がまろやかな楕円形を描いており、床にはレールのようなものは通っていない。なのに、床の上を馬が滑走するくらいのスピードで走り始めた。
おっかなびっくりな態度を隠しもしないキュッリッキに、カーティスとルーファスは必死に笑いをこらえていた。
「もう少ししたら、門の近くまでの定期便が来るでしょう」
「ありがとうございます、アルカネットさん」
カーティスとルーファスが、アルカネットに丁寧に頭を下げる。
「それではリッキーさん、また会いましょうね」
「お土産ありがとう」
アルカネットはニッコリ微笑むと、キュッリッキの柔らかな頬にキスをした。
「こらー! アルカネット!!」
ベルトルドが後ろで喚くが、アルカネットは涼しい顔でフッと鼻の先で笑うだけだった。
「い、行こうか、キューリちゃん」
「うん」
ルーファスに手を引かれ、キュッリッキはベルトルドとアルカネットに、もう片方の手を振った。
「またね~」
まるで今生の別れのような顔をするベルトルドと、優しい微笑みを称えるアルカネットに見送られ、3人は帰路に着いた。
「ハーメンリンナの地下って、凄いんだねえ~」
地下は大きな通路が走っていて、天井もとても高くて圧迫感がない。天井も壁も真っ白で、壁と天井の一部が明るい光を放っている。床には毛足の短い絨毯が敷き詰められて、外と全く変わらない明るさに満ちていた。
「地下は全部こんな感じなの?」
「そうだよ~。迷わないように標識もあるし、換気もきちんとされてるから、空気がこもったりせず、臭もしないでしょ」
「うん」
「地上が歩けずゴンドラなもんだから、こうして地下は徒歩で移動できる通路と、乗り物で移動できる通路の、二重構造なんだよ」
「そうなんだあ」
地上を滑るゴンドラには、着飾った貴婦人や、身なりのいい紳士しか見なかった。しかし地下の通路では、軍服を着た人々と多くすれ違う。
「こっちだよ、キューリちゃん」
すれ違う人々も珍しげに見ていたキュッリッキを、ルーファスが苦笑気味に手を引っ張る。
3人は更に地下に降りる。そしてそこも、上の地下通路と変わりなく明るく、床だけは絨毯が敷かれていない、剥き出しの白い床だった。
軍服を着た人たちが列を作っている最後尾に3人は立つ。
「これから、凄く珍しい乗り物に乗るよ」
ルーファスが意味深にウィンクすると、キュッリッキは何だろうと目を瞬かせた。
並んで待つこと数分、突然箱のようなものが、風をまとって静かに現れた。
「!?」
キュッリッキはビックリして箱を凝視する。
「さあさあ、乗りますよ」
カーティスに笑い含みに促され、手を引かれるままキュッリッキは箱に乗り込んだ。
最後にキュッリッキが箱に入ると、箱のドアが勝手に閉まった。
「きゃっ」
キュッリッキはルーファスにしがみついて、ひとりでに閉じたドアを、訝しげに見る。
汽車のような形をしているが、先頭がまろやかな楕円形を描いており、床にはレールのようなものは通っていない。なのに、床の上を馬が滑走するくらいのスピードで走り始めた。
おっかなびっくりな態度を隠しもしないキュッリッキに、カーティスとルーファスは必死に笑いをこらえていた。
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