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ライオン傭兵団編
episode55
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世界には三つの種からなる人間が住んでいる。その中の一つがアイオン族。
背に2枚の巨大な翼を有し、天空を自在に翔け風を読み、ほとんどの者が優れた容姿を持つ。翼は自在に出し入れ可能で、翼をしまっている状態ではヴィプネン族と見分けがつかない。その性格は気位が高い上に選民意識が強く、他種族を見下す傾向があり、それを隠しもせず露骨に振舞う者が多いことから、アイオン族を快く思わない者が多い。
帝位に就く時、アルファルドはとんでもない宣言を出した。
「アイオン族は完璧であらねばならない! 欠陥品はクズ同然であり、アイオン族を名乗るのもおこがましいのである。飛ばない鳥を鳥とは言わないであろう!!」
拳をふるい、民衆の前で熱弁した。
「予の治める国にそんな欠陥品はいらぬ、アイオン族の面汚しは即刻排除すべし!!」
そう布告を出した。
布告を出された瞬間から、身体に障害を持つ者は容赦なく粛清され、病弱な者まで粛清された。身内にそういった者がいれば、隠す家族までもが処刑され、惑星ペッコに悲劇の嵐が吹き荒れた。しかし、アルファルドが死んで皇太子のレムリウスが帝位を継ぐと、無慈悲な布告は即排除されることとなった。
しかし40年以上も続いた悪習は、アイオン族に深く根付き、すぐにはぬぐい去られず、それはいまだに暗い影を落とし続けていた。
幸いなことに、そうした悲劇は本星の惑星ペッコのアイオン族のみで、他惑星で暮らすアイオン族には、アルファルドの悪影響は及ばなかった。
今はもう、アルファルドの時代ではない。酷悪な悪法は排除され、正常な法が敷かれている。にも関わらず、キュッリッキの身の上には、アルファルドの影響が色濃く降り注いでしまった。
ヴァルトはヴィプネン族が治める惑星ヒイシにある、自由都市出身である。子供の頃両親から、惑星ペッコで生まれた奇形児の話を、何度か聞かされていた。
アイオン族に生まれ落ちた、稀少中の稀少、召喚スキル〈才能〉を持った女児の話を。
召喚スキル〈才能〉は、稀少中の稀少と呼ばれるレアスキル〈才能〉である。1億人に一人の確率でしか生まれてこないとされていた。
このスキル〈才能〉を授かった子供は、国が家族ごと召し上げ、生涯国の保護下のもとで、安全で優雅な生活を送ることが約束されるのだ。それは、3種族共に決められたことでもある。
本来なら、種族をあげてその誕生を祝い称えることになっただろうに、奇形児として生まれてしまったため、生まれてすぐ親に捨てられ、挙句同族から蔑まされる羽目になった。奇形――片方の翼が、翼としての形を持たなかったがために。
その女児の名を、キュッリッキといった。
ヴァルトの両親はその話をするとき、女児のことを痛々しそうに話していた。
悪習の名残から、奇形児のことを痛々しく話すアイオン族は殆どいないが、アイオン族の治める惑星ペッコから離れ、他惑星で暮らすアイオン族の中には、そうした偏見を持たない者が少なからず居た。
ヴァルトの両親も、偏見とは無縁の性格をしている者たちだった。
背に2枚の巨大な翼を有し、天空を自在に翔け風を読み、ほとんどの者が優れた容姿を持つ。翼は自在に出し入れ可能で、翼をしまっている状態ではヴィプネン族と見分けがつかない。その性格は気位が高い上に選民意識が強く、他種族を見下す傾向があり、それを隠しもせず露骨に振舞う者が多いことから、アイオン族を快く思わない者が多い。
帝位に就く時、アルファルドはとんでもない宣言を出した。
「アイオン族は完璧であらねばならない! 欠陥品はクズ同然であり、アイオン族を名乗るのもおこがましいのである。飛ばない鳥を鳥とは言わないであろう!!」
拳をふるい、民衆の前で熱弁した。
「予の治める国にそんな欠陥品はいらぬ、アイオン族の面汚しは即刻排除すべし!!」
そう布告を出した。
布告を出された瞬間から、身体に障害を持つ者は容赦なく粛清され、病弱な者まで粛清された。身内にそういった者がいれば、隠す家族までもが処刑され、惑星ペッコに悲劇の嵐が吹き荒れた。しかし、アルファルドが死んで皇太子のレムリウスが帝位を継ぐと、無慈悲な布告は即排除されることとなった。
しかし40年以上も続いた悪習は、アイオン族に深く根付き、すぐにはぬぐい去られず、それはいまだに暗い影を落とし続けていた。
幸いなことに、そうした悲劇は本星の惑星ペッコのアイオン族のみで、他惑星で暮らすアイオン族には、アルファルドの悪影響は及ばなかった。
今はもう、アルファルドの時代ではない。酷悪な悪法は排除され、正常な法が敷かれている。にも関わらず、キュッリッキの身の上には、アルファルドの影響が色濃く降り注いでしまった。
ヴァルトはヴィプネン族が治める惑星ヒイシにある、自由都市出身である。子供の頃両親から、惑星ペッコで生まれた奇形児の話を、何度か聞かされていた。
アイオン族に生まれ落ちた、稀少中の稀少、召喚スキル〈才能〉を持った女児の話を。
召喚スキル〈才能〉は、稀少中の稀少と呼ばれるレアスキル〈才能〉である。1億人に一人の確率でしか生まれてこないとされていた。
このスキル〈才能〉を授かった子供は、国が家族ごと召し上げ、生涯国の保護下のもとで、安全で優雅な生活を送ることが約束されるのだ。それは、3種族共に決められたことでもある。
本来なら、種族をあげてその誕生を祝い称えることになっただろうに、奇形児として生まれてしまったため、生まれてすぐ親に捨てられ、挙句同族から蔑まされる羽目になった。奇形――片方の翼が、翼としての形を持たなかったがために。
その女児の名を、キュッリッキといった。
ヴァルトの両親はその話をするとき、女児のことを痛々しそうに話していた。
悪習の名残から、奇形児のことを痛々しく話すアイオン族は殆どいないが、アイオン族の治める惑星ペッコから離れ、他惑星で暮らすアイオン族の中には、そうした偏見を持たない者が少なからず居た。
ヴァルトの両親も、偏見とは無縁の性格をしている者たちだった。
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