51 / 882
ライオン傭兵団編
episode48
しおりを挟む
正午を回ると、続々と食堂にみんな集まりだした。
「キュッリッキちゃぁ~ん、こっち一緒に座ろう~」
「うん」
マリオンに手招きされて、キュッリッキはマリオンの隣に座る。
「みんな、お待ち遠様」
キリ夫人とキリ氏が、大皿や鍋を乗せたワゴンを押してきた。
「サンキュ、おばちゃん、おじちゃん!」
ヴァルトは立ち上がると、大皿や取り皿をテーブルに並べた。そして、シチュー皿に鍋のシチューをよそい、次々みんなに手渡していく。
「普段バカなコトしか言わないけどぉ、ああしてお手伝いは率先してやるのよ、ヴァルトって」
ひょろひょろっと背が高く、青い瞳と金髪が映える、物凄い美形である。しかし、
「テメーら、おばちゃんとおじちゃんにカンシャして、ありがたく食え!」
口を開くと、何故か勿体なさ全開な、残念さを感じるのであった。
各自取り皿にそれぞれ食べたいものを取ると、あとは賑やかに食事が始まった。キリ夫妻も一緒である。
「凄く美味しい~」
シチューは塩加減も絶妙で、鶏肉が口の中でとろけていく。濃厚でクリーミーな味が、ふわっと口の中いっぱいに広がる。確かにこれは、沢山食べずにはいられない美味しさだ。
「お口にあって、良かったわ」
美味しさに顔をほころばせるキュッリッキに、キリ夫人はふっくらと微笑んだ。
「うおおおおおおお! いっぱい食うぞ!!」
ヴァルトは3種類のパスタを取り皿に山盛りにして、片っ端からチュルチュル食べ始めた。
「エネルギー有り余ってんだから、そんなに食うなや…」
呆れ顔でギャリーが言うと、
「ヴァルトやガエルを暴れさせる仕事が、今のところナイんですよ」
カーティスが溜め息混じりに言う。
ヴァルト向けの豪快な仕事より、繊細な仕事のほうが多く来るのであった。
「傭兵休業してぇ、土木工事現場に貸出したらあ~? もンのすご~く感謝されまくるわよお」
そう言って、マリオンはケラケラ笑った。
「うっせーぞ! そこのドぶす!」
「あーん、バカヴァルトにもブスって言われたああ」
あまり悲観してないウソ泣き声をあげるマリオンを見つつ、キュッリッキはミルクババロアを口に運んでいた。
「小食なんですね」
向かい側に座るメルヴィンが、にっこりと笑顔を向けてきた。
「う、うん。美味しいけど、いつもあんまり食べられなくって」
シチューひと皿と、パスタを一口ずつ、あとはもうデザートのミルクババロアに移っていた。
「そうですか。――女の子は少食気味ですね」
「そう、なのかも?」
なんだか気恥ずかしくて、キュッリッキは顔を赤くした。
「キュッリッキちゃぁ~ん、こっち一緒に座ろう~」
「うん」
マリオンに手招きされて、キュッリッキはマリオンの隣に座る。
「みんな、お待ち遠様」
キリ夫人とキリ氏が、大皿や鍋を乗せたワゴンを押してきた。
「サンキュ、おばちゃん、おじちゃん!」
ヴァルトは立ち上がると、大皿や取り皿をテーブルに並べた。そして、シチュー皿に鍋のシチューをよそい、次々みんなに手渡していく。
「普段バカなコトしか言わないけどぉ、ああしてお手伝いは率先してやるのよ、ヴァルトって」
ひょろひょろっと背が高く、青い瞳と金髪が映える、物凄い美形である。しかし、
「テメーら、おばちゃんとおじちゃんにカンシャして、ありがたく食え!」
口を開くと、何故か勿体なさ全開な、残念さを感じるのであった。
各自取り皿にそれぞれ食べたいものを取ると、あとは賑やかに食事が始まった。キリ夫妻も一緒である。
「凄く美味しい~」
シチューは塩加減も絶妙で、鶏肉が口の中でとろけていく。濃厚でクリーミーな味が、ふわっと口の中いっぱいに広がる。確かにこれは、沢山食べずにはいられない美味しさだ。
「お口にあって、良かったわ」
美味しさに顔をほころばせるキュッリッキに、キリ夫人はふっくらと微笑んだ。
「うおおおおおおお! いっぱい食うぞ!!」
ヴァルトは3種類のパスタを取り皿に山盛りにして、片っ端からチュルチュル食べ始めた。
「エネルギー有り余ってんだから、そんなに食うなや…」
呆れ顔でギャリーが言うと、
「ヴァルトやガエルを暴れさせる仕事が、今のところナイんですよ」
カーティスが溜め息混じりに言う。
ヴァルト向けの豪快な仕事より、繊細な仕事のほうが多く来るのであった。
「傭兵休業してぇ、土木工事現場に貸出したらあ~? もンのすご~く感謝されまくるわよお」
そう言って、マリオンはケラケラ笑った。
「うっせーぞ! そこのドぶす!」
「あーん、バカヴァルトにもブスって言われたああ」
あまり悲観してないウソ泣き声をあげるマリオンを見つつ、キュッリッキはミルクババロアを口に運んでいた。
「小食なんですね」
向かい側に座るメルヴィンが、にっこりと笑顔を向けてきた。
「う、うん。美味しいけど、いつもあんまり食べられなくって」
シチューひと皿と、パスタを一口ずつ、あとはもうデザートのミルクババロアに移っていた。
「そうですか。――女の子は少食気味ですね」
「そう、なのかも?」
なんだか気恥ずかしくて、キュッリッキは顔を赤くした。
1
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!
飼猫タマ
ファンタジー
貧乏準男爵家の三男トト・カスタネット(妾の子)は、13歳の誕生日に貴族では有り得ない『握手』スキルという、握手すると人の名前が解るだけの、全く使えないスキルを女神様から授かる。
貴族は、攻撃的なスキルを授かるものという頭が固い厳格な父親からは、それ以来、実の息子とは扱われず、自分の本当の母親ではない本妻からは、嫌がらせの井戸掘りばかりさせられる毎日。
だが、しかし、『握手』スキルには、有り得ない秘密があったのだ。
なんと、ただ、人と握手するだけで、付随スキルが無限にゲットできちゃう。
その付随スキルにより、今までトト・カスタネットの事を、無能と見下してた奴らを無意識下にザマーしまくる痛快物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる