片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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ライオン傭兵団編

episode44

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 馬車がアジトの前に着くと、マリオンが出てきた。

「おっかえりぃ~」

 陽の光の下でより明るいオレンジかかった赤毛をおろし、濃いピンク色のタイトなワンピースを着ている。それだけでもじゅうぶんに派手な印象を与えるのに、さらに派手なのは顔の方だ。はっきりとした顔立ちを、化粧でよりくっきりさせていて、太ってはいないが大柄な印象を与える身体つきとあいまって、そこに居るだけで派手でしょうがない。

「いらっしゃ~い、キュッリッキちゃん。今日からよろしくねぇ~」

「よろしく、マリオン」

「あらあ、アタシの名前、ちゃぁ~んと覚えててくれてたのねぇ。イイコいい子」

 馬車から降りたキュッリッキを、マリオンはぎゅっと抱きしめた。

「あんたたちぃ、キュッリッキちゃんの荷物、とっとと運んだって」

「ええ」

「俺が運んでおく。メルヴィンは馬車を返してきてくれ」

「判りました。お願いします、ガエルさん」

 荷台から荷物を全部降ろして、メルヴィンは御者席に戻ると、馬車を返しに行った。

 ガエルは一番大きな荷物を持つと、マリオンが残りの荷物をガエルの腕の中に乗せていく。そして、ジッと見てくるキュッリッキの視線に気づき、

「ぶら下がるか?」

 そうガエルは言うと、キュッリッキは嬉しそうにガエルの腕に飛びついた。

「あらぁ面白そう。アタシもぶら下がるぅ~」

「お前はやめろ…」

「ええ~なんでぇ~~?」

「重量オーバーだ」

「ひっどぉーい!」

 抗議するマリオンをスルーして、荷物とぶら下がるキュッリッキを連れて、ガエルはアジトに入っていった。



「荷解きは、自分でやるんだぞ」

「はーい。ありがとうガエル」

「おう」

 ガエルが出て行くと、入れ替わりにマリオンが顔を出した。

「キュッリッキちゃん、一緒にいらっしゃ~い。みんなに到着の挨拶、しなくっちゃねぇ~」

「そうだった」

 床にしゃがみこんでいたキュッリッキは、立ち上がってマリオンの後についていった。

 廊下の壁には白い壁紙が貼られ、床には毛足の短い赤い絨毯が敷かれている。掃除も行き届いていて、くすんだところがない。部屋の扉もニスが塗られていて、艶やかで見た目にも綺麗だ。

「ねえねえ、この建物って凄く綺麗なんだね」

「でしょぉ。元々宿屋だったんだけどぉ、それを買い取って改装してるのよん」

「ほえぇ~」

「部屋も狭いけどぉ、綺麗っしょ」

「うん」

「天井も毎年しっかり修繕してるからぁ、雨漏りの心配もしなくてダイジョウブ」

「よかった」

 二人は階段を降りていくと、大きなドアの部屋へ入っていった。

「は~いみんなぁ、キュッリッキちゃんがきったよ~ん」

 そこは広々とした部屋で、ライオン傭兵団の仲間たちが集まっていた。
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