片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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ライオン傭兵団編

episode18

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 サントリナ国の首都ルヤラで、レンタルの荷馬車を借りたカーティスたちは、食料を買い込むと馬車を走らせた。

 ソープワート国との国境沿いへ向けての汽車はない。途中までの汽車も走っていなかった。

「どんだけ仲悪いんだよ」

 御者をするギャリーがボヤくと、皆一斉に頷いた。

 そのため国境まで馬車で移動するしかなく、途中の村で馬を代えてもらい、休憩もそこそこの夜通し強行軍だ。

 依頼がライオン傭兵団にもたらされたのは、ベルトルドがキュッリッキを連れて、アジトへ来た1時間ほど前のことなのである。この依頼自体、実は散々各傭兵団をたらいまわしにされた挙句、最後にライオン傭兵団に押し付けられたものだった。

 仕事の期日がすでにアウトだが、報酬が破格なのでカーティスは引き受けた。自分たちの所ならやれると、確たる自信がある。そうして引き受けた直後に、キュッリッキを紹介されたのだった。

 なんとか目的地に到着した5人は、ぐうの音も出ないほどヘロヘロになっていた。

「さて…、私はサントリナの陣営で待機しています。もしキュッリッキさんが失敗した時、3人は後始末をお願いします。報酬は貰えず、私は縛り首になるかもしれませんが」

「ちゃんとやるわよっ!」

 キュッリッキは肩を怒らせて怒鳴った。あのソープワートの軍勢をどう葬るか、もう算段はついている。

(アタシの実力、見せつけてやるんだからっ)

 これまでも、しっかり力を示してきたのだ。

(お高くとまった傭兵団のほうから、頭を下げてアタシを欲しがるくらい、徹底的にサクッと倒してやるもん!)

 愛らしい顔を引き締め、両手を腰に当てて、岩陰から眼下のソープワート一個大隊を睨みつけた。

「ちっぱい娘のエンジンがかかったようだぞ。安心して行ってこい、カーティス」

「ちっぱいって言うなっ!」

「ヘイヘイ」

 またグーでポカスカ叩かれながら、ギャリーはタバコをふかして笑っていた。

 二人の様子を見てカーティスは苦笑すると、サントリナ軍の陣営に向かった。その後ろ姿を見送りながら、ザカリーはソープワート軍を観察する。

「やーっぱ居るねえ、キャッツフットのおっさんも」

「チャイヴズじーさんとセットだもんね~」

「小さい国だけど、手練が何故か多くて有名だったりするんだ。とくにキャッツフットのおっさんは、戦闘遠隔スキル〈才能〉の持ち主で、遠隔武器を持たせたら敵うものなど状態さ。まあ、オレほどじゃあないにしても」

 キュッリッキに向けてドヤ顔で自己アピールするが、キュッリッキにはきっぱりスルーされる。散々ちっぱいちっぱいとギャリーにからかわれて、ご機嫌ナナメなのだ。

 ザカリーはガッカリ感を両肩に漂わせ、切ない溜め息をこぼしたところで、いきなり頭の中に偉そうな声が響いて目を見開いた。
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