片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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ライオン傭兵団編

episode14

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 キュッリッキが案内された部屋は、建物の端にあった。

 5坪ほどであまり広くはないが、ベッド、文机と椅子、ハンガー掛けができる大きめのチェストが備え付けられていた。常に掃除がされているのか、室内は清潔で綺麗だ。

「オレは廊下で待ってるね」

「ありがとう」

 ドアを閉めてベッドの傍らに立つ。キュッリッキは紙袋を逆さまに持つと、ベッドの上に中身を撒き散らした。

 ファサッと音を立てて落ちた衣服を見ながら、ポシェットを外してワンピースを脱ぐ。そして手早く衣服を身につけた。

「……」

 姿見の鏡がないので、角度を変え変え着崩れていないかチェックする。

「よし」



「お待たせ~」

 部屋から出てきたキュッリッキを見て、ルーファスはちょっと目を見張り、そしてウンウンと頷いた。

「とっても可愛いけど、今にも踊りだしそうだねえ」

「……やっぱ、そう見えるよね」

 トップとアンダーに黒い飾りのついた、白いシルクのビスチェに、幾何学模様のプリントされた青紫色のシルクの上着と、同じ布のフリルが2段になったミニスカート。そして薄紫色のゆったりめのズボンと、紫色のシューズ。袖もゆったりとしているし、全体的に踊り子がまとうようなデザインになっていた。

 身につけながら、薄々そんな気はしていたのだ。なにせ、この服をくれたのは旅芸座の少女である。

「ん~、ズボン脱いだら、普段着っぽくなるんじゃない?」

「パンツ丸見えちゃうからダメなの!」

 超ミニのスカートの下に、ゆったりめのズボンを履いている。スカート丈はかろうじて下着を隠すギリギリのところまでしかないため、スパッツでも履けば問題なさそうだが、生憎今は持っていない。

 踊り子のような仕事着に着替えたキュッリッキを見ていたルーファスは、

(これでオッパイがおっきかったら、完璧なのになあっ!)

 と、谷間のない胸に視線を注ぎながら、心底悔しそうに、心の中で握り拳を作った。



 玄関ホールに降りていくと、着替えたカーティスも合流して、二人を待っていた。

「踊り子もやっていたんですか?」

 真顔でカーティスに言われて、キュッリッキは「やってなーい!」と顔を赤らめて否定した。

「イカガワシイ格好の手品師風に言われたくないよね~」

 ルーファスが笑いながら言うと、

「確かに、ちっぱい娘よりド派手だしな」

 そうギャリーがにんまりと続く。

「ちっぱいって言うなっ!」

 キュッリッキが噛み付かんばかりにギャリーに抗議すると、

「ホントのことだから、そう怒るな怒るな」

 グリグリと頭を撫で繰り回され、キュッリッキは更に憤慨し、グーを作ってギャリーをポカスカ叩いていた。その様子に、ルーファスとザカリーが大笑いする。

「全く、失礼な人たちですね。私を手品師みたいに言わないでくださいな。これが魔法使いの正装です」

「……まあ、自分が満足してりゃいいんじゃね…」

 すましたカーティスに、ルーファスはげっそりと呟いた。

「それでは皆さん、行きますよ」

「うぃ~っす」
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