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ライオン傭兵団編
episode04
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キュッリッキが住んでいるこの街は、ハーツイーズという。海辺に広がる少し大きな街で、港には沢山の船が乗り入れる。貨物や商船、漁業船、旅客船など、皇都イララクスの海の玄関口でもあるのだ。
ハワドウレ皇国の皇都イララクス。ハーメンリンナと呼ばれる皇王や貴族たちの住む城壁で囲まれた街を中心に、海に向けて扇状に広がる一帯を、皇都イララクスと総称する。ハーツイーズは皇都イララクスに含まれる街の一つだ。
アパートは港の近くに建っていて、そこから徒歩30分ほどの距離に、傭兵ギルド・ハーツイーズ支部がある。
傭兵ギルドは世界中に支部を持ち、皇都イララクスにはハーツイーズ街と、エルダー街にあった。傭兵たちは住まいに近い場所の支部を利用している。
潮風を楽しみながら、のんびりハーツイーズ支部に着くと、キュッリッキは受付に到着を報告しに行った。
「ご苦労様、今朝荷物を預かったよ」
「荷物?」
受付担当の青年の顔を見上げて、ちょっと首をかしげる。
「昨日までの仕事の依頼主のトコの女の子が、これをキミに渡してくれって今朝来たんだよ」
受付カウンターの棚をごそごそして、大きめの紙袋を取り出し、キュッリッキに手渡す。
「ありがとう」
不思議そうにしながらも、大きな紙袋を受け取った。
「あと、今日の依頼主は12時くらいに来るそうだから、食堂で待っているようにとのことだ」
「はーい」
キュッリッキは紙袋を手に持って、2階の食堂へ足を向けた。
傭兵ギルドはどこも3階建てになっていて、1階は受付と酒場、2階は食堂と休憩スペース、3階は宿泊施設になっている。24時間営業で、常に傭兵たちで溢れかえっていた。
カウンターでサラダ抜きのドリアセットを注文して、キュッリッキは窓際の席に座った。そして手に持っていた紙袋を膝の上に置くと、紙袋の中に手を入れて、ゴソゴソ中身を探る。
封筒を見つけると、封を開けて手紙を取り出した。
『無事皇都まで送ってくれてありがとう。私にはちょっとサイズが小さくて着れなかったから、これあげる。仕事着に使ってね!』
そう書いてあった。
「……」
怪訝そうに眉をしかめて、紙袋の中を覗き込む。ひと揃の服が入っていた。
「あ…」
そういえば、と口パクで言って、ある会話を思い出す。
昨日までやっていた仕事は、旅芸座一団を護衛するものだった。その座長の娘がキュッリッキと同い年で、道中やたら馴れ馴れしく話しかけてきた。その時の会話の中で、仕事着を持っていないと話した気がする。召喚士だから何を着ていても構わない、だからとくに仕事着にこだわりはない。そう言った。
まさかそれで、こうしてわざわざくれたんだろうか。キュッリッキには理解しがたい、謎の好意であった。
紙袋から取り出してみると、好みの布柄で、色もキュッリッキの好きな青系だ。思わずにんまりと表情が緩んだところで、注文していたドリアセットがテーブルに置かれた。
ハワドウレ皇国の皇都イララクス。ハーメンリンナと呼ばれる皇王や貴族たちの住む城壁で囲まれた街を中心に、海に向けて扇状に広がる一帯を、皇都イララクスと総称する。ハーツイーズは皇都イララクスに含まれる街の一つだ。
アパートは港の近くに建っていて、そこから徒歩30分ほどの距離に、傭兵ギルド・ハーツイーズ支部がある。
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潮風を楽しみながら、のんびりハーツイーズ支部に着くと、キュッリッキは受付に到着を報告しに行った。
「ご苦労様、今朝荷物を預かったよ」
「荷物?」
受付担当の青年の顔を見上げて、ちょっと首をかしげる。
「昨日までの仕事の依頼主のトコの女の子が、これをキミに渡してくれって今朝来たんだよ」
受付カウンターの棚をごそごそして、大きめの紙袋を取り出し、キュッリッキに手渡す。
「ありがとう」
不思議そうにしながらも、大きな紙袋を受け取った。
「あと、今日の依頼主は12時くらいに来るそうだから、食堂で待っているようにとのことだ」
「はーい」
キュッリッキは紙袋を手に持って、2階の食堂へ足を向けた。
傭兵ギルドはどこも3階建てになっていて、1階は受付と酒場、2階は食堂と休憩スペース、3階は宿泊施設になっている。24時間営業で、常に傭兵たちで溢れかえっていた。
カウンターでサラダ抜きのドリアセットを注文して、キュッリッキは窓際の席に座った。そして手に持っていた紙袋を膝の上に置くと、紙袋の中に手を入れて、ゴソゴソ中身を探る。
封筒を見つけると、封を開けて手紙を取り出した。
『無事皇都まで送ってくれてありがとう。私にはちょっとサイズが小さくて着れなかったから、これあげる。仕事着に使ってね!』
そう書いてあった。
「……」
怪訝そうに眉をしかめて、紙袋の中を覗き込む。ひと揃の服が入っていた。
「あ…」
そういえば、と口パクで言って、ある会話を思い出す。
昨日までやっていた仕事は、旅芸座一団を護衛するものだった。その座長の娘がキュッリッキと同い年で、道中やたら馴れ馴れしく話しかけてきた。その時の会話の中で、仕事着を持っていないと話した気がする。召喚士だから何を着ていても構わない、だからとくに仕事着にこだわりはない。そう言った。
まさかそれで、こうしてわざわざくれたんだろうか。キュッリッキには理解しがたい、謎の好意であった。
紙袋から取り出してみると、好みの布柄で、色もキュッリッキの好きな青系だ。思わずにんまりと表情が緩んだところで、注文していたドリアセットがテーブルに置かれた。
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