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ライオン傭兵団編
episode01
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170m2ほどもある広大な執務室の奥には、重厚で大きな木製のデスクが置かれている。それ以外は、応接用のソファセットが中央にあるだけで、南側は全て引き違い窓で埋め尽くされていた。
もともとの執務室は、金の額縁に飾られた歴代皇王の肖像画が、東西北の壁を埋め尽くし、天井には煌くばかりのシャンデリアが吊るされていた。他にもトロフィーや勲章、権威を誇示するものが大量に並べられていたが、現在の主に変わると全て撤去されてしまった。
「鬱陶しいわ!」の一言で、今のシンプルな室内に変貌したのである。その為か、室内の広さが一層際立っていた。
夕闇に染まる室内で、黙々と書類と格闘していたベルトルドは、荒々しいドアの開く音と、近づいてくる大きな靴音に顔を上げる。
「アルカネットか。戻ったんだな」
労うベルトルドの目の前に、アルカネットと呼ばれた男は、無言で手にしていた写真をビシッと突きつけた。
「ぬ?」
目をパチクリさせて、やや仰け反る。
「よく見てください」
逆光になっているため、突きつけられた写真の中身が暗くなって見えにくい。ベルトルドはデスク用のランプをつけて、アルカネットから写真を受け取ると、改めて写真を覗き込んだ。
眼窩から目玉がこぼれ落ちるほど見開いて、そして絶句する。
「驚いたでしょう」
想像通りのベルトルドの反応に、アルカネットは満足気味に頷く。
「これは……一体…」
掠れたような声を出し、写真を指差して、ベルトルドはアルカネットを見る。
「名をキュッリッキ、アイオン族の娘です。年の頃は18、フリーの傭兵をしています」
「傭兵だと?」
ベルトルドは怪訝そうに眉を顰める。
「ええ。幼い頃から単独で傭兵のような行動を取り、現在はギルド認定の、歴とした傭兵なのです」
「更に驚いたな……」
唸るように呟くと、写真に写る少女をまじまじと見つめた。
街の中を歩いている姿を隠し撮ったもののようで、真っ白なワンピースをまとった、長い金髪の美しい娘だ。どこをどう見ても、ごく普通の少女と全く変わらない。傭兵だと言われても、誰も信じないだろう。
「もう一つ、驚くことがありますよ」
黄昏色に染まるアルカネットの表情が、うっとりと微笑む。
「召喚スキル〈才能〉を持っているようです」
もともとの執務室は、金の額縁に飾られた歴代皇王の肖像画が、東西北の壁を埋め尽くし、天井には煌くばかりのシャンデリアが吊るされていた。他にもトロフィーや勲章、権威を誇示するものが大量に並べられていたが、現在の主に変わると全て撤去されてしまった。
「鬱陶しいわ!」の一言で、今のシンプルな室内に変貌したのである。その為か、室内の広さが一層際立っていた。
夕闇に染まる室内で、黙々と書類と格闘していたベルトルドは、荒々しいドアの開く音と、近づいてくる大きな靴音に顔を上げる。
「アルカネットか。戻ったんだな」
労うベルトルドの目の前に、アルカネットと呼ばれた男は、無言で手にしていた写真をビシッと突きつけた。
「ぬ?」
目をパチクリさせて、やや仰け反る。
「よく見てください」
逆光になっているため、突きつけられた写真の中身が暗くなって見えにくい。ベルトルドはデスク用のランプをつけて、アルカネットから写真を受け取ると、改めて写真を覗き込んだ。
眼窩から目玉がこぼれ落ちるほど見開いて、そして絶句する。
「驚いたでしょう」
想像通りのベルトルドの反応に、アルカネットは満足気味に頷く。
「これは……一体…」
掠れたような声を出し、写真を指差して、ベルトルドはアルカネットを見る。
「名をキュッリッキ、アイオン族の娘です。年の頃は18、フリーの傭兵をしています」
「傭兵だと?」
ベルトルドは怪訝そうに眉を顰める。
「ええ。幼い頃から単独で傭兵のような行動を取り、現在はギルド認定の、歴とした傭兵なのです」
「更に驚いたな……」
唸るように呟くと、写真に写る少女をまじまじと見つめた。
街の中を歩いている姿を隠し撮ったもののようで、真っ白なワンピースをまとった、長い金髪の美しい娘だ。どこをどう見ても、ごく普通の少女と全く変わらない。傭兵だと言われても、誰も信じないだろう。
「もう一つ、驚くことがありますよ」
黄昏色に染まるアルカネットの表情が、うっとりと微笑む。
「召喚スキル〈才能〉を持っているようです」
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