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フリングホルニ編
episode757
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ギャリーは正規部隊にいた頃、捕虜を捉えると、引渡しのために尋問・拷問部隊の本部へ行くことがよくあった。
捕虜がただの三下の場合は、部隊の隊員が担当に当たる。よほどの大物クラスになると、より慎重に情報を執る為に、上官クラスが出向く。しかしアルカネットは、よほど忙しくないとき以外は、ほとんど自らが担当に出向いていた。
尋問は部下に任せているが、拷問は自ら執り行う。
引渡しが終わったあとも、書類上の手続き等で本部で待機していると、捕虜の悲痛な叫びが轟渡った。余りにもすごい声なので、わずかな興味で覗きに行って、心底後悔したものだ。
尋問に当たっているアルカネットの部下たちは、すでに神経も感情も麻痺したのか、淡々とした表情で職務に精励していた。その横で、優美なまでの微笑みを浮かべた顔で、手の指の爪を剥がしたり、魔法で作り出した火や雷で、ジワジワと皮膚を焼いたりしているアルカネットは、吐き気をもよおすほど残酷だった。
カーティスもザカリーも、あの残酷な光景には何度か出会っている。
(オレのときは、太ももの肉をナイフで削ぎ落としていたぞ…)
ザカリーが青ざめた顔を、ガックリと俯かせる。
(私の時は、大きく切り裂かれた傷口に、指を突っ込んで、グリグリとイジリまわしていました)
あの優美な微笑み顔で、とカーティスはゲンナリと肩をすくめた。
(今は精神的に堪える攻撃だよな…。やっぱ、ドSだぜ)
思い出したくもない思い出が一気に蘇り、3人は渋面を作ってため息をついた。
残酷なまでの光景を見たこともなかったマーゴット、ペルラは、ルーファスの念話で精神がつながっていることで、彼らの思い出が映像として流れ込んできて頭を振る。
(コラコラ、余計なこと思い出さないの!)
二人の様子に気づいて、ルーファスが慌てて窘めた。
(ああ……悪りぃ)
ギャリーは苦笑を浮かべて頭を掻いた。
(出し惜しみしてる場合じゃないかな、アレ使おう)
ルーファスはジャケットのポケットをゴソゴソして、小さな包を取り出す。
(それ)
包を見てハッとしたように、カーティスも上着のポケットから同じものを取り出した。
白い包み紙を開くと、赤い小さな粒状の薬が3個入っていた。
(ヴィヒトリ特製速攻効く、疲労回復、体力回復、気力回復、精力増強、増血、痛み止め、精神安定、栄養その他諸々の効果満点ハイパーウルトラスペシャルドーピング薬。これをついに使う時が来たね!)
カーティスとギャリーは、自分の掌に乗っかる赤い粒を、物凄く嫌そうに見つめた。
(これ使った後って、廃人になるって、言ってませんでしたっけ……)
(女見ても勃たなくなる、とも言ってたな)
(そこはっ! あとで作った本人に治してもらえばいいよ!!)
勃たなくなるのは困るけど! とルーファスは首を横に振る。
(とにかく勝つしかないんだし、今のままじゃ、どのみち殺されるのがオチだよ)
(そうだね、どーせ向こうは反則のダブルスキル〈才能〉なんだから、こっちだってドーピングくらいアタリマエだよ!)
ハーマンは手にしていた赤い粒を3個とも、勢いよく口に放り込み、ためらわず飲み込んだ。すると、数秒たらずで、ハーマンの目に生気が戻り、魔力の昂ぶりが感じられ始めた。
(そうですね、躊躇ってる場合じゃありません。でも、ザカリー、ペルラ、マーゴットの3人は使用しないでください)
カーティスに言われて、3人は頷く。薬の世話になるほどの疲労は、まだ迎えていないからだ。
ルーファス、ギャリー、カーティスは薬を飲み込むと、ゆっくりと立ち上がった。
捕虜がただの三下の場合は、部隊の隊員が担当に当たる。よほどの大物クラスになると、より慎重に情報を執る為に、上官クラスが出向く。しかしアルカネットは、よほど忙しくないとき以外は、ほとんど自らが担当に出向いていた。
尋問は部下に任せているが、拷問は自ら執り行う。
引渡しが終わったあとも、書類上の手続き等で本部で待機していると、捕虜の悲痛な叫びが轟渡った。余りにもすごい声なので、わずかな興味で覗きに行って、心底後悔したものだ。
尋問に当たっているアルカネットの部下たちは、すでに神経も感情も麻痺したのか、淡々とした表情で職務に精励していた。その横で、優美なまでの微笑みを浮かべた顔で、手の指の爪を剥がしたり、魔法で作り出した火や雷で、ジワジワと皮膚を焼いたりしているアルカネットは、吐き気をもよおすほど残酷だった。
カーティスもザカリーも、あの残酷な光景には何度か出会っている。
(オレのときは、太ももの肉をナイフで削ぎ落としていたぞ…)
ザカリーが青ざめた顔を、ガックリと俯かせる。
(私の時は、大きく切り裂かれた傷口に、指を突っ込んで、グリグリとイジリまわしていました)
あの優美な微笑み顔で、とカーティスはゲンナリと肩をすくめた。
(今は精神的に堪える攻撃だよな…。やっぱ、ドSだぜ)
思い出したくもない思い出が一気に蘇り、3人は渋面を作ってため息をついた。
残酷なまでの光景を見たこともなかったマーゴット、ペルラは、ルーファスの念話で精神がつながっていることで、彼らの思い出が映像として流れ込んできて頭を振る。
(コラコラ、余計なこと思い出さないの!)
二人の様子に気づいて、ルーファスが慌てて窘めた。
(ああ……悪りぃ)
ギャリーは苦笑を浮かべて頭を掻いた。
(出し惜しみしてる場合じゃないかな、アレ使おう)
ルーファスはジャケットのポケットをゴソゴソして、小さな包を取り出す。
(それ)
包を見てハッとしたように、カーティスも上着のポケットから同じものを取り出した。
白い包み紙を開くと、赤い小さな粒状の薬が3個入っていた。
(ヴィヒトリ特製速攻効く、疲労回復、体力回復、気力回復、精力増強、増血、痛み止め、精神安定、栄養その他諸々の効果満点ハイパーウルトラスペシャルドーピング薬。これをついに使う時が来たね!)
カーティスとギャリーは、自分の掌に乗っかる赤い粒を、物凄く嫌そうに見つめた。
(これ使った後って、廃人になるって、言ってませんでしたっけ……)
(女見ても勃たなくなる、とも言ってたな)
(そこはっ! あとで作った本人に治してもらえばいいよ!!)
勃たなくなるのは困るけど! とルーファスは首を横に振る。
(とにかく勝つしかないんだし、今のままじゃ、どのみち殺されるのがオチだよ)
(そうだね、どーせ向こうは反則のダブルスキル〈才能〉なんだから、こっちだってドーピングくらいアタリマエだよ!)
ハーマンは手にしていた赤い粒を3個とも、勢いよく口に放り込み、ためらわず飲み込んだ。すると、数秒たらずで、ハーマンの目に生気が戻り、魔力の昂ぶりが感じられ始めた。
(そうですね、躊躇ってる場合じゃありません。でも、ザカリー、ペルラ、マーゴットの3人は使用しないでください)
カーティスに言われて、3人は頷く。薬の世話になるほどの疲労は、まだ迎えていないからだ。
ルーファス、ギャリー、カーティスは薬を飲み込むと、ゆっくりと立ち上がった。
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