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奪われしもの編 彼女が遺した空への想い
episode684
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「えっ…」
突如、目を焼くほどの眩しい発光が、3人の目を襲った。そして、鼓膜が敗れるほどの轟音が鳴り響き、何かが爆発したような音が激しく起こる。
目を閉じて思わずその場に尻餅をついたベルトルドは、まぶたを震わせながらも薄らと目を開ける。しかしよく見えなくて、何度も手で目をこする。アルカネットとリュリュも同じだった。
「なんだ…いまの」
よろよろと立ち上がり、ベルトルドは目を前に向ける。
空も海も青く穏やかだ。
それなのに、桟橋が木っ端微塵に吹き飛び、辺りに白い煙をたなびかせている。
焼け焦げた木の臭いに、ほんの少し、肉の焼け焦げた臭いが混じった。
「う…うわああああああああああああああああっ!!」
大絶叫にハッとなったベルトルドは、隣で声を張り上げるアルカネットに気づいた。
「アルカネット!!」
慌てて飛びついて、手足を激しくバタつかせるアルカネットを力いっぱい抱きしめる。
「落ち着け、アルカネット!」
「あああああああああああ」
目玉が飛び出すほど見開かれた目からは涙が溢れ、絶叫がほとばしる口から涎を撒き散らし、もがくように伸ばされたその腕の先には。
「あ…あ…」
それがなんなのか、ベルトルドは認識することが遅れた。
海の上に漂う、それは、黒い流木かと思ってしまったのだ。しかしそれは流木などではない。
よく見つめると、人の形に見えないだろうか。
(ディアはどこへ……?)
ゆっくりと首を巡らせても、どこにもリューディアはいない。
抱きしめるアルカネットは、喉が潰れたのか、ヒューヒューと喉が鳴るだけ。しかし、涙は流れ続け、ひたと黒いモノを凝視している。
ベルトルドは生まれて初めての恐怖を味わった。
海に漂うその黒いモノは、それは、リューディアなのだろうかと。
「お、おねえ、ちゃ……」
後ろでドサッと音がして、ビクッとなって顔を向けると、リュリュが青ざめて尻餅をついていた。
「リュー…」
掠れるように小さな声を発する。
「リュー」
まだ、小さい声しか出ない。
「リュー!」
引き攣れたような声で、やっとリュリュに聞こえる声が出た。
はじかれたようにリュリュがベルトルドの顔を見る。
「親父たちを、親父たちをよんで…きてくれ」
リュリュは青ざめた顔をベルトルドに向けたまま、すっかり硬直してしまっている。
「行け!!」
やっと普段の怒鳴り声が出て、それにビクついたリュリュは、何度も何度も転びながら走り出した。
その後ろ姿を見送って、再びアルカネットに顔を向ける。
まだ口を大きく開けて、声の出ない喉を震わせている。目は閉じることを忘れたように見開かれ、目からは涙とともに、血が滲み出していた。
尋常ではないアルカネットの様子を見れば判る。
あの黒いモノが、リューディアなのだと。
リューディアの、遺体、なのだと。
ただならぬ轟音とリュリュの様子に驚いた両親たちは、すぐに桟橋まで駆けつけてきた。そして、サーラの診断により、リューディアの遺体だと明らかになった。
突如、目を焼くほどの眩しい発光が、3人の目を襲った。そして、鼓膜が敗れるほどの轟音が鳴り響き、何かが爆発したような音が激しく起こる。
目を閉じて思わずその場に尻餅をついたベルトルドは、まぶたを震わせながらも薄らと目を開ける。しかしよく見えなくて、何度も手で目をこする。アルカネットとリュリュも同じだった。
「なんだ…いまの」
よろよろと立ち上がり、ベルトルドは目を前に向ける。
空も海も青く穏やかだ。
それなのに、桟橋が木っ端微塵に吹き飛び、辺りに白い煙をたなびかせている。
焼け焦げた木の臭いに、ほんの少し、肉の焼け焦げた臭いが混じった。
「う…うわああああああああああああああああっ!!」
大絶叫にハッとなったベルトルドは、隣で声を張り上げるアルカネットに気づいた。
「アルカネット!!」
慌てて飛びついて、手足を激しくバタつかせるアルカネットを力いっぱい抱きしめる。
「落ち着け、アルカネット!」
「あああああああああああ」
目玉が飛び出すほど見開かれた目からは涙が溢れ、絶叫がほとばしる口から涎を撒き散らし、もがくように伸ばされたその腕の先には。
「あ…あ…」
それがなんなのか、ベルトルドは認識することが遅れた。
海の上に漂う、それは、黒い流木かと思ってしまったのだ。しかしそれは流木などではない。
よく見つめると、人の形に見えないだろうか。
(ディアはどこへ……?)
ゆっくりと首を巡らせても、どこにもリューディアはいない。
抱きしめるアルカネットは、喉が潰れたのか、ヒューヒューと喉が鳴るだけ。しかし、涙は流れ続け、ひたと黒いモノを凝視している。
ベルトルドは生まれて初めての恐怖を味わった。
海に漂うその黒いモノは、それは、リューディアなのだろうかと。
「お、おねえ、ちゃ……」
後ろでドサッと音がして、ビクッとなって顔を向けると、リュリュが青ざめて尻餅をついていた。
「リュー…」
掠れるように小さな声を発する。
「リュー」
まだ、小さい声しか出ない。
「リュー!」
引き攣れたような声で、やっとリュリュに聞こえる声が出た。
はじかれたようにリュリュがベルトルドの顔を見る。
「親父たちを、親父たちをよんで…きてくれ」
リュリュは青ざめた顔をベルトルドに向けたまま、すっかり硬直してしまっている。
「行け!!」
やっと普段の怒鳴り声が出て、それにビクついたリュリュは、何度も何度も転びながら走り出した。
その後ろ姿を見送って、再びアルカネットに顔を向ける。
まだ口を大きく開けて、声の出ない喉を震わせている。目は閉じることを忘れたように見開かれ、目からは涙とともに、血が滲み出していた。
尋常ではないアルカネットの様子を見れば判る。
あの黒いモノが、リューディアなのだと。
リューディアの、遺体、なのだと。
ただならぬ轟音とリュリュの様子に驚いた両親たちは、すぐに桟橋まで駆けつけてきた。そして、サーラの診断により、リューディアの遺体だと明らかになった。
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